「無力さには、意味がある。
赤ちゃんの場合、まさに無力そのものであって、むしろこの無力さに意味がある。」
生まれた時、ことばをしゃべらないからと、心配することはない。
父母の名前も顔も分からないからと、うろたえることはない。
昨日のことを覚えていないからと、呆れられることもない。
1年生の子どもたちが、佳ちゃんや、たっくんを、当たり前のように受けとめることができるのはなぜなのか?
それは、無力さをありのままに受け止められた時代のすぐそばに生きているからなんだと、気づく。
幼い子どもは、無力さに出会うたび、赤ちゃんの始まりを繰り返し生きることで、確かなものを手に入れていく。
こだわりの溶ける時間。
無力さを何度も受けとめられる体験。
その間に、膨大な量の観察学習を繰り返し、愛されることを繰り返し、自分がこの世に立つ場所を確かめる。
障害のある子どもも、親に虐待された子ども、災害や事故で家族を失った子ども、「無力さに意味がある」という体感を繰り返しながら、一生の自分の立ち位置を手に入れる。
手をかりることができる。
知恵をかりることができる。
その世界に包まれて、子どもはやがて目の前の大人たちに、自分の未来を重ねる。
「ぼくも、手をかしてあげられるようになれるかな。」
「わたしも、知恵をかしてあげられるようになれるかな。」
「おれも、いい人になれるかな。
まだ、間に合うかな。」
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