4月の終わり、ゆいツールはスマトラ島の南の端、ランプン州というところにある、ウェイ・カンバス国立公園の地域住民宅を訪ねました。(写真は、泊めてくれたお宅のご夫婦と)
●ウェイ・カンバス国立公園(TNWK)
スマトラ島の南東部の海岸に面したエリアにあります。
国立公園沿いに村が点在していて、そのうちのひとつを訪れました。
ここの住民による観光チームも、まだ結成されて間もないようでした。
スマトラ島ですが、住民の多くはジャワからの移民でした。
ここでも家畜が飼われていて、西バリ国立公園のスンブル・クランポック村と同様に、バイオガス利用が実験的に行われていました。
驚いたのは、たった一頭の牛の糞だけで4時間もガスを燃焼させることができる(コンロ1台で)、ということでした。
(↓ここから牛のうんちを投入。水と混ぜ合わせる。)
(↓そして、ここを通って地面の中へ)
地面の下に施設が埋められていて外からは見えませんが、その代り説明看板がありました。
ガスが抜かれた後の糞(水と混ぜるのでだいぶ水っぽいです)は、肥料として使えるそうです。においをかぎましたが、ぜんぜん臭くありませんでした。
ガスを使っているところも見学しました。
日本では、バイオガスを気軽に使っているところを見たことがなかったので、インドネシアの村でごく自然に設置されているのを見て、まさにこうやってこういう場所で使うものなのだ、と納得しました。
それから、この村では、すでにごみを利用した商品づくりが始まっていました。
まだグループも立ち上がったばかり、ということでしたが、定番の商品はいろいろなパターンで作られていました。
夜、そのグループの数人の女性たちを呼んで、ロンボク島での活動で開発中のごみプログラムを披露してみました。
併せて、スマトラ島プカンバルのごみ銀行で購入した、いくつかのカバンなども見せると、みなさん興味深そうに触っていました。
この村でもやはりごみは収集されておらず、分別して捨てるという習慣はありません。
ごみを利用した商品を作ることで、住民がごみ集めに関心を持ったり、村がきれいになることを目指しているようでした。
また、ちょうどバクの絵本(日本語のものに、インドネシア語をふったもの)を持っていたので、子供たちを呼んでゆいツールのボランティアスタッフが絵本を読み聞かせてみました。
最初に私が、「この動物はなに?」と聞いて、子供たちは意外とわからなそうにしているので、「そこの国立公園の森にもいるでしょ」と言うと、「知らない」という答えが返ってきて、びっくりしました。
すぐそこに森があるのに、森に暮らす動物のことを知らないなんて・・・。
後日、TNWKでも活動するPKHS(ペーカーハーエス)のディレクターにそのことを話すと、「以前は、周辺の学校でプログラムを行っていたが・・・」と言っていました。
NGOがプログラムをやらなければ、学校ではすぐそこにある国立公園について、教えることもないのだ、と思った出来事でした。
ゆいツールを案内してくれているSERAI(スライ)のリキさんによれば、「森なんて危ないから、住民は森には入らない」(だから、動物のことも知らない)ということでした。
ゆいツールが活動しているリアウ州のブキッ・ティガプル国立公園(TNBT)では、森と人がとても近くて、森の動物のことを村人はよく知っています。
でも一方で、木の皮をはいで違法に売ったり、高く売れる鳥を生け捕りにして売ったり、そういうことが絶えません。
バイオガスも、参考になりそう、と一瞬思いましたが、そもそもTNBTの住民は家畜を放し飼いにしていて、糞を一か所にまとめることさえ難しい、とリキさんと話していて気がつきました。
ジャワ系の人たちは、家畜のために人間がエサを取りに行き、糞の片づけもしますが、スマトラの人たちは、家畜は放し飼い。うんちの世話なんてするつもりはありません。
現在、TNBTのサダン村で行っている野菜づくりもそうですが、もともと村人が習慣として行っていないことを持ち込むのは、非常に難しい取り組みです。
他の国立公園のよい事例を見れば見るほど、TNBTの森で参考になることがあるのだろうか、と立ちすくんでしまいますが、どこかに道はきっとあるはず、と信じて進んでいきたいと思います。
(山)
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