「盾の会」の指導に当たった山本舜勝一佐(後に陸将補)は自衛隊調査学校(現小平学校)の副校長であり、陸軍中野学校で情報戦術を教える研究部員兼任の教官であった人であるが、その著『自衛隊「影の部隊」三島由紀夫を殺した真実の告白』元自衛隊陸将補山本舜勝(講談社)で、「30年経った今、三島事件を改めて問い直そうという気運が見え始めたのは幸いである」と書いている。憲法改正の動きの中に、「生命尊重以上の価値、それは自由でも民主主義でもなく、天皇である」というような三島の思想があり、それが力を持ち始めているとすれば、見逃すわけにはいかないと思う。ここでは、同書の中から、盾の会会員への「命令書」を抜粋する。
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命令書
小賀正義君 君は予の慫慂により、死を決して今回の行動に参加し、参加に際しては、予の命令に絶対服従を誓った。依ってここに命令する。君の任務は同志古賀浩靖君と共に人質を護送してこれを安全に引き渡したるのち、いさぎよく縛につき、盾の会の精神を堂々と、法廷において陳述することである。
今回の事件は、盾の会隊長たる三島が、計画、立案、命令し学生長森田必勝が参画したものである。三島の自刃は隊長としての責任上、当然のことなるも、森田必勝の自刃は、自ら進んで盾の会全会員及び現下日本の憂国の志を抱く青年層を代表して、自ら範を垂れて、青年の心意気を示さんとする、鬼神を哭かしむる凛冽の行為である。三島はともあれ、森田の精神を後世に向かって恢弘せよ。
しかしひとたび同志たる上は、たとひ生死相隔たるとも、その志に於いて変わりはない。むしろ死は易く、生は難い。敢て命じて君を艱苦の生に残すことは予としても忍び難いが、今や盾の会の精神が正しく伝わるか否かは君らの双肩にある。あらゆる苦難に耐え、忍び難きを忍び、決して挫けることなく、初一念を貫いて、皇国日本の再建に邁進せよ。
盾の会隊長
三島由紀夫
昭和45年11月
小賀 正義君
http://www15.ocn.ne.jp/~hide20/ に投稿記事一覧表があります。
一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。
青字および赤字が書名や抜粋部分です。「・・・」は、文の省略を示します。
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命令書
小賀正義君 君は予の慫慂により、死を決して今回の行動に参加し、参加に際しては、予の命令に絶対服従を誓った。依ってここに命令する。君の任務は同志古賀浩靖君と共に人質を護送してこれを安全に引き渡したるのち、いさぎよく縛につき、盾の会の精神を堂々と、法廷において陳述することである。
今回の事件は、盾の会隊長たる三島が、計画、立案、命令し学生長森田必勝が参画したものである。三島の自刃は隊長としての責任上、当然のことなるも、森田必勝の自刃は、自ら進んで盾の会全会員及び現下日本の憂国の志を抱く青年層を代表して、自ら範を垂れて、青年の心意気を示さんとする、鬼神を哭かしむる凛冽の行為である。三島はともあれ、森田の精神を後世に向かって恢弘せよ。
しかしひとたび同志たる上は、たとひ生死相隔たるとも、その志に於いて変わりはない。むしろ死は易く、生は難い。敢て命じて君を艱苦の生に残すことは予としても忍び難いが、今や盾の会の精神が正しく伝わるか否かは君らの双肩にある。あらゆる苦難に耐え、忍び難きを忍び、決して挫けることなく、初一念を貫いて、皇国日本の再建に邁進せよ。
盾の会隊長
三島由紀夫
昭和45年11月
小賀 正義君
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青字および赤字が書名や抜粋部分です。「・・・」は、文の省略を示します。