世界の感染被害状況を正しく把握するには、累計の感染者数や死亡者数ではなく、人口あたりの新規感染者数【感染密度】の高さと変化を日々確認する事が大切です。
世界は “第2波” の感染拡大を恐れていますが、都市封鎖は国民生活の崩壊を招き、甚大な経済的損失や政治的支持の損失を考慮すれば、そしてもはや都市封鎖の選択肢はありません。
世界的な感染拡大から数か月が経過して、世界各国首脳は、武漢での成功モデルは虚構であったと認識を改め、スウェーデンの様に強制的な行動規制を行なわず、国民一人ひとりの自発的意識に委ねる方式の大きな利点に気付き始めたところでしょう。
残念な事に、他国とは異なる防疫体制をとったスウェーデンは批判対象になり、特に都市封鎖を行なったにも関わらず多くの死亡者を生んでしまった国の行政が、自らの失策から国民の目をそらす為に批判した事は “いじめ” 以外何ものでもありませんでした。
批判の的になってしまったスウェーデンも、老人介護施設などでの感染対策を高めたのでしょう、一時高くなっていた【感染密度】の抑制が進んでいて、国民生活や人権を守り経済的損失を抑えた同国は EU 内での新しいリーダーシップ国になる事が予想されます。
【感染密度】の変化を注意深く観察すれば、中東地域で感染中心国であったカタールが抑制方向へと転じましたが、バーレーンやオマーンにはその傾向が見られません。また、ここに来てイスラエルでの感染が一気に拡大し、併せてパレスチナでも感染が拡大している事が分かります。
また、バカンスシーズンに向けて国境制限を解除した EU 諸国での “第2波” の予兆が始まっています。それは ルクセンブルク での【感染密度】が高まっている事から推測でき、EU圏の交通・流通の要衝の同国が 3月中旬に感染拡大した際にも 1週間遅れで 隣国・EU諸国が感染拡大した事実からもそう言えます。
【感染密度】から明らかな様に、現在は3・4月に感染中心だった地域から 大陸の端、大洋中の島国へと伝播している最中です。
この伝播の流れが落ち着き、“第2波” の抑制が効果を挙げる時、9月から10月にかけて世界が落ち着き、もっと冷静に協力し合って世界の構築へと歩み始める事を願うばかりです。
出典 : OCHA
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