きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「白鳥の湖」オサチェンコ&マッキー/シュツットガルト・バレエ団

2012年06月06日 | バレエ・ダンス
1幕。
王宮から離れた(と思われる)
自然豊かな町で、人々は賑やかに過ごしている。
そこへ、布を目深にかぶった占い婆登場。
娘さん達に恋占い。
家政婦には、家庭教師がピッタリ!と占う。
マントをとって、実は王子でした!という展開。
どこで登場の拍手をすればいいんだか。
でも最初からばっちりスポットライトを浴びてました。

その後は、ワルツ無しトロワ無し。
ブルメイステル版のいろんな音楽を使って
ソリストのソロの踊りをたくさん作ったんだと思う。
ベンノ+従者達の踊りと、王子+町娘達の踊り。
後者は女性ダンサーの一部にソロがある。
無駄に長い。
途中で飽きる。
いま何人目だから・・・と数えちゃうんだな。
そのあと王妃様登場。
各国の姫君の肖像画を持ってきて
誰か選べと命令。
その後に、町の人達の踊り。
王子はいつのまにか消える。

美術は良いんだけどなー。
レースを使った衣装は美しいし
お揃いではない町の人達の衣装もステキ。
なのに町の人達は殆ど踊らず賑やかし。
ガックリ。

2幕の群舞は美しくない。
白さが全くない。
ロシア系の「白鳥」をイメージが根底にある人は
見ていてツライと思う。
ロットバルトのマント捌きの悪さは絶望的。

3幕。
両脇・正面に2階建てのセット。
2階にも人がいる。
1階への階段はとても急。
というか、1段1段が大きい。

姫君も踊るパターンだけど、
私が持つ各国のイメージと振付が合っていなくて
見ていてしんどい。
どうしてスペインは飛びっぱなし?
ルースカヤのフォーメーションもゴチャゴチャ。
振付家としてのグリゴローヴィチは偉大だと痛感。

姫君達と王子との踊りは無し。

パ・ド・ドゥの王子のバリエーションはチャイパドの方。
オディールのバリエーションは、王子のチャイパドじゃない方。
アダージオのラストは、
王子が床に横たわり、上半身は床に直角。
(海賊パ・ド・ドゥの最後の有りのポーズみたいなアレ)
オディールは斜めっているのを下から支える。
変わったポーズだけど、だからなに?というか。

ロットバルトはハゲ。
オディールははロットバルトのマントの影から現れ
マントの影の中へ去る。
オディールは実在しない、悪魔が作った幻なのかも。

4幕。
音楽の基本はブルメイステル版。
やっぱり群舞は白くない。
後半の重厚な音楽の部分は
オリジナリティがあって良かった。
このまま行くかと思ったら
チャイコフスキーの音楽に戻った。
ちょっと拍子抜け。

ラストは、王子は溺死し、白鳥は去る。
すべては王子の命を狙った悪魔の陰謀だったのか。
ルートヴィヒ2世を重ねているようにも思えた。

全体的に、リアルな演劇部分と
もともとの様式美の部分が
噛み合っていないように思った。
2幕4幕の白鳥群舞は
基本的には手を加えられないという制約を
乗り越えることができなかったように見えた。
一から作るとなると芝居の整合性を考えられるけど
古典の改訂はそうはいかないんだな。
クランコも10割バッターじゃないということだわ。
前回の眠りは「うちは群舞はダメなんで、
ソリストの芸で穴埋めします」ってノリがあったけど
「白鳥」はやっぱり群舞が軸であって。
そこを綺麗に見せる意識が低いように思えた。
それはクランコの元々の思想なのか、
現在の芸監の力量の問題なのかは不明。
(芸監といえば、冒頭に配役変更ゴメンね、
 の挨拶がありました。
 挨拶は決まっているだろうから、
 通訳ももっと滑らかに話す体制を作ればいいのにな)

オサチェンコは、あまり華がない。地味め。
ロシアの「白鳥」を見慣れていると
腕の長さがちょいと足りない。
顔も大きめかなあ。
オデットは感情表現が薄い。
それは演出なのか、彼女自身の演技なのか。
よくわからない。
オディールの方が表情豊かで活き活きとしていた。
足は綺麗に上がるけど回転は苦手なのか
シングルだけど32回は回りきれず。
決めのポーズを長めにして、
王子にバトンタッチ。

マッキーは背が高く、スタイルが良い。
長い脚はラインが美しいだけでなく
足捌きも細やかで、ブルノンヴィルもいけそう。
生真面目だけどリキみはない、素直な踊り。
華やかさには少々欠けるけど
演技も上手かった。
ときどき決めのところが危うくなりかけたけど
きれいに決めていた。
32回転のところも、ほんの一瞬の間があったけど
すぐに中央に出て回転を始めた。
フォローのパターンが決まっているのだとは思うけど
流れを止めないでくれてありがたかった。
 

んんーーー。
ちょっと不完全燃焼で終わっちゃったな。


【配役等】
◆第1幕 王子の城近◆
ジークフリート王子:エヴァン・マッキー
ウォルフガング(家庭教師):オズカン・アイク
家政婦:リュドミラ・ボガート
ベンノ(王子の友人):アレクサンダー・ジョーンズ
従者たち:
 ロマン・ノヴィツキー、ブレント・パロリン、
 デヴィッド・ムーア、ローランド・ハヴリカ
町娘たち:
 ミリアム・サイモン、アンジェリーナ・ズッカリーニ、
 エレーナ・ブシュエヴァ、ダニエラ・ランゼッティ、ミリアム・カセロヴァ

王妃(摂政):メリンダ・ウィザム
王家の使用人、貴族たち:コール・ド・バレエ

◆第2幕 湖畔◆
ジークフリート王子、ベンノ
ロットバルト(邪悪な魔術師):ダミアーノ・ペッテネッラ
オデット(魔法をかけられた王女):アンナ・オサチェンコ
二羽の白鳥:ヒョ=ジュン・カン、ミリアム・サイモン
小さな白鳥:
 エリサ・バデネス、カタリーナ・コジェルスカ、
 ジュリー・マルケット、アンジェリーナ・ズッカリーニ
白鳥たち:コール・ド・バレエ

◆第3幕 玉座の間◆
ジークフリート王子、王妃
見知らぬ騎士:ダミアーノ・ペッテネッラ
オディール(その娘という姫君):アンナ・オサチェンコ
スペインの姫君とそのお付き:
 ミリアム・サイモン
 ペトロス・テティエリアン、ロマン・ノヴィツキー、
 デヴィッド・ムーア、マッテオ・クロッカード=ヴィラ
ポーランドの姫君とそのお付き:
 オイハネ・ヘレーロ、ローランド・ハヴリカ
ロシアの姫君:エリザベス・メイソン
ナポリの姫君とそのお付き:
 アンジェリーナ・ズッカリーニ、ブレント・パロリン
貴族たち:コール・ド・バレエ

指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団、東京バレエ学校

音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
振付・演出:ジョン・クランコ(伝統的演出に基づく)
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1963年11月14日、シュツットガルト・バレエ団

◆上演時間◆
第1幕(転換)第2幕 18:30 - 19:50
休憩 25分
第3幕 20:15 - 20:50
休憩 20分
第4幕 21:10 - 21:30
コメント
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