◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎
G.W.をはさんで、まだ報告書作りと計画づくりに追われているゆいツールです。
作業の合間につぶやきます。
ゆいツールは、2014年12月からロンボク島のたくさんの村で「プラスチックごみを活用したクラフトづくり講習会」を実施してきました。
( ↑ ごみがこんなにかわいいポーチに生まれ変わります!ギリ・メノ島のショップへ最近納品したものの一部です)
もともとごみ銀行が立ち上がっていたところでやったこともありましたが、ほとんどは「ごみ銀行を知らない」「ごみをクラフトにすることに興味がある」「生活の足しになるような活動だったらやってみたい」「女性の生活支援の一部として」という村の女性たち向けでした。
ちなみに、この「ごみ銀行」というシステムはゆいツールが作ったものではありません。
インドネシアにすでにあった面白い取り組みに目をつけて、それを支援することが環境教育につながる、住民の意識を変えごみを減らすことにつながる、と思ったからこそ、ロンボクでの活動のわりと始めからゆいツールはごみ銀行とともに活動してきました。
いくつかのごみ銀行や、クラフトづくりができるようになった職人さんと接する中で直面する問題は、必ずしもゆいツールが得意とする「環境教育そのもの」と関係が深いとは限りません。
ごみ銀行の運営は、最初の段階で「人のマネージメント」能力が試されます。
と言うのも、ごみ銀行はだいたいにおいて村の女性たちが集まったグループから始まるものであり、そういったグループは上手にマネージメントできる人がいなければ、組織が空中分解して継続できなくなってしまうからです。
また、たった一人(または夫婦など)の思いのある人だけで運営していこうとして、自分たちに余裕がなくなったとたんに活動休止、というパターンもよく見られます。
そもそも、ごみ銀行を立ち上げるところまでいかないパターンが一番多いのですが。
最近、ゆいツールが運営サポートに力を入れているのが、タナ・べア村に立ち上がったBCごみ銀行です。
これは、一昨年度からいろいろと協働しているBright Course(ブライトコース:BC)という英語教室を運営しているトニーさんが、昨年11月に立ち上げたごみ銀行です。
この村で、ゆいツールが最初に講習会を実施したのは、2016年の2月でした。
その時に参加していたこの女性。Ini adalah ibu Sukimah yang tinggal di desa Tanak Beak.
昨年5月に2回目の講習会をした時の様子です。
ここにも同じ女性が。
他の女性たちは、いたりいなかったりする中で、この女性だけはとても熱心にクラフトづくりを学んでいました。
そして、その後私が村に行くと作ったものを持ってきて、「どうかしら?」「ここをもっとこうしたいんだけど教えて」「材料が足りないから街で買ってきてくれない?」など、いつもリアクションがありました。
そうしてとうとう、このブログの一番上に写真を載せたあのポーチを作れるようになったのです。
…しかし!「はい、よかったね。」で終わらないのが現実です。
トニーさんは、この女性を先生にして、村の他の女性も同じように上手にクラフトを作れるようにしたいと望んでいます。
それ自体は特に問題があるわけではないのですが…。
スキマさん(その女性の名前)はあまり他の人に教えることに熱心ではない、とトニーさんは言います。
教育者であるトニーさんは、ひとりの優秀な人だけが勝ち抜けるのではなく、みんなで協力してごみ銀行(そして職人)の質を高めよう、と考えています。
でも、教育者でもなんでもない普通の主婦(スキマさん)は、もしかしたらこんな風に考えているかもしれません。
「ゆいツールが村で講習会をやったときに、一生懸命学んでそのあと熱心に作り続けたのは私だけだった。ほかのみんなは、そんなに熱心じゃなかった。でも私はひとりで作り続けた。だんだん上手に作れるようになって、ゆいツールやゆいツールが連れてきた学生さんが買ってくれるようになった。ほかのみんなは、私が作ったものを売ってお金を稼ぐようになったから、急に羨ましくなってやりたい、と言い出したにすぎない。私は、最初の講習会のときから一生懸命やっていたからできるようになったのに。」(あくまで想像)
一般的に、インドネシア人はわりと「一人で勝ち抜け」が好きです。だって、私が一番一生懸命やってきたんだから。私が先に始めた(見つけた)んだから。
そして、自分が持っている知識や技術、情報を、他人と共有するのを嫌がるふしがあります。だって、教えたらその人が自分より先に行ってしまうかもしれないから。せっかく自分が培ってきたものを簡単に人にくれてやりたくない。
ごみ銀行としては、上手な職人さんが増えてお互いに切磋琢磨していろんな商品を開発できたら、販売先ももっと増えるかもしれない、と考えるのですが、職人さん一人一人はあまり広い視野では物事を考えていないかもしれません。
どうやったらスキマさんが、他の女性に教えたくなるか。
どうやったらBCごみ銀行の運営がスムーズに行って、もっと発展できるか?
ゆいツールは今、現地スタッフ(兼ウダヤナごみ銀行スタッフ)とともにBCごみ銀行の運営サポートに邁進(まいしん)しています。
(山)
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