『アレックスと私』を読んでいます。
いろんなことを思います。いろんなことを考え過ぎて、まったく言葉が出てきません。
アレックスは、前に紹介したオウムのアレックスです。
2007年9月に、アレックスは亡くなりました。31歳でした。
30年間、ずっと一緒だったペパーバーグ博士への最後の言葉は、
「マタネ。愛シテル」だったそうです。
アレックスの話は、私にとって、「言葉」「コミュニケーション」、そして、障害児教育や障害への社会の態度について、考えさせられることが津波のように押し寄せます。(で、結局「言葉」にできません。)
とりあえず、今日、読んだページから~~~~~。
◇ ◇ ◇
《1977年》
私がアレックスの訓練に使おうとしていた方法は、当時の定説から大きく外れていた。
心理学の主流は、行動主義と呼ばれる立場だ。それによれば、動物は認知や思考の能力がほとんどないオートマン(つまり機械仕掛けのようなもの)だとされる。
当時の生物学はもう少しましだったが、それでも動物の行動は生まれつきプログラムされたものに過ぎず、認知・思考の能力はないとみなす説が体勢を占めた。
こういう考え方が背景にあったため、動物で実験を行う場合は、とても厳密に実験条件を管理しなければならなかった。
たとえば、実験前には、動物の体重がもとの80%に落ちるまで飢えさせなければならなかった。そうすることで、動物は食物を得ようと「正しく」反応する動機づけが生じると考えられていた。また、実験を行う際には、外界と遮断した箱にいれなければならなかった。これは、実験による「刺激」以外のことがらが動物に影響を与えないようにするのと、動物の反応を正確に記録するためだ。
「オペラント条件づけ」と呼ばれる訓練法である。
私は、はっきり言ってこの方法は完全におかしいと思った。
私が経験を通して培ってきた自然界の仕組みについての直感や常識にまったく反するものだった。
そもそも、コミュニケーションというのは社会的な営みである。
ならば、コミュニケーションを学習するプロセスも社会的な営みだと考えるのが当然だ。
外界から遮断した箱の中に動物をいれてコミュニケーションを学習させようとしても、成功する訳がないと私は考えた。
何人かの研究者が鳥でオペラント条件づけによる発話の訓練を試みたものの、無残に失敗していた。彼らは、訓練に失敗した原因は鳥の能力の欠陥だと主張した。
しかし、私にしてみれば、欠陥があったのは彼らの理論的な前提と訓練方法だ。
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