真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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「プルトニウム」 高木仁三郎が語る

2013年04月28日 | 国際・政治
   高速増殖原型炉「もんじゅ」は、完工延期が20回にもなる失敗続きで、実用化のめどはいまだ立たない。のみならず、現在日本の多くの原発は、安全上再稼働が無理な状況にある。したがって、ウランとプルトニウムの混合(MOX)燃料の利用も見通しが立たず、行き詰り状態である。にもかかわらず青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場を操業させることは、問題だと思う。数々のリスクを無視し、大量の核廃棄物と利用の見通しのない猛毒「プルトニウム」を増やすだけだからだ。

 高木仁三郎は、「一般の人が一年間にこれ以上体の中に入れてはいけないとされている量に当てはめると、原子炉から取りだしたプルトニウム1グラムは、18億人分になります。それくらい猛毒なのです。」といっている。さらに、プルトニウムは容易に核兵器に利用され得るものであるという。そんなプルトニウムが、日本にはすでに、およそ45トンもあるというのだ。使うあてのないプルトニウムをさらに増やそうとする原子力政策は、「神州不滅」「進め一億火の玉だ」などをスローガンとした、人命軽視の日本の戦争政策を思い起こさせる。「一億玉砕・本土決戦論」に似たような、悪あがきともいえる政策を続けるのではなく、実態を直視し、素直にその破綻を受け入れて、原子力政策を根本的に改めるべきあると思う。

 ここでは、「高木仁三郎が語る プルトニウムのすべて」(原子力資料情報室)『核物質「プルトニウム」のあと始末』から、「プルトニウムとは?」の一部を抜粋した。
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核物質「プルトニウム」のあと始末

プルトニウムとは?

 その本題に入る前に、プルトニウムとは何かということを、ごく簡単におさらいしてみたいと思います。プルトニウムというのは、第1たいへん毒性が強い物質です。第2にたいへん長生きです。第3に核分裂を起こしやすい、したがって原子力発電もできるし、原爆の材料にもなります。

 第1の毒性が強いということでは、とくに空気中にただよっているプルトニウムの微粒子を吸い込む場合が問題です。プルトニウムは肺に入り、その一部が数百日から1000日くらいとどまって、肺に被曝を与えます。さらに、その一部が血液に取り込まれ、主として骨と肝臓に集まる。ごくわずかですが、生殖腺に入るものもあります。
 これらの臓器にプルトニウムがとどまる期間はほぼ一生と言ってよいでしょう。そして、ずっと被曝を与えつづけるのです。


 プルトニウムに汚染された食べ物や飲み物を飲食した場合は、大部分は排泄されますが、ごく一部は血液に入り、やはり骨や肝臓に集まってきます。こうして肺ガンや肝臓がん、骨のがんなどを引き起こすのです。
 ビーグル犬などを使った実験では、100万分の数グラムほどのプルトニウムが肺がんを起こさせた実例があります。目に見えないくらいの量を警戒しなければならない物質なのです。
 そんなものをトン単位で扱おうというのですから、プルトニウム利用計画には大きな無理があります。


 一般の人が一年間にこれ以上体の中に入れてはいけないとされている量に当てはめると、原子炉から取りだしたプルトニウム1グラムは、18億人分になります。それくらい猛毒なのです。

 100万キロワット級の原発を1年間運転すると200キログラムから250キログラムのプルトニウムが生まれます。現在日本では、約4000万キロワットの原発が動いていますから、1年間で9トンほどのプルトニウムが生まれる勘定になる。1グラムが18億人分ですから、いかにたいへんな毒ができるかがわかります。

 第2の長生きだという点に関しては、よく24000年の寿命と言われます。これはプルトニウム-239の寿命です。ここで寿命というのは半減期、つまり放射能が半分に減る時間のことです。
 24,000年経って半分になる。もう24,000年経つと、ゼロではなく、半分の半分で四分の一といった減り方をしていきます。
 この寿命がプルトニウム-240だと6,600年、プルトニウム-241で14年、プルトニウム-242では376,000年にもなります。
 プルトニウムは非常に長生きで、いったん生まれたら、なかなか減ってくれません。

 先日ある本を読んでいたら、世界の人口の伸びは1年間に1億人。1秒間に3人ずつ増えつづけていて、この勢いで人口爆発をしたら、世界は破滅すると書いてありました。


 それで思ったのは、プルトニウムは、日本全体で1秒間に約1万人の肺がん致死量にあたるくらいの割合で生産されていて、世界全体ではその10倍くらいです。これが超長生きなわけですから、プルトニウムで人類が破滅するほうがはやいとも思えるのです。

 そして第3の特徴である核分裂を起こしやすく、原爆の材料になること、それが、これからお話ししたいことの中心テーマです。


 ・・・(以下略)


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