昨日書いた、「鏡」で窓の外の桜をみる話を見つけました。
『心のくすり箱』という本にありました。
(徳永進・岩波書店1996年)
昨日の徳永さんの本に書かれていた話と多分同じ話です。
でも、年齢などの数字が微妙に違いますが、徳永さんの勘違いでしょうか。
≪ さくら、きれい ≫
ことしも生きて
さくらを見ています
茨木のりこさんの詩「さくら」の冒頭の一節である。
……
桜のころになると、
そのころ死を迎えられた患者さんたちのことを思いだす。
県庁の職員を長年していた膵臓がんの島尾さんは、
「そんなもん見てもどうなるもんじゃなし」と乗り気でなかったが、
ベッドを反対向きにして城跡の桜が見えるようにすると、
「おっ、咲きましたか、咲きましたねえ今年も」としみじみ桜を眺めた。
県庁のすぐそばに城跡があり、いつもその桜を見てきていた。
大腸がんの末期となった45歳の女性は、
玄米スープで日々を過ごしておられたが、
やせて小さな声しか出なくなっていた。
そのころ桜が咲いた。
詰所にあった鏡で城跡の桜を見せてあげようと、ベッドをおこし、
いい角度を探していると、枕元でいっしょに鏡を見ていたご主人が
「そこ、そこです」と言った。
その瞬間、「あっ、きれい。さくら、きれい」と
生き生きした女性の声が病室に響いた。
5日後に亡くなられた。
桜を見ると、あの、病室に響いた声も思い出し、
茨木のり子さんの「さくら」のしまいの部分を思い出す。
さくらふぶきの下を
ふらふらと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
実を言うと、このページを見つけたときは、「あったー」と喜んだのですが、
だんだん、この話のさらに元の話があるような気がしてきました。
また、徳永さんの本をひっくり返さないといけない…。
誰か、知らないかなぁ~~~?
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