ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

スタッフコラム★☆環境教育プログラムツールができるまで

2022年03月08日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

今年度、ゆいツールは「マングローブ林環境教育プログラム」ツールを開発してきました。

Yui-Tool mengenbangkan alat program pendiikan hutan mangrove dalam satu tahun ini.

(↑ これは、プログラムの中の一部。絵本「デトリタスってなんだ?」の表紙です)

本来であれば最初に目的を決めて、プログラムの全体像を作ってから、細部のアクティビティを開発していくのですが、今回私は目的を決めたあと、いきなり細部のアクティビティのためのツールづくりを始めました。

それは、インスピレーションを得るために行こうと思っていた沖縄の調査になかなか出かけられなかったためでした。

現地に行く代わりに、私は1冊の本を購入しました。

「マングローブ生態系探検図鑑」(偕成社)

この本を元に、マングローブの生態系をどうやって学んだらいいか考え始めました。

同時に、プログラムを監修してくれる専門家を探しました。

そしてなんと、この本を監修されている馬場繁幸先生(国際マングローブ生態系協会理事長、琉球大学名誉教授)と連絡をとることができ、ご協力いただけることになりました。

私は、ロンボク側でデザインを担当するパティに、マングローブの木々のイラストを描き始めるように指示しました。

(↑ パティの描いたイラスト)

それから、「マングローブや生きものとデトリタスの関係図」をカードゲームにすることを思いつき、関係図を読み解くことに夢中になりました。

先ほどの本の44ページに載っているイラスト(「マングローブや生きものとデトリタスの関係図」)をゲームにしようと思ったときから、私にとっては「デトリタス」がプログラムの中心になりました。

(↑ 最初に描いてみた関係図)

デトリタスとは、生きものの排泄物や生きものの死骸などの有機物が細かくなったもののことで、それらが微生物に分解されて水に溶けた栄養素になって再び植物に吸収されたり、デトリタスのまま他の生きものに食べられたりします。要は生きものが豊富にいるとデトリタスが豊富になり、マングローブの森がより豊かになるということ、それがまた生きものの多様性を呼び海を豊かにする、ということに繋がります。

「マングローブや生きものとデトリタスの関係図」を、ベース絵と生きものカードに分け、カードの裏面を読んでほかの生き物との関係性を学びながらベース絵にカードを置いていくゲームにしようと思い、ベース絵のデザインと生きものカードのイラストも、デザイナーのパティに頼みました。

↑ こちらは、ベース絵です。

黄色いところに、生き物カードを置きます。茶色い矢印は、排泄物や死骸を表し、青い矢印は食べられることを表しています。

赤い矢印は植物へ吸収されることを表しています。

生き物カードは、こんな感じです。

 

デトリタスについては、絵本を作りました。(冒頭の写真が表紙)

(↑ 1ページ目)

絵本をデザインしたのは、ボランティアのトゥリスナです。

子供向けに、親しみやすさを出した絵柄にしています。

プログラムづくりをする時、デザイナーはただ機械的にデザインをするわけではありません。

内容をよく理解し、プログラム製作者と何度もすりあわせをし、何度も修正を繰り返す必要があります。

ゆいツールが開発する環境教育プログラムツールは、使いながら修正を繰り返すことを前提としています。

そのため、デザイナーは外部ではなく仲間である必要があります。

ちなみに、昨年10月にやっと沖縄に行って、プログラムの全体像もそこで組み立て直しました。

2月末にロンボクでプログラムツールを試作し、子供たちへ実施しました。

そこでまた修正点がわかり、現在手直し中です。

現在、ロンボクの団体や政府関係者から、ゆいツールが開発したプログラムツール(ごみについて考えるプログラムも)について「学校巡回などで使いたい」、ゆいツールと「カリキュラムづくりを一緒にしたい」など、いくつか声をいただいています。

ゆいツールは今、ロンボク島に自然学校を作って、環境教育プログラムのカリキュラムづくりやツール開発、人の育成をしていきたいなぁと夢想しています。

思えば、マングローブ林環境教育プログラムもはじめは夢想から始まったのです。(2019年5月のブログ

夢想をプロジェクトにして、プロポーザル(企画書)を書き、予算を取る(多くは助成金を申請する)。と言うのが、NPOの活動の仕方です。

今回は、「環境教育プログラムツールができるまで」を少しご紹介しました。(山)

実際に試行したときの様子はこちら↓↓↓

西ロンボク バゲッ・クンバールで内陸の村の子供たち向けに実施(2022年2月)

西ロンボク 南レンバール村の子供たちに実施(2022年3月)

東ロンボク ギリ・ランプの子供たちに実施(2022年3月)

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