真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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陸軍中野学校 三島事件と関係者

2008年10月10日 | 国際・政治
 「陸軍中野学校の真実 諜報員たちの戦後」斎藤充功(角川書店)によると、自衛隊の情報要員を養成する自衛隊調査学校(現小平学校)の2代目校長藤原岩市(陸士43期)は、陸軍中野学校の教官であり、副校長の山本舜勝(陸士52期)も、中野学校で情報戦術を教える研究部員兼任の教官であったという。その他にも自衛隊調査学校には、中野学校の元教官や卒業生7名が確認され、中野学校の情報戦のノウハウが自衛隊に引き継がれたというのである。そして、三島事件の陰のプロデューサーといわれたのが、その中の一人、山本舜勝である。下記は、その三島事件に関する部分の一部抜粋である。
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三島由紀夫と山本舜勝

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 昭和45年(1970)11月25日水曜日──この日、三島は制服を着た「盾の会」会員4人を引きつれて、あらかじめ面会を取り付けていた益田兼利東部方面総監に会うために総監室に入った。その直後、会員らは持参した日本刀を抜いて総監を脅し総監室に立て籠もった。面会所に入った午前10時45分から、ほんの20分後のことであった。
 三島の目的は、総監を監禁にして自衛隊にクーデターを迫ることであった。決起を促す三島の演説は約10分間つづいたが、自衛隊は動かなかった。三島は「天皇陛下万歳」を三唱して総監室に戻ると、切腹の作法に則って持参の短刀で自決した。介錯は会員の森田必勝がおこなった。室内には鮮血が飛び散っていたという。

 自衛隊に共感していた三島がなぜ、反逆したのか。最後の作品『豊饒の海』(4部作)で書いた「決起」を、自ら実践しなければならなかったのだろうか。三島は生前、自衛官のなかで山本舜勝を最も信頼していたという。
 山本が三島と交流を始めたのは昭和40年(1965)、情報教育課長に在職していたころで、紹介者は研究課長の、平原一男一佐だった。平原は山本に、三島が書いた「祖国防衛隊はなぜ必要か」という冊子を見せて、彼に会うように勧めたという。

 山本が関心を持った三島の祖国防衛構想とは、自衛隊体験入隊を経て三島なりに到達した民間防衛論であった。その基本構想は大要、次のようなものだった。山本は自著『自衛隊「陰の部隊」』(講談社)のなかで、三島のこの民間防衛論の基本綱領を紹介している。

 <祖国防衛隊は、わが祖国・国民及びその文化を愛し、自由にして平和な市民生活の秩序と矜りと名誉を守らんとする市民による戦士共同体である。
 われら祖国防衛隊は、われらの矜と名誉の根源である人間の尊厳・文化の本質及びわが歴史の連続性を破壊する一切の脅威に対しては、剣を執って立ち上がることを以て、その任務とす>


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 そして山本は、三島の自衛隊の最初の訓練について、こう書いていた。

 <私は、自衛隊での学生教育(引用者注・調査学校における対ゲリラ戦教育)の合間をぬって、三島と「祖国防衛隊」の中核要員(のちの「盾の会」会員)に対する訓練支援を開始することとなった。第1回の訓練は、43年5月上旬の土曜日の午後、郊外のある旅館で行った>


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 その点を市川宗明(自衛隊心理情報課程=CPI課程卒業)が、自衛隊退官後に三島から直接聞かされた話として、三島のクーデター計画について雑誌に書いている。

 <三島と盾の会が自力で32連隊を動かしてクーデターを起こすことを決意し、その準備に入ったのは3月ごろ(引用者注・1970)であった。市ヶ谷駐屯実力部隊・普通科第32連隊を無断借用してクーデター計画をおこそうと企んでおり、クーデターは連隊長室に乱入し宮田一佐を日本刀で脅かして椅子に縛りつけてニセの命令を出させ、霞ヶ関官庁街を警備担当区域とする第32連隊を動かし、国会や首相官邸を占拠する計画であったと思われる。
 が、クーデター予定日に連隊長が不在だとわかり、急遽益田総監を標的にすることを決めたという>(「人と日本}1978年11月号)


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 自衛隊と三島由起夫を結ぶ証が、盾の会の演習に使われていた陸上自衛隊滝ヶ原駐屯地に残されている。その碑には「誠実」の二文字が彫られている。……
(以下略)


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