格調高い演技と精悍なマスク、更に「ミケランジェロの彫刻のように美しい」と称された肉体美を有する小生の大好きな男優の一人だった。
彼の主演作品として印象に強いのは、十戒 ( The Ten Commandments )1956年、ベン・ハー ( Ben-Her )1959年、エル・シド ( El Cid )1961年などである。
ミケランジェロに関するVTRテープがあったはずと探したら、
「華麗なる激情」( The Agony and the Ecstasy =激しい苦しみと恍惚 ) 1965年が出てきた。この映画はそれほど評価の高い作品ではなかったようで、さしたる受賞などなかったようである。
ちょっと見た程度では判りにくい難解な作品であるが、システィーナ礼拝堂の天井画(あくまで天井画であって、有名な「最後の審判」の壁画ではない)とミケランジェロの関わりを知りたくて、久しぶりに数回見た。
(これまでも2回ほど見たのだが、一向に分からない映画だった。しかし、今回はそれなりに理解できたような気がした、これは一度でもイタリアを訪問したことが大きく影響しているのである。)
第三の男で有名なキャロル・リード監督が意図した
「戦争に明け暮れた法皇ユリウスⅡ世とミケランジェロの男の友情」や
「ミケランジェロの芸術にかける執心や執念による苦しみ」がうまく描けていなかったのであるが、
有名な絵画や彫刻などが如何にしてこの世に現れたかという一面を楽しむと言う点で数少ない作品であるとも言えそうである。
ミケランジェロは終生「彫刻家」とは自称しているが、一度として「画家」とは自称していない。その彼の才能に惚れ込んだ法皇が、フレスコ画の経験のないミケランジェロを起用して天井画を描かせたのは、当時としては大変な慧眼とも言うべき事だったのであろう。
それ故、この映画の副題は
「 Artist who did not want to paint 」=「強制されて描いた男」となっている事が興味深かった。
この種の古い映画をご紹介しても、読者の皆さんが容易に見る事が可能かどうか分からないことにここまで書いて気が付いた。
しかし、絵画や彫刻のお好きな方なら、DVDレンタル店などで探してでもご覧になるかもしれないと思い、この記事を公開することにした。
今回のイタリア旅行は、不思議な事に、帰ってからの楽しみを、次から次へと提供してくれるのである。