今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

わかめの日

2008-05-05 | 記念日
今日(5月5日)は、「わかめの日」
日本わかめ協会が1983 (昭和58)年に制定。
「こどもの日」に因み、子供の成長、発育に欠かせないミネラル、カルシウム等を含んだわかめをたくさん食べてもらおうと設けられた。また、この頃は新わかめの収穫時期でもある。
ワカメ(わかめ)は、藻類不等毛植物門(ふとうもうしょくぶつもん)に属し、 褐藻類 コンブ目 チガイソ科の海藻で、学名は「Undaria pinnatifida」ということになるそうだ。
褐藻類のワカメ、と同様の食用の海藻の仲間には、コンブがある。これらは古くから日本人に親しまれてきた海藻であり、日本の各地の海岸に生じる。
現代中国語ではワカメを「裙帯菜(チュィンタイツァイ)」、コンブを「海帯(ハイタイ)」と呼んでおり、「裙(クン)」というのは、高松塚壁画の飛鳥美人の「裳(もすそ)」やチマチョゴリの「チマ」のような、婦人の穿くスカート(以下参考に記載の「ASUKA/takamatuzuka」参照)を指すことばだそうである。そのかたちは「裙帯」のようであるという記述から、少なくとも人間の胴をぐるりと巻けるほどの長さのもので、「長さは数寸」という記述とは矛盾しており、これは、「巾(長径)が数寸」の帯状のものだと理解するのが妥当であり、とすれば、そのかたちはワカメというよりも、むしろコンブに近いものになるのではないかと・・・疑問を投げかけている。
日本に現存する最も古い歌集である「万葉集」には海藻を詠み込んだ歌が多くある。
玉藻刈る敏馬(みぬめ)を過ぎて夏草の野島の崎に舟近づきぬ(万葉集:巻3-250)
これは、万葉の代表的な歌人・柿本人麻呂の歌で、◇「玉藻(たまも)刈る」は、(海人たちが)海藻を刈る。玉藻の玉は海藻の美称である。◇敏馬(みぬめ)は、神戸市灘区岩屋付近。「見ぬ妻(め)」を掛け、家郷を離れる寂しさを滲ませる。◇夏草のは、
夏草が生い茂る「野」から「野島」に掛けた、枕詞風の修飾句。◇野島(のしま)の崎は淡路島北端の岬。◇舟近づきぬ 畿内を離れいよいよ異境へと入ってゆく緊張感を感じさせる句・・である。
又、讃岐の狭岑(さみね)の島にして、石の中の死人(しにひと)を見て、柿本朝臣人麻呂の作る歌一首 并せて短歌・・として、
玉藻よし 讃岐の国は 国からか 見れども飽かぬ ・・・・・・(万葉集:巻2-220)の長歌もある。
◇狭岑の島は、香川県坂出市沙弥島(しゃみじま。以下参考に記載の「万葉の島沙弥島を参照)のこと。◇玉藻よし 「讃岐」の枕詞。讃岐が海藻の良好な産地だったことから。◇国からか 国柄が良いゆえか。(柿本人麻呂の歌については以下参考に記載の「柿本人麻呂 千人万首」参照)
万葉集には 藻(も)を詠んだ歌が80以上あるとか(以下参考に記載の「たのしい万葉集・藻(も)を詠んだ歌」参照)。藻(も)は昆布や若布(わかめ)などの総称で、古くは藻葉などと言われたそうだ。その中にワカメの名もすでに登場しており、以下のような歌が詠まれている。
比多潟(ひたがた)の磯の若布(わかめ)の立ち乱え我(わ)をか待つなも昨夜(きそ)も今宵も(巻14-3563。詠み人不明)
角島(つぬしま)の瀬戸の若布(わかめ)は人の共(むた)荒かりしかど吾(あ)が共(むた)は和海藻(にぎめ)(巻16-3871。詠み人不明)
ワカメの故事来歴の代表的なものとしては福岡県北九州市・門司区にある「和布刈(めかり)神社」があり、神社名となっている「和布刈」とは「ワカメを刈る」の意であり、この神社には古くから旧正月に行われていた和布刈神事が伝えられており、醍醐天皇第四皇子重明親王の日記李部王記(りほうおうき)には、和銅3年(710年)に和布刈神事のわかめを朝廷に献上したとの記録があり、奈良時代から行われていたという(以下参考に記載の「北九州紀行: 和布刈神社〔由緒〕」参照)。
日本では「ワカメ」の漢字に「裙帯菜」「稚海藻」「若布」「若布」「若芽」などをあてているが、古い和語では海藻の類は「メ」と呼ばれていたようだ。又、先の万葉集の歌のように「若布」などの「若」と「稚海藻」の「稚」は本来、「和海藻(にぎめ)」のまだ成長段階の若いときの状態を「わかめ」と呼んだことに由来しており、それは、春先の若々しい芽を食用にしていたからのようである。つまり、ワカメは「やわらかい海の布」という意味の「和布(にぎめ)」とよばれていたようだ。
以下参考に記載の「海藻問屋/昆布の歴史 」に興味のあることが書かれていた。
そこには、”平安朝前期、延長8 年(930)源順が編纂した『倭名類聚抄』に紹介された海藻は19種で、漢名と和名をあわせて記しているが、その中で昆布は「比 呂米、衣比寿女」の万葉仮名をあてられている。 この「ヒロメ」には「広布」、「エビスメ」には、産地が蝦夷地であるところから「夷布」という和製文字も工夫され、当時はどちらの文字も使われていた。 ただ、「昆布」という現在の名前の由来は、どうもはっきりしておらず、 一説ではアイヌ人が昆布を指すときの「コンプ(KONPU)」という呼び名が中国 に渡り再び外来語として日本に入ってきたのではないか、とも言われており、というのは、唐書『渤海伝』に、「俗ニ貴ブ所ハ南海ノ昆布」とあり、この 「渤海」とは日本海の北の彼方、中国東北地方にあった国で、日本とは、奈良時代初期より二百余年、交易を続けてきたといわれているところから、アイヌ 語の「コンプ」が渤海に渡り昆布の字を得た後、時の留学生たちによって逆輸入されたのかもしれない(『渤海伝』の 「渤海」については、以下参考に記載の「『続日本紀』養老四年条の「靺鞨国」」参照)。 ちなみに、「コンブ(konbu)」の漢字は、日本では「昆布」と書くが、漢字の本家、中国では「昆布」というのはワカメのことをいい、昆布のことは 「海帯」といっていたことが『本草綱目』という昔の書物に出ている。 ”・・・とある。
これを見て、先に、”現代中国語ではワカメを「裙帯菜(チュィンタイツァイ)」、コンブを「海帯(ハイタイ)」と呼んでおり・・・云々の中で、このブログの管理者がワカメの説明の中で”「裙帯菜(チュィンタイツァイ)」は、ワカメというよりも、むしろコンブに近いものになるのではないかと疑問を投げかけていることを思い出した。このことは、以下参考に記載の「昆布館/昆布の知識/昆布の歴史4.名の由来」にも、”周の時代の綸布(カンプ)が昆布の語源という説もあるが、真相は?中国の書物には以後、昆布と海帯が度々登場する。ただし、本草(中国古来の学問で、薬用に重点をおいた植物や自然物の研究)に絵入りで登場する昆布は日本の昆布と似て非なるもの。ほとんどが若布と思われるものばかり。「唐書渤海伝」に(俗ニ貴ブ所ハ東海ノ海帯~)という一節があり高貴な薬材(不老長寿の仙薬)として紹介されている。1596年中国の明の時代、李時珍が著した『本草綱目』で初めて昆布と海帯の区分けが試みられたが、掲載された絵を見るとどちらも昆布とは言い難いものであった。博学の国中国でのこうした混乱は、その当時の中国では昆布が収穫されず、琉球や長崎から輸入される乾燥されたり加工された昆布しか目にすることができなかったからで、この時代日本から輸入される板昆布を海帯、刻昆布を帯絲と呼んでいたところから、この「昆布」も実体は謎。”・・とあり、今や世界一の昆布(全部養殖物)生産国である中国では考えられないことだが、どうも、当時は、コンブとワカメの区別がよく判っていなかったようだ。
ワカメなどの褐藻類の葉が、茶色にみえるのは、フコキサンチンというカロテノイド色素がクロロフィルの緑色を覆い隠しているためであり、湯通ししたワカメは、緑と黄の色素だけが残り、緑色に見えるのだそうだ。春先のワカメは柔かくて食物繊維を多く含み、カリウムやカルシウムなどのミネラルビタミンなど、不足しがちな栄養素を豊富に含んでいるので昔から良く食べられたようだ。
ワカメの特徴は茎の根元に輪のように突起が出ていることで、「ミミ」とか「メカブ」とかよばれており、ここでワカメの種である胞子が作られる。「メカブ」は細かくきざんで熱湯を注ぐと、粘り気が出てこれを細かくきざんで食べると美味である。ワカメは世代交代を行なう。ワカメは春から夏にかけて、メカブから胞子を出し夏になると枯れてしまう。メカブで作られた胞子から発芽した配偶体(以下参考に記載の「※はいぐうたい【配偶体】」参照)は、ごく小さなものである。秋になるとこの配偶体が成熟し卵と精子をつくり、受精して発芽した幼葉が冬場に育つのである。近年、養殖も盛んになっている。また、海外生産にも積極的に取り組み、韓国、中国から大量の輸入されるようになった。
ワカメの中に含まれるアルギン酸には、余分な塩分やコレステロールを体外に排出することができるので、生活習慣病の予防に効果があるといわれ、このところの健康・美容食品として大きく注目されている。しかし、日本わかめ協会HPによると、この「わかめ」を常食にしているのは、なんと、世界でも、日本、韓国、北朝鮮の3カ国に限られているのだという。多くのワカメを産出する中国も対日輸出に100%向けられるだけで、全くといって良いほど食べられていないのだそうだ(日本わかめ協会)。
万葉集の「玉藻よし」と歌われた鳴門は品質の良いワカメの産地として昔から有名であるが、2005(平成17)年における養殖ワカメの国内生産量は約6万3千トン。このうち、徳島産は約7千7百トンで、鳴門は今でも三陸に次ぐわかめの二大産地のひとつである(以下参考に記載の「鳴門わかめ虎の巻」による)。
私も、仕事の関係でよく徳島へ行ったが、鳴門の鯛料理が安く食べれるので鳴門の民宿へ止まったとき、刺身とは別に旬の生ワカメを皿に盛って別に出してくれた。食べてみて、余りに美味しかったので、女将に頼んでもう1皿追加してもらったことを思い出す。もともと子供の頃からワカメは好きであったが、これ以来、ナマのワカメのファンになったが、なかなか新鮮な生ワカメは食べれない。生のワカメは長期保存ができないので塩蔵品や乾燥品が流通している。鳴門の灰ワカメが有名である。
最後に、このブログを書くのに色々検索をしていて、面白いことに行き着いた。誰も良く知っている「いろは歌」。そうあの有名な「いろはにほへと・・・」で有名な仮名文字を使って作られている手習い歌の一つであるが、この「いろは歌」に先行する有名なものとして「あめつち歌」や「たゐに歌」がある。
この「たゐに歌」にも「藻葉干せよ え舟繋けぬ」の言葉があり、この「藻葉」も古くは昆布や若布(わかめ)などの総称である。
この 「いろは歌」や、「あめつち歌」「たゐに歌」の歌には、ただ表面上に見られる単なる「手習い歌」ではなくその奥には秘められた暗号があり、その中には、万葉の当時の柿本人麻呂が絡んでおり、これらの歌に言及している源為憲が非常に深くかかわっているようだ。非常に面白い話なのだが、今日のテーマーとは異なるので、興味のある人は、また、以下を見られると良い。
いろは歌の歴史
http://homepage2.nifty.com/sr24yokomizo/iroharekisi.htm
暗号「山上憶良」/「いろは」「たゐに」「あめつち」の暗号解読図
http://www.geocities.jp/yasuko8787/80320.htm
[PDF] いろは歌
http://www.fjweb.fju.edu.tw/yang/conversation/%E5%A4%A7%E4%BA%8C%E6%97%A5%E8%AA%9E%E6%9C%83%E8%A9%B1/irohauta.pdf
(画像は、リケン の「ふえるわかめちゃん・ 鳴門」)
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2008-05-05 | 記念日
参考
ワカメ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%AB%E3%83%A1
「食物本草歳時記」〔裙帯菜(わかめ)他〕
http://www.eonet.ne.jp/~ringo-do/syokumotu.htm
日本わかめ協会
http://www.nippon-wakame.com/html/society.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑「ワカメ(若布)」
http://www.zukan-bouz.com/kaisou/kassou/tigaiso/wakame.html
和布刈神社 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E5%B8%83%E5%88%88%E7%A5%9E%E7%A4%BE
北九州紀行: 和布刈神社〔由緒〕
http://asajihara.air-nifty.com/photos/kita9syuu/img_1263_1.html
わかめチャンネル(理研ビタミンKK)
http://www.rikenvitamin.jp/wakame_channel/index.html
理研食品株式会社/「ふえるわかめちゃん」ができるまで
http://www.rikenfood.co.jp/factory01/
PLC日本予防医学センター研究所・第21回 万葉集の食材]
http://www.nihon-yobou.com/health/200612.php
たのしい万葉集・「万葉集: 藻(も)を詠んだ歌」
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/flower/mo.html
柿本人麻呂 千人万首
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/hitomaro2_t.html
訓読万葉集
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/manyok/manyo_k.html
源順 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E9%A0%86
『続日本紀』養老四年条の「靺鞨国」
http://japanologe.hp.infoseek.co.jp/wy_lunwen/02lunji20/02lunwenji04.html
昆布館/昆布の知識/昆布の歴史4.名の由来
http://www.konbukan.co.jp/taizen/chishiki2_04.html
海藻問屋/昆布の歴史
http://gs-shop.jp/2006/02/post_47.html
本草綱目 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AC%E8%8D%89%E7%B6%B1%E7%9B%AE
大和本草 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%92%8C%E6%9C%AC%E8%8D%89
[PDF] 鳴門わかめ虎の巻
http://www.pref.tokushima.jp/GeneralAdmin.nsf/bf12dc1512b56d9b49256c5a00177cf3/db8c28dda6e607c649257417002250a0/$FILE/_5226da442pg88lag_.pdf
万葉の島沙弥島(坂出市の歴史)
http://www.city.sakaide.kagawa.jp/kankou/local/syamijima.html
ビタミン・ミネラル栄養百科
http://takeda-kenko.jp/vitamin/encyclo/index.html
酸と塩基 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E9%A1%9E
ASUKA/takamatuzuka
http://www.asukanet.gr.jp/ASUKA2/TAKAMATUTUKA/takamatutuka.html
※はいぐうたい【配偶体】
http://kids.gakken.co.jp/jiten/6/60001640.html
いろは歌 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%82%8D%E3%81%AF%E6%AD%8C
色素 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2%E7%B4%A0
色素 - MSN エンカルタ 百科事典
http://jp.encarta.msn.com/encnet/refpages/searchdetail.aspx?q=%E8%89%B2%E7%B4%A0&pg=1&grp=art