3月のとある日に、JICA青年海外協力隊員(環境教育担当)向けにスタディツアーを実施しました。
Yui-Tool telah mengajak volunteer dari JICA(Japan International Cooperation Agency) ke Gili Meno, pada bulan Maret 2017.
西ヌサトウンガラ州の環境林業局配属のNさんと、西ロンボク環境局配属のYさん。
(真ん中の子供たちはバンガローを経営しているご夫婦のお子さんたち)
ふたりとも昨年の10月頃から現地で働いています。
今回、ロンボクに入ってすぐ(3月上旬)、北ロンボクのギリ島(トラワンガン、メノ、アイルの3つの島があります)にごみを運ぶための車両が入ったらしい、という情報を聞きつけました。今まで、3つのギリは車両はおろかバイクの乗り入れも禁止されていて、とても静かなところだったので、いったいどういうことかと気になっていました。
北ロンボク環境局が関わっていると聞いたので、ギリ・メノ島に行きがてら局の人にヒヤリングをしようと考えました。
併せて、年明けに実行されたギリ・トラワンガン島の海辺の違法カフェの撤去についても話を聞きたいと思いました。
そして、現地で活動するJICA青年海外協力隊員も一緒に行ったら学びになるではないか、と閃きました。
ということで実施したスタディツアー。
まずは、北ロンボク環境局へ。
DLHPKP : Dinas Lingkungan Hidup, Perumahan dan Kawasan Pemukiman KABUPATEN LOMBOK UTARA
前々から繋がりのあった、スギアトナさん(写真左)に連絡して行ってみると、なんと局長(左から2番目)自ら対応してくださいました。
ゆ「ギリ島に、車両が入ったと聞いたのですが本当ですか?」
局「入れたよ。チドモ(馬車)じゃあ、ごみ集めにお金がかかりすぎると住民から要望があってね。」
チドモでごみを運んでいるのは、ギリ・トラワンガンで見たことがありました。こちらのページの下の方。
そして、トラワンガンもメノもチドモの料金がとっても高い。(東京のタクシー並み!)
ゆ「そのごみをロンボク島に運ぶと聞きましたが。」
局「トラワンガンとメノは、ごみ捨て場があるから運ぶ必要はない。ギリ・アイル島だけごみ捨て場がないから、それを運ぶ予定。」
ゆ「島にガソリンスタンドはないはずですが、燃料はどうするのですか?」
局「ロンボクから運ぶよ。」
局長は、本当はガソリン車を入れたくないんだと言いました。いずれは電気自動車かソーラーカーのような、エコカーを導入したい(日本から援助してもらえないかな?)ということでした。
ゆ「トラワンガンの海辺のカフェが撤去されたと聞きましたが。」
局「うん。きれいになったよ。店側とちゃんと話し合ってからやったから、なんの問題もないよ。もともと違法だったからね。」
局長は続けて、ギリ3島の島の周囲に「チドモ用」「歩行者用」「自転車用」の道を整備する計画があることを教えてくれました。
北ロンボク環境局でのヒヤリングを終えて、北ロンボクの在住日本人の方のおうちで昼食を済ませた後、バンサール港に向かいます。
1月から3月は、雨期の中でも海が荒れやすい時期。港から出た小舟は波でだいぶ揺れました。
さて、メノでは今回初めて自転車をレンタルしました。というのも、島を1周してみたかったから。
その前に、Diana Bungalowの管理人のご夫妻とごみ問題について話し合います。
北ロンボク環境局でこんなことを聞いてきたよ、とヒックスさん(写真右奥の男性)に共有すると、「住民は、島に車両が入ることには反対なんだ!」と語気を強めました。あれ?住民から要望があった、って言ってたけど…。「そんなはずはない。いったい誰が?俺は知らないよ」
ヒックスさんは、メノで一番ごみ問題を気にかけている人のひとりです。ギリ3島はあわせてひとつの村なのと、ヒックスさんの親戚は各島に散らばって暮らしているので、それぞれの島の情報はすぐに知ることができます。
ちなみにメノでも、毎日チドモがごみ集めにまわっているそうで、それに対してお金を払っている、と言っていました。
トラワンガンの海辺のカフェ撤去のことを聞いてみると…。「話し合いはあったよ。でも従業員は知らない人もいたから、急に店がなくなって困っている人もたくさんいるよ」とまた語気が強まります。「それに、違法なのは本当はカフェだけじゃないのに。大きなホテルとかは、壊されないからね。不公平だよね。」
ギリ3島はロンボク島の一部でありながら、そこに暮らす住民はロンボク本島とは独立した意識がとても強い、とヒックスさんや奥さん(日本人)と話しているといつも感じます。「ギリ島」と「ロンボク島」というそれぞれの島、という認識です。「ロンボク島にくっついたギリ島」ではないのです。それは、ヒックスさんの祖先がブキス人(スラウェシ島の出身)で、おじいさんの代頃にギリ島に移り住んだことと関係がありそうです。これらの島には、もともとロンボク人(ササック族)は住んでいませんでした。
島に車両を入れない、というルールも観光のために住民が決めたことのようです。
意見交換のあと、いよいよ島をぐるりと一周してみることに。
バンガローの奥さん(Hさん)も同行してくれます。ところどころ砂地で、自転車を降りないと進めない場所も。
途中で海岸沿いから中の道に入って、いろんなホテルやバンガローを横目に見ながら進みます。
あるホテルを指差してHさんが言います。「このホテルはインターネットや雑誌で紹介されていて、とてもきれいにPRしているけど、お客さんから見えないところにごみや排水を捨てていて、本当はとても汚いの」
なるほど。きれいな写真だけ見ていてはごみのことまではわからないものです。
↑ メノの港近くで。
途中で、以前話を聞いたごみを燃やしてレンガを作っている人の敷地を通り過ぎました。
(くわしくは、先ほども紹介したこちらのページの下の方に載っています)
どこに公共のごみ処分場(埋め立て地)があるのかな?と思ったのですが、確認できず。
メノをぐるっと回ってみて、見えない草地などにごみがドサッと捨てられているようなところは見当たりませんでした。
メノはトラワンガンと比べてとても静かで、人の数も少なめです。
自転車で走ってみて思いましたが、道はどこもせまく(チドモが一台走れるだけの幅しかない)、ここに車両を入れても走れなさそうでした。ごみを車で運ぶことより、埋め立てているだけのごみの山をなんとかすることのほうが大事ではないか?という気がします。
しかし、インドネシアではどこもごみをただ埋め立てているだけなので、それ以外の方法を環境局の人も考えつかないのかもしれません。
以前メノでコンポストを作るというグループに粉砕機を提供したそうですが、それもフォローアップをしていなので、環境局の人も「どうなったのかなぁ」と言っているだけでした。それについてヒックスさんにたずねると、そういうグループは住民由来のものではない、という話でした。要するに、外から来た人間が持ち込んだアイデアで、地元の人が関わらないところで進められている話、ということかな、と思いました。
何事も、地元の人と一緒にやらなければ続かないし、根付かないし、広がらないなぁと私は思います。
さて、翌朝はいつものようにシュノーケリングをしました。海が濁っていて、少し遠くまで行かないと魚の姿を確認できませんでしたが。
(後ろに見えるのが、ギリ・トラワンガン島)
今回はJICAの隊員にとって、ロンボク島のごみ問題を考えるいい機会になったのではないか、と思います。
ヒックスさんとHさんが管理する、Diana BungalowとDiana Cafeには、ごみひとつ落ちていません。
そしてCafeのショップには、ごみ銀行のクラフトを置いていただいています。(前回のブログの最後でご紹介しました)
ヒックスさんは、毎週日曜日の夕方、島の住民や観光客のみなさんと一緒に島全体の清掃活動をしています。
楽しみながら。みんなでわいわいと。そうやってごみが減ってメノがきれいになったらいいな、と願っています。
島の周囲に3種類の道ができることを聞くと、それはヒックスさんも納得しているらしく、「しょうがないね。うちもカフェとバンガローをちょっと奥に移動させる予定だよ」と言っていました。
少しづつ変わっているギリ島。ゆいツールは引き続き見守っていきたいと思います。
(山)
メノにいたドラゴン
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