今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

あずきの日

2011-02-01 | 記念日
日本記念日協会の今日2月1日の記念日に「あずきの日 」がある。
記念日の由来を見ると「古事記」の穀物起源神話にも書かれているほど古くから食べられていたあずき。毎月1日と15日には小豆ご飯を食べる習慣もあったあずき。利尿作用、便通、乳の出にも効果的とされるあずきを食べて健康になってもらえたらと、あずきの製品を扱う井村屋製菓株式会社が制定したそうで、日付は毎月1日にあずきを食す習慣を広めたいとの願いから・・・だとか。
アズキ(小豆、Vigna angularis)は、マメ科の一年草。東アジア(中国東部・朝鮮・日本)が原産地でショウズとも言う。日本に小豆がいつ伝えられたかははっきりとは分からないが、縄文中期の富山県小矢部市・桜町遺跡などから炭化した小豆が発掘(以下参考に記載の※1参照)されており、記念日の由来にも書かれているように確かに『古事記』や『日本書紀』の穀物起源の神話に小豆が出てくる。
日本書紀では、天地開闢国生みに次いで、第五段では神産みの話が書かれている。黄泉の国から帰ってきたイザナギは黄泉の穢れ禊ぎをしたとき、様々な神を生むが、最後に天下(あめのした)を治めるべき貴重な子を生もうと思うと言って、左目からアマテラス太陽神)、右目からツクヨミ(夜を統べる月神)を、鼻からスサノオ(海を治める神。ワタツミ参照)の三柱の神々(三貴神とも呼ばれる)を生んだ。
日本神話において、ツクヨミはアマテラス・スサノヲと並ぶ重要な神とされているにもかかわらず、『古事記』『日本書紀』の神話にはあまり登場せず、全般的に活躍に乏しい。わずかに『日本書紀』第五段第十一の一書で、穀物の起源が語られているぐらいである。
この『書紀』第五段第十一の一書では、アマテラス(天照大神)とツクヨミ(月夜見尊、月読命)がともに天を治めるよう命じられたが、のちに天上でアマテラスからウケモチ(保食神)と対面するよう命令を受けたツクヨミが降ってウケモチのもとに赴く。そこでウケモチは饗応として口から飯を出したので、ツクヨミは「けがらわしい」と怒り、ウケモチを剣で撃ち殺してしまったという神話がある。そのウケモチの死体からは牛馬や粟、蚕、稗、稲、麦、大豆・小豆等などが生れ、これが穀物の起源となった。アマテラスはツクヨミの凶行を知って「汝悪しき神なり」と怒り、それ以来、日と月とは一日一夜隔て離れて住むようになったというのだ。これは「日月分離」の神話(以下参考に記載の※2:「日本神話の御殿」の万物の起源:日月分離神話参照)、ひいては昼と夜の起源である。また、穀物の起源を示すこの神話は、食物が再生されることを表しているといえる。つまり、収穫(死)と種まき(生)が繰返されることを表現したものだろう。
『書記』と違い、『古事記』においては、岩戸隠れの後に高天原を追放されたスサノオ(速須佐之男命。日本書記では素戔嗚尊)が、食物神であるオオゲツヒメ(大気都比売神)に食物を求めた話として出てくる。いずれにしても、この説話は食物起源神話であり、東南アジアを中心に世界各地に見られるハイヌウェレ神話型の説話であるいう(以下参考に記載の※2:「日本神話の御殿」の中の日本書紀(巻一) 01c 神生み第五段も参照されると良い)。又、これらの説話からは、海を主な生産の場とする海人族の信仰と月神との結び付きをも連想させる。
古くから中国や朝鮮などの東アジアでは、赤米を炊いた赤飯同様に、小豆も、その赤い色に呪力があるとされ、おめでたい日や厄払いの食べ物とされてきた。
6世紀中頃、中国の荊楚(長江中流域)地方の年中行事・風俗習慣を記録したとされる最古の歳時記『荊楚歳時記』(けいそさいじき)』の七種菜の風習が平安時代には日本にも伝わり、「七種菜の羹」があったが、これは七草の粥ではなく、七種の羹(あつもの)であり、その中に、小豆も含まれており、これらの七種類の穀類を使って塩味をつけた粥を作り食べるという風習が、少なくとも平安時代(九世紀末頃まで)には存在していたようである。
これらのいくつかの歳事と共に、民間の行事を宮中の歳事として取り入れるようにとの宇多天皇の指示があったとき、とりわけ小豆の色が鮮やかで印象的であるからだろうか、「七種粥」を「小豆粥(あづきがゆ)」ともいった。・・・とあり、どうやら、これが、正月の本当の七草(種)粥のようである。
1月15日の小正月には「十五日、今日、小豆粥煮ず。口惜しく、なほ日の悪しければ、ゐざるほどにぞ、今日二十日あまり経ぬる」と『土佐日記』(935年頃の作品)にも小豆粥を食べたことは、前に、このブログ「小正月」でも書いた。冒頭の画像は『五節供稚童講釈』(ごせっくおさなこうしゃく。副書名 江戸年中行事幼絵抄。 国立国会図書館蔵)に描かれた江戸時代の小豆粥の光景である。
江戸時代には15日すなわち「望(もち)の日」の粥という語が転じて「餅(の日)」の粥と解せられ、小豆粥に餅を入れて食べる風習も行われるようになった。
正月は、ごちそうや酒の飲み過ぎも多いだろうが、外皮に含まれる「サポニン」という成分には肝機能を向上させる作用もあり、小豆に豊富に含まれるビタミンB群も肝臓の働きを活発にしてくれるので小豆は二日酔いにも効く食材であり、松の内が明ける頃に食べるのには体のためにもちょうどよい食べ物のようだ。
この小豆は、餡(あん)の原料や汁粉(しるこ)、赤飯などに使われるほか、甘納豆、羊かんなど和菓子の材料として使われているがその用途の80%強と大半は製あん、菓子が占める。小豆は日本人の嗜好がとくに強く、日本人の生活習慣に欠かせないものの1つになっているものの、日本人以外にはあまり好まれない豆のようで、歴史の古い中国や朝鮮でも栽培される量は少ないようだ。近年南アメリカやアフリカのコンゴなどでも栽培されるが、アフリカのアズキは日本への輸出用が主であり、北アメリカ南部では、青刈り飼料用として栽培されているそうだ。
現在中国やアフリカのコンゴなどから1万~数万トンの輸入があるが、従前はほとんど国産に限られており、しかも、その70%が北海道で生産される小豆は年の気候によって豊凶の差が大きい作物であり、とくに北海道での作柄によって小豆の価格、小豆(しょうず)相場の変動が大きく、小豆は「赤いダイヤ」とよばれていた。
しかし、小豆の価格変動が餡の需要に与える影響は小さく、価格が上昇しても消費量はあまり減少せず、一方、豊作で価格が下落しても需要を増加させる要因とはなりにくい特徴もあるようだ。
なお、国内で不足する輸入小豆はおもに中国産だが、最近では一般関税で済む調製品(餡、冷凍豆)の輸入が増加しているという(以下参考に記載の※3:「東京小豆の先物取引ガイド - 国内価格」参照)。
日本が自国での食料自給率を上げるということを大義に農産物の輸入に対して高い関税を掛け、農産物の自由化を制約していることは多くの人が承知の通りである。
例えば以下参考に記載の※4:「日本の主な高関税農産物」を見ると、最高に高い関税率は米(コメ)の778%であるが、なんと小豆が4位403%となっている。しかし、これに対して、小豆生産大国である中国で餡に加工して、餡を輸入したら、その税率は28%なのだそうだ(以下参考に記載の※5:「農産物の高率関税について」参照)。
今、日本はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加するか否かを検討中であるが、もう既に、スーパーなどで売られている安い葛餅など和菓子類には加工した餡や米粉調整品など輸入したものを材料に使って作っているものが多くなっているようであり、輸入するものに400%もの関税をかけなければならない日本産の小豆を使った和菓子などはいずれ、価格競争面では輸入調製品を使ったものに対抗できなくなるのではないかな~。国際化した今の時代、農産物も海外で生産し調理して調製品として輸入する時代になれば、もう実質的に、輸入農産物へのとんでもない課税は崩れかけているといっても良いだろう。狭い国土で自由貿易で成り立っている日本。早く日本の抜本的な農業改革をやらないと日本は世界の中で取り残されることになってしまうのではないか・・・。
(冒頭の画像は、小豆粥 五節供稚童講釈 国立国会図書館蔵。NHKデーター情報部編ヴィジュアル百貨『江戸事情第一巻生活編』 より)
参考:
※1:桜町遺跡「炭化豆」出土 : 地層探検 : 教育・文化 : 北陸発 :YOMIURI ONLINE
http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub2/hokuexp/toyama/toyama_oyabe3.htm
※2:日本神話の御殿
http://j-myth.info/index.html
※3:東京小豆の先物取引ガイド - 国内価格
http://www.okachi.co.jp/market/commodity/domestic/tokyo_redbean/guide.html
※4:日本の主な高関税農産物: FTA/EPA情報局
http://logistics.cocolog-nifty.com/ftagate/agri_import_duty.html
※5:農産物の高率関税について - みんみんのざる碁日記
http://plaza.rakuten.co.jp/hogehoge0707/diary/200808040000/
日本の主な高関税農産物: 上田義朗セミナー
http://ueda-seminar.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-df20.html
七草がゆの話
http://www2u.biglobe.ne.jp/bokutei/yomoyamabanasi/nanakusagayunohanasi-kanai.htm
天と海
http://homepage2.nifty.com/amanokuni/amatoama.htm
秋の風情、仲秋の名月、月見と十五夜(六) | 神社専門ホームページ
http://www.susanowo.com/archives/1802
小豆(あずき) - 健康マトリックス
http://kenko.it-lab.com/shokuhin.php/97/
アズキ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BA%E3%82%AD
アズキ- Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%82%A2%E3%82%BA%E3%82%AD/
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
井村屋HP
http://www.imuraya.co.jp/