バイタルサインのパールズ:細菌感染症vsウイルス感染症では「デルタ心拍数20ルール」を使え
急性感染症の患者において、体温が摂氏1度(℃)上昇毎に心拍数が20/分以上増加する場合は細菌感染症の可能性大であり、これを「デルタ心拍数20ルール」と呼ぶ。
式で表すと、⊿HR/⊿BT>20である。
たとえば、普段(ベースライン)の心拍数70、体温35.5度の患者で、心拍数130、体温37.5度と上昇した場合は、HR60上昇/BT2.0上昇=30(>20)となり、細菌感染症の可能性が高い。
咳・喀痰を有する患者で⊿HR/⊿BT>20であれば、ウイルス性感冒よりも細菌性肺炎を考える。
そして、咽頭痛・嚥下痛を有する患者で⊿HR/⊿BT>20であれば、ウイルス性感冒よりも喉頭蓋炎を考える。
例外としては、インフルエンザウイルス感染症やウイルス性心筋炎があり、この場合ウイルス感染症であっても⊿HR/⊿BT>20となる。
すなわち、ウイルス感染症で⊿HR/⊿BT>20の患者では、この両者を念頭におく。
とくにウイルス性心筋炎(心筋心膜炎)では致死率が高いので、心臓聴診(S3や心外膜摩擦音の有無)に加え、心電図、胸部単純X線写真、心筋逸脱酵素測定などを考慮する。
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