【業務連絡:希望者全入への道】(その8)
《2020年春》
「高校は義務教育じゃない」といわれ、「定員」が空いていても、入学を拒まれる子がいる。
東京や神奈川、大阪や兵庫では、「定員不合格」がなくなったのに、沖縄や広島や千葉や山形や熊本や愛知では、「定員不合格」により、進学を拒まれる子がいる。
同じ国に生まれ、同じ義務教育を修了しても、無償で高校の教育を受ける機会を与えられる子と、奪われる子がいる。
一度は「定員不合格」にされた後、高校生になったダウン症の子は、「高校のいい所は?」という問いに「中学と違って大人扱いしてくれる」と答えてくれた。
中学の担任に、「あんな荒れている高校に行ったらいじめ殺されるよ」と脅された女の子は、高校を皆勤で通い、ヘルパーの資格をとって卒業した。
定員内不合格にされた子が、定時制高校を受験すると決めた時。母親が「夜遅く、通うのは怖くない?」と聞いた。
「定員が空いている高校を不合格にされるのは怖いけど、夜の学校に通うのは大丈夫」と答えた。彼女は4年間休まず高校に通った。
広島で2年連続定員不合格にされた子は高校をあきらめたが、もう一度高校に挑戦しようと心が動き始めた今年の春、19歳で亡くなった。
千葉県で7年定員不合格にされた子は、来年こそ高校生になることを信じながら、昨日21歳で亡くなった。
定員が空いている高校に拒まれながら、命をかけて希望を握りしめる子どもたちがこの国にはいる。
ほんのわずかな人数かもしれない。
でも、確かにここで生きている。生きていた。
私たちは高校は、子どもたちが義務教育で学んだつながりと信頼と希望を、さらに学び感じ、社会に出ていく自信をつけるところだと信じている。
2020年の春には、日本中の子どもが、どこに住んでいても、無償で高校生になって、教育を受ける権利が平等に、公平・公正に与えられることを、私たちは願う。
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