ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

スタディツアー参加者が感じたこと in Sumatera

2013年10月22日 | 8. スマトラでの活動

前回のスタディツアーの報告に続いて、今回はツアー最終日におこなったプログラム体験とふりかえりの様子をお伝えします。

 

6日間のスタディツアーもいよいよ最終日。この日は、昨年度ゆいツールが開発した「生物多様性を学ぶプログラム」を参加者に体験してもらうところから始まりました。

ゆいツールのカウンターパートであるSERAIのスタッフ、ミアさんがツールを使って流暢に実施してくれました。

彼らが住んでいる森の絵の上に、参加者自身が生き物のカードを配置しながら、どんな生き物がどんなところに住んでいるか考えます。そのあと生き物同士のつながりを実感するために、クリップとひもを使ってカードを繋ぎ、「食べる」「食べられる」の関係を表しました。

この森にはたくさんの種類の生き物がいること、それらがつながりあっていること、森が失われれば生き物たちは住みかを失うということを、ツアー参加者は実感した様子でした。

 

その後、ツアーで訪れた場所で何が印象に残ったか、自分の村で何を試したいと思ったか、などをひとりひとり発表しました。

多くの参加者が、ブキッ・ティガプル国立公園(TNBT)の森がとても豊かであることに気づきました。同時に、ちゃんと守られていない、とも感じたようでした。それは、きちんと守られた森(Rumbioの森)を見学した影響かもしれません。

また、整備されたゴム園や有機肥料を使った野菜づくりなどは、自分たちにもできそうだ、と感じた様子です。

 

SERAIのディレクターのリキさんは、なにより「住民グループ」を作ることを真っ先に支援したい、と話していました。住民グループがあれば、地方政府からいろいろな支援が受けられるのですが、今までそのことを住民に伝えて、サポートしようとした団体はいませんでした。
国立公園の管理事務所には住民を支援するための部署があるようですが、彼らでさえお金がないことを理由に率先して村に行こうとはしてこなかったのです。

 

実際のところ、ツアー参加者がこのツアーに参加したことで急に目覚め、熱心にゴム園を整備したり野菜作りを行ったりはしないだろう、と私は思います。それを行うには、まだまだサポートが必要です。

まずは、サダン村で今年度ゆいツールが実験する有機肥料を使った野菜農園を、他の村の人が見に来たり話を聞いたりして、興味を持ってくれたらいいなと思っています。

 

次回は、ゆいツールの活動を現地でサポートしてくれているSERAI(スライ)とPKHS(ペーカーハーエス)という団体について紹介しようと思います!

(山)

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住民対象のスタディツアーを実施しました in Sumatera

2013年10月10日 | 8. スマトラでの活動

9月後半に、新スタッフの金子とともに、スマトラ島で活動してきました。

今回は、ブキッ・ティガプル国立公園(TNBT)内の村人10人をともなうスタディツアーと、サダン村での有機肥料作りのデモンストレーションなどが主な目的です。

 

(テッソ・ニロ国立公園で)

 

今回は、スタディツアーについて報告します。
以前のブログにも書きましたが、村の人たちは旅に出るお金がなく、他の地域のよい事例を学びに行く機会がありません。ゆいツールは、これから村で「森を守りながら暮らしを発展させていく方法」を村人達と一緒に考えるにあたり、熱心な村人10人をいくつかの場所に連れ出しました。

 

ひとつめの目的地は「テッソ・ニロ国立公園」。ちょうど私たちが訪れる1週間ほど前に、アメリカの映画俳優ハリソン・フォードが訪れて、インドネシアの森林破壊の現状に激怒したそうです。

(子ゾウに乗るダタイ村村長)

 

この国立公園は、いまや公園内の森林面積の半分が、すでに住民によって畑に変えられてしまったとのこと・・・。ハリソン・フォードが去って、私たちが訪れる間に、地域住民と、警察やそこで活動するWWFインドネシアとの間で、土地をめぐる衝突が起きたりもしています。

私たちはここで、住民による観光チームと天然はちみつチームの話を聞きました。
これらのグループは、WWFインドネシアがサポートして立ち上げ、今では地元の若者がリーダーとなって活動しています。

 

ふたつめの目的地は「ルンビオの森」。リアウ州の州都プカンバルからほど近いところにあり、貴重な水源地として村のグループが管理しているところです。ここでは森を散策したあと、整備されたゴム園を見学し、大きな川で行われている魚の養殖を見学したり、300年前から建っている木造のモスクを観光したりしました。

(ゴム園管理について話を聞く参加者たち)

 

みっつめの 目的地は、場所というより目的の“人”で、6月にも有機肥料作りをデモンストレーションしてくれたサイフルさんです。

サイフルさんが関わっている、有機農業を実践している農園を2箇所見学させてもらいました。

TNBT内の村人は、手をかけて野菜を育てた経験がありません。焼き畑に適当にタネをまいて適当に実った野菜を収穫するだけで、肥料をあげたり支柱を立てたりひもで結んだり…なんてことは未経験です。

 

ツアー参加者は、とくに「ゴム園」と「野菜づくり」に興味をひかれたようでした。自分たちにも経験があるけど、だいぶやり方が違う、というのが見学した彼らの率直な感想だと思います。

広い面積の森を切り開いて焼き畑(⇒ゴム園)にしなくても、もっと効率よくゴム や野菜を育てられるのではないか。そのヒントが得られた旅になりました。

 

次回は、スタディツアー終了後に行ったプログラム体験と旅のふりかえりの様子をお伝えします。(山)

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