真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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GHQによるマインド・コントロールと「印象操作」NO2  公職追放と慰安婦問題

2021年09月03日 | 国際・政治

『「反日」という病  GHQ・メディアによる日本人洗脳を解く』(幻冬舎)の著者・木佐芳男氏は、「6 マインド・コントロールa2 公職追放」で、”大学をはじめとする教育の場やメディア機関には、追放された人びとのあとに極端な左翼分子が入り込み、組織が急速に左傾化していった。”と書いていますが、その実態や根拠、またその結果の問題点などは示されていません。木佐氏はここでも、「極端な左翼分子」とか「急速に左傾化」という言葉を使い、戦後日本の評価を下げる「印象操作」をしているように思います。

 そして、GHQがわれわれを計画的に洗脳(マインド・コントロー)し、その呪縛は現在もつづいているという木佐氏の主張が、完全に逆立ちしているために、こういう「印象操作」をせざるを得ないのだろうと思います。


 GHQの政策のもとをたどれば、第二次世界大戦に突入していた昭和十六(1941)年一月、ルーズベルト大統領の年頭教書の中に、すでにそれが示されているといいます。日独伊枢軸国の脅威とそれに対する自由主義諸国の戦いについて、合衆国政府が目指す世界を語ったというのです。そして、戦後の世界が基礎づけられるべき原則として『四つの自由』をあげたといいます。その四つ自由とは、「言論の自由と表現の自由」、「神を崇拝する自由」、「欠乏からの自由」、「恐怖からの自由」です。どれも戦前・戦中の日本にはなかったといえる「自由」ではないかと思います。
 それは、ポツダム宣言の”六 吾等ハ無責任ナル軍國主義ガ世界ヨリ驅逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序ガ生ジ得ザルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本國國民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ擧ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ”に通じるものだと思います。
 だから大戦終了後、GHQは、アメリカが、第二次世界大戦の果てに確立すべきと考えていた”四つの自由”を日本に定着させ、日本人のマインドを、当時の支配層による、天皇を現津神とする「国家神道」のコントロールから解くために頭を悩ませたのです。だから、特に問題は、「神を崇拝する自由」を、日本にどう”適用”するかということだったようです。そして、極端な国家主義と結びついている「国家神道」を、政教分離というかたちで、国家と切り離す「神道指令」発したのです。その結果、国家神道に関わる人たちや、国家神道の教え(天皇を現津神とする神話的国体観・皇国史観)を煽っていた人たちが公職を追放されました。それが日本の民主化の最重要課題であったのだと思います。

 したがって、そうした公職追放を”「思想が瞬時に大転換」するとは、つまり、日本人への強烈な心理操作がおこなわれたことを意味するだろう。”と言ったり、”急速に左傾化”と言ったりする木佐氏は、民主化=強烈な心理操作 民主化=左傾化という受け止め方で、GHQによる日本の民主化政策を受け入れていないように思います。

 また、公職追放された人びとが復帰しても ”教育の場や多くのメディアの左傾化は変わらなかった”ということの実態やその理由についても、木佐氏は何も示していません。言葉だけのような気がするのです。

 また、敗戦前後の日本における公文書焼却処分を問題にすることなく、”現代史のエアポケット”などを語るのも、いかがなものかと思います。どのような隠蔽の事実があったのかや、どのような不都合が考えられるのかを明らかにし、法的に不正を正すという姿勢を示してほしいのです。

 次に、「5 マインド・コントロールb4」に書かれている問題です。
 2013年に、当時日本維新の会共同代表であり大阪市長であった橋下徹氏が、「慰安婦」問題に関し、”(1)戦争時の軍隊に「慰安婦制度」は必要であった,(2)沖縄海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しいと述べた。”といいます。だから岡山弁護士会が問題視し、すぐに”橋下徹氏の「慰安婦」等に関する発言に対する会長声明”を出したということです。木佐氏の引用は、その際の発言に関わるものだと思いますが、この発言に関しては、橋本氏自身が、その後「私の認識と見解」と題する文書において弁明し,”「女性の尊厳は,基本的人権において欠くべからざる要素」であり,「日本兵が『慰安婦』を利用したことは,女性の尊厳と人権を蹂躙する,決して許されないもの」であることを認め,風俗業を活用して欲しいとの発言については「アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋がる不適切な表現でしたので,この表現は撤回するとともにおわび申し上げます。」”と述べたといいます。この撤回とおわびが重要だと思います。


 また、籾井勝人氏の発言は、NHK会長に就任した時の就任会見でのものだと思います。その中で、”旧日本軍の慰安婦問題について「どこの国にもあった」「なぜオランダには今も飾り窓があるのか」との見解を示し、元慰安婦への補償を求める韓国を「すべて解決したことをなぜ蒸し返すのか」と批判した。”というのです。
 この「どこの国にもあった」という主張が問題なのです。橋本氏や籾井氏に限らず、多くの著名人が、同じような発言をしています。確かに、日本が海外に慰安所が設けた当初は、「どこの国にもあった」ようなものであったようです。でも、『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成(財)女性のためのアジア平和国民基金編』を読めば分かりますが、日中戦争で戦線が拡大し、長期化するとともに、問題は深刻になっていくのです。
 例をあげると、当時の山形県知事が、内務大臣や陸軍大臣、警視総監などに宛て、「北支派遣軍慰安婦酌婦募集ニ関スル件」という、下記のような内容の文書を送っています。軍部の方針として慰安婦を募集することは、とんでもないことではないかというのです。その理由として、”銃後ノ一般民心殊ニ応召家庭ヲ守ル婦女子ノ精神上ニ及ホス悪影響尠カラス更ニ一般婦女身売防止ノ精神ニモ反スル”と述べています。そして、同じような内容の文書が、群馬県や和歌山県からも寄せられるのです。


”…管下最上郡新庄町桜馬場芸娼妓酌婦紹介業者戸塚○○ハ右者ヨリ「今般北支派遣軍ニ於テ将兵慰問ノ為全国ヨリ2500名ノ酌婦ヲ募集スルコトトナリタル趣ヲ以テ500名ノ募集方依頼越下リ該酌婦ハ年齢16歳ヨリ30歳迄前借ハ500円ヨリ1000円迄稼業年限2ヶ年之カ紹介手数料ハ前借金ノ1割ヲ軍部ニ於テ支給スルモノナリ云々」ト称シアルヲ所轄新庄警察署ニ於テ聞知シタルカ如斯ハ軍部ノ方針トシテハ俄カニ信シ難キノミナラス斯ル事案カ公然流布セラルルニ於テハ銃後ノ一般民心殊ニ応召家庭ヲ守ル婦女子ノ精神上ニ及ホス悪影響尠カラス更ニ一般婦女身売防止ノ精神ニモ反スルモノトシテ所轄警察署長ニ於テ右ノ趣旨ヲ本人ニ懇諭シタルニ之ヲ諒棏シ且ツ本人老齢ニシテ活動意ニ委セサル等ノ事情ヨリ之カ募集ヲ断念シ曩ニ送付アリタル一切ノ書類ヲ前記大内ニ返送シタル状況ニ有之候 右及申(通)報候也

 そこで、 内務省警保局長が、各庁府県長官宛(除東京府知事)に「支那渡航婦女ノ取扱ニ関スル件」という文書を発し、また、陸軍省兵務局兵務課起案の「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件、副官ヨリ北支方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒案」という文書が発せられるのです。さらに、婦女子の人身売買にかかわる国際条約との関係を指摘する声にも配慮せざるを得ず、日本国内から「慰安婦」を戦地に送ることが極めて難しくなったのです。そこで、いわゆる「植民地」から送るようになっていったのだと思います。そして、国内では、「慰安婦」問題が見えなくなると同時に、差別も絡んで「どこの国にもあった」ようなものではなくなっていくのです。確かに、売春や強姦事件、集団レイプのような残虐な戦時性暴力の問題は、どこにでもあったと思います。でも、軍が慰安所を作り、慰安所規定を作り、慰安所を利用する部隊や時間を指定し、軍医が定期的に慰安婦の性病検査をし、慰安婦が性病を発症すると、中央に補充を要請し、軍が送り届けるというような慰安所が広範囲に数多く設置された例は、他国にはないと思います。日本政府の正式な謝罪が必要な理由は、そこにあると思います。
 日本軍が設置し、運営に関与した「慰安所」は、まさに軍による組織的な「性奴隷制」であり、諸外国における戦時性暴力とは異なるものだと思います。本来であれば「強制売春」や強姦は犯罪であり、軍法会議で裁かれるはずですが、組織的になされたことによって犯罪とはされず、日本兵は罪悪感を持つことなく女性の性を凌辱することができたのだと思います。そうした国家ぐるみの「性奴隷制」が、他国の戦地における残虐な強姦事件とは異なるのであり、「どこの国にもあった」と言うのなら、具体的に示す必要があると思います。


 だから、著名な橋本氏や籾井氏の根拠の示されていない発言を引いて、”メディアは「他国にもそういう制度が本当にあったのか。あったとすれば、なぜ、政治・外交問題になっていないのか」を調べ、報道すべきだった。だが、そういう動きをするどころか、発言者を根拠もなく叩いた。”というのは、「印象操作」と言わざるを得ないのです。
 また、「慰安婦」問題が”朝日新聞など日本の一部が火を点けて大騒ぎになり、日韓関係はこじれてしまった”という主張にも問題があると思います。私は、「慰安婦」問題に火が点いたのは、元日本軍「慰安婦」の金学順さんが自ら名乗り出て、日本政府を相手に謝罪と賠償を求めて訴訟を起こしことがきっかけだと思います。でも、考えるべきは、問題がなければ火が点くことはないのであり、誰が火が点けたかは、問題の本質とは直接関係のないことだと思います。
 女性の人権や尊厳に関わる重大な問題が、元日本軍「慰安婦」が自ら名乗り出て、日本政府を相手に訴訟を起こすまで放置され続けてきたこと、そして、訴えられてもなお、勝手な解釈で、事実にきちんと向き合わず、名誉と尊厳の回復に取り組まないこと、それこそが問題なのだ、と私は思います。

 韓国が、「すべて解決したことをなぜ蒸し返すのか」というのであれば、どこで、どう元日本軍「慰安婦」の名誉や尊厳が回復されたのか、示さなければならないと思います。日韓基本条約締結時、元日本軍「慰安婦」の問題はほとんど知られていませんでしたし、交渉でも全く取り上げていないのです。だから、この問題関する国連人権委員会の日本政府に対する二人目の勧告者であるマグドゥーガルは、この問題は「戦後締結された平和条約や国際協定によって、完全に解決済みである」と繰り返す日本政府の主張に対し、「条約が作成された時点では、強かん収容所(レイプ・キャンプ)の設置への日本の直接関与は隠されていた。これは、日本が責任を免れるためにこれらの条約を援用しようとしても、正義衡平法の原則から許されない」と、厳しい指摘をしているのです。


 下記は、『「反日」という病  GHQ・メディアによる日本人洗脳を解く』木佐芳男(幻冬舎)から抜萃しました。
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            第Ⅱ章 GHQによるマインド・コントロール

6 マインド・コントロールa2 公職追放
 GHQの指令によって、1946(昭和21)年から1948(昭和23)年にかけて、いわゆる公職追放が実施された。京大名誉教授・中西輝政によると、戦争犯罪人や戦争協力者、職業軍人、国家主義者とされた人など計二十万人以上が、職を追われた。政治家や教員、メディア関係者などで、日本の世論形成や政策決定などに影響を与える人びとだった。
 ドイツでは、占領当局の非ナチ化政策によって、1946年一月以降、すべての成人に対してアンケート調査を行い、五段階にランクづけし、これにしたがって指導的地位からの追放、罰金などを科した。
 日本ではこれとちがい、戦前・戦中の大企業や軍需産業の幹部までもが追放された。なかでも、大学をはじめとする教育の場やメディア機関には、追放された人びとのあとに極端な左翼分子が入り込み、組織が急速に左傾化していった。
 中西はこう指摘する。
「そういう(指導的な)立場の人々が一挙に二十万人もいなくなるということは、国や民族の根幹部分が一夜にして変質し、恐怖のため人々の思想が瞬時に大転換せざるを得なかったことを意味している」
「思想が瞬時に大転換」するとは、つまり、日本人への強烈な心理操作があこなわれたことを意味するだろう。中西は「この公職追放に関しては、信頼できる研究書はほとんど出されておらず、公文書を含め入手できる資料も限られているのが不思議」とする(正論2015年2月号)
 つい七十年前の重要なことなのに、われわれには知らされていない現代史のエアポケットがあるのだ。今後の研究が望まれる。
 公職追放された人びとの多くは、その後、米ソ冷戦の深刻化など世界情勢の急変で復帰することになる。だが、教育の場や多くのメディアの左傾化は変わらなかった。この公職追放をマインド・コントロールa2 としておく。
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           第Ⅴ章 左派とエセ平和勢力の没落

 5 マインド・コントロールb4
テレビ・ラジオを含む日本の各左派メディアは、慰安婦報道について朝日社長が正式謝罪するまで、慰安婦をめぐる事実の検証をして日韓摩擦の鎮静化ないし東アジアの平和に貢献しようとはしてこなかった。
 むしろ、朝日の慰安婦報道を「過去を反省する良識派の姿勢」として、好意的に報道するメディアさえたくさんあった。<推定有罪>の心理メカニズムを背景とした<善い日本人>ぶった姿勢だった。言葉を換えれば、朝日イズムがわが国のメディア界を席巻してきた。進歩的文化人とその系譜に連なる知識人も、朝日イズムの一翼をなしている。
 大阪市長・橋下徹は、2013年、「世界各国の軍にも慰安婦制度はあった」という内容の発言をし、2014年には、NHK会長・籾井勝人も同様の発言をした。メディアは「他国にもそういう制度が本当にあったのか。あったとすれば、なぜ、政治・外交問題になっていないのか」を調べ、報道すべきだった。だが、そういう動きをするどころか、発言者を根拠もなく叩いた。
 それは、メディア関係者や知識人の多くがマインド・コントロールされ、倒錯した正義感にとらわれているためにほかならない。日本の多くのメディアも、朝日の亜流として病んでいる。
 ドイツにも、強制売春という名の慰安婦制度があった。日本とちがい大がかりな強制連行の事実も歴史家によって裏づけられている。
 ワルシャワでポーランド高級紙『ジェチュポスポリタ』の女性論説委員コウォジェイチクにインタビューしたとき、なぜドイツの強制売春の過去を問題にしないのか聞いた。彼女はこう答えた。
「ドイツ人はどんな残虐なことでもしました。ドイツ兵たちは、妊婦を殺すまえにお腹をふみつけ赤ん坊が出てくるかどうか試した、などという記録さえあります。一ヶ月とか一年ではなく、六年ものあいだ毎日毎日、こうした残虐行為がつづきました。ポーランド人は、ただ殺されたリ強姦されたりしただけではなかったんです。強制売春はドイツ人による迫害のほんの一部にすぎません」
 だから、強制売春などいまさら問題にならないというのだ。筆者の取材に応じてくれたヨーロッパ三国の歴史家、政治家、ジャーナリストらは、旧日本軍の慰安婦問題とその成り行きに関心を寄せ、みな韓国側が最初に持ち出し外交問題になったと思い込んでいた。筆者が「いや、朝日新聞など日本の一部が火を点けて大騒ぎになり、日韓関係はこじれてしまった」といきさつを説明すると、信じられないようだった。そういう病的でアブノーマルな<反日日本人>らの話を、ヨーロッパ知識人が理解できるわけがない。日本でさえ、問題の本質は、これまであまり理解されていなかった。

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