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総論 やむをえないときの初期エンピリック選択

2016-09-11 | 勉強会
やむをえないときの初期エンピリック選択
 
 抗菌薬の初期選択は検体のグラム染色所見やその他の所見(尿中抗 原)にもとづいて行われることが望ましい。

 しかしながら、グラム 染色用の検体確保不能(痰が出ないなど)や他院ですでに抗菌薬が 開始されていた場合のような部分治療partial treatment後などのときは、表を参考に選択する。

 もちろん、 血液培養などで起炎菌が判明した場合にはantimicrobi al stewardship に従って抗菌薬の変更を考慮する。

 Narrow, cheap, effectiveなものということ。
 
表:部位別感染症におけるエンピリックな初期治療の推奨
種類
エンピリックな初期治療選択の推奨
<経口治療>
 
咽頭炎
BPCG
AMPC
(伝染性単核球症の可能性に注意・発疹)
CLDM(ペニシリンアレルギーのとき)
急性副鼻腔炎(10日以上
または中等症以上)
AMPC
AMPC/CVA
急性化膿性中耳炎
AMPC
AMPC/CVA
蜂窩織炎(市中)
CEX
CCL
AMPC/CVA
尿路感染症(膀胱炎)
CEX
CCL
SMX/TMP(妊婦には禁忌)
<静注治療>
 
蜂窩織炎
CEZ
VCM またはSTまたはCLDM
(MRSAの可能性があるとき)
蜂窩織炎(医療関連・院内)
VCM + PIPC/TAZ
肺炎**
CTRX + AZM
CTRX + DOXY
CTRX + MINO
CTRX + CPFX (LVFX) 
医療関連肺炎
PIPC/TAZ + VCM
誤嚥性肺炎
ABPC/SBT
CMZ
PIPC/TAZ
尿路感染症(腎盂腎炎)
CTM
CTRX
医療関連尿路感染症(院内)
PIPC/TAZ
CFPM
CAZ
CPFX
TOB
髄膜炎
CTRX +VCM
 
CTRX +VCM + ABPC 
(高齢者または免疫低下)
 
CTRX +VCM + ABPC +アシクロビル
(脳炎可能性+時)
胆嚢炎・胆管炎・虫垂炎、憩室炎
CMZ
 
ABPC/SBT
 
 
肝膿瘍
ABPC/SBT***
 
CMZ***
 
 
骨盤内感染症 (PID)
CTRX + AZM + Metro
 
CTRX + DOXY + Metro
*ニューキノロンは結核の部分治療で診断困難となるとなる恐れも あり結核疑い例での使用はなるべく避ける。
**インフルエンザ流行期では抗インフルエンザ薬(Oselta mivirなど)の追加も考慮。
***アメーバ性肝膿瘍の可能性があるときにはMETRO1. 5g3)も加える。
注意:医療関連との記載がないものは市中感染を意味する。

 

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