ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

春が来たのに...(新型コロナウイルスとの戦い)

2020年03月29日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2020年の春がやってきました。桜が咲いています。

Musim semi di Tokyo. berbunga Sakura.

ゆいツールは、2月からずっと新年度の予算がつくかどうか気をもんでいました。

4つの助成金に申請しましたが、今のところ3つは不採用でした。

そして、助成金の結果を待っている間に、世界はたいへんなことになっていきました。

2019年度の活動のフォローをするために、4月にロンボク島へ渡航する予定だったのですが、3月20日からインドネシアでは空港でのVISA発給と30日VISAフリーが一ヶ月間停止されることになり、今までのように気軽に渡航することができなくなってしまいました。

また、3月25日には、日本の外務省から全世界への不要不急の渡航自粛要請が出されました。

現在、日本から出ることも、インドネシアへ入ることもできなくなりました。

原因は、新型コロナウイルスの蔓延防止のためです。

1月中旬に私がロンボク島&バリ島の活動から帰った頃には、すでに中国・武漢での新型コロナウイルスの感染者拡大がニュースになっていました。まだ最初は、人から人へ感染するのかどうかはっきりわからなかったので、遠くの方で起っている出来事だと感じていました。

それが今や、世界中で50万人以上が感染し、日本でも1、680人(3/28 23:00時点、クルーズ船などを除く。厚労省などによる)の感染が確認されています。アメリカの感染者が10万人を超え、イタリア、中国、スペイン、ドイツ、フランス、イラン、イギリス、スイス、韓国、オランダ、オーストラリア、ベルギー、トルコ、カナダ、ポルトガル、ノルウェー、ブラジル、スウェーデン、オーストラリア、イスラエル、デンマーク、マレーシア、アイルランド、チェコ、エクアドル、チリ、ルクセンブルクに次いで、日本となっています。(3月28日時点)

インドネシアも、すでに1、000人以上の感染者がいます。3月の始めに最初の患者が発見されてから、瞬く間に感染が広がりました。

ロンボク島でも、現在学校は閉鎖中、外出自粛要請が出されているようです。

ロンボク島にもバリ島にも、感染者がそれぞれ数人いる模様です。死者も出ています。

呼吸器系の病気のため、重症になると人工呼吸器が欠かせません。

医療設備の整っていないインドネシアでは、重症になったら助かる見込みは(他の先進国に比べて)とても低いでしょう。

ゆいツールのように海外で活動しているNGOにとって、このような事態は活動の休止へと繋がります。

何よりも現地に行くことができない(海外へ渡航できない)のは、本当につらいです。

すでに経済活動にも大きな影響が出ている中、いつ終わるともしれない長い戦いがまだ始まったばかりなのだ、という気がしています。

戦争を知らない私たち世代にとって、「自由に海外へ行けない」「外出はできるだけ控えて」「人と集まらない。イベントは中止」という状況はまさに、戦時中なのだ、と感じます。

「危機をあおるな」「自粛自粛で気が滅入る」「補償はどうなるんだ」色んな声があります。

でも、経済活動も命あってこそ。

スーパーマーケットで、棚が空っぽになってしまうのは、多くの人が買い占めをしたというより、みんなが少しづついつもよりも多く買っただけ。いつもより、ちょっと多く買うことを「買い占め」だと思っている人はいないと思います。

買い占めとは、トイレットペーパーやティッシュペーパーを山のようにカートに乗せている状態のことだ、とみんな思っています。

スーパーもコンビニも、平常時の消費者の購買行動を基に、商品を仕入れ並べています。

突然、多くの人がいつもとは違う買い方をしたら、仕入れも品出しも間に合わずに、結果空っぽの棚が並ぶことになります。

これから心配なのは、スーパーの品不足ではなく、感染者が急増して病院の機能がパンクすることです。

高齢者の多い日本では、イタリアのように、重症化したお年寄りの患者からより若い重症患者へ人工呼吸器を付け替える行為が発生する事態が、起る可能性は否定できません。

老人ホームなどで集団感染が発生しても、受け入れる病院がなくて、治療することを断念する事態になるかもしれないのです。

そして、病院には、他の病気にかかった人たちも入院・通院しているのです。

今回の、新型コロナウイルス蔓延の恐ろしいところは、世界中で発生しているということです。

地震や豪雨災害とは違うのです。災害に遭っていない国から、支援が送られる、といういつものパターンは期待できないのです。

そして、先進国と言われる国を中心に感染が急激に広がっている、ということは、後進国で今後感染が拡大しても、十分な支援を送ることはなお一層困難になるかもしれないのです。

そして、人の行き来がいつまで制限されるのか。

いったいいつまで、「イベントは中止」で、「外出を自粛」しなければいけないのか。

それは、今の時点で誰にもわかりません。

新年度、ゆいツールはロンボク島に行けるのか。助成金のあるなしに関わらず、いつまで活動を休止しなければいけないのか。

わかっているのは、今は非常事態/戦時中(新型コロナウイルスとの戦争中)ということだけです。

この状況を踏まえて、できる範囲で、工夫して、活動を続けていくこと、日々を生きていくこと。

心身を健康に保って、できるだけ長くストレスに耐えること。

過去の戦争を生き延びた人たちも、きっとこのような心理状態だったのだろう、と今は想像できます。

幸い、自然は変わりません。

桜が散れば、新緑の季節がやってきます。

早く状況が収まって、普通のことが普通にできるようになりますように。

(山)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)
Eメール:yuitool☆gmail.com

(☆→@に変えてメールをお送りください)

ホームページはこちら

https://yui-tool.jimdofree.com/

Facebookはこちら
★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エコガーデンを作ろう! in Lombok

2020年03月07日 | ★2019年度(ロンボク)

2019年度の、ドゥルカディチームの活動で報告していないものがひとつありました。

それは、「エコガーデンづくり」です。

(1年間の活動一覧はこちら

年度初めに、そんな活動の予定はありませんでした。

これは、9月頃チームキャプテンのコマンさんより提案があって、ランタン村のオパンくんの家(村ツーリズムでよくお客さんが泊まる家)の裏を整備して、ガーデンを作ったらどうだろうか、というものでした。

早速、この提案をチームメンバーに共有して「やろうやろう」ということになりました。

私からは、まずは「プラマ・ニン・プスパ観光ガーデン&教育センター」を見に行っておいで、と言いました。

Bulan November 2019, Tim Dulkadi telah datang ke Taman Perama Ning Puspa, berada di desa Suranadi, Narmada, Lombok barat.

(11月3日にチームメンバーで、プラマ・ニン・プスパ観光ガーデン&教育センターを訪れたときの様子です)

このガーデンのようなものを作るつもりはありませんでしたが、プラマさんがどうやってガーデンづくりを始めたのか、何が目的なのか学ぶのもよかろう、と思ったためです。

日本でも美化活動、と呼ばれるものがありますが、きれいな場所を作れば人はごみをポイ捨てしなくなるだろう、という期待があります。

行政による清掃活動の行き届いた大きな街の中心部や、きらびやかなショッピングモールなどを除いて、インドネシアには、ごみの落ちていないきれいな場所、というのはまだ多くありません。ましてやロンボク島・・・。

だからこそ、村の人たちの身近に、ごみの落ちていないエコガーデンがあったら、そこから子供たちにごみをごみ箱へ捨てることを教えられるのではないか。

(なにしろ村の子供にとっては、そこいらじゅうがごみ箱のような認識なので)

そして、村ツーリズムで宿泊する外からやってきた人たちに、ガーデンでゆっくりしてもらって、人気が出れば、他の村人も真似するようになるのではないか。

特別なものを植えたり、塀で囲んだりするようなものではなく、村の子供たちが自然に遊びに来るような場所、旅人が景色を見てくつろげるきれいな場所。

そういうガーデンを作ろう、ということになりました。どこに?ここに(写真下)。

Tim Dulkadi merencanakan membuat ecogarden di belakang rumah Pak Opan di desa Lantan, Lombok tengah.

11月終わりに、メンバー数人がオパンくんの家に集まって、まずはディスカッションをしました。

少し整備をしました。

後日、オパンくんのお父さんが竹を使って、柵作りをしました。

1月の終わりには、もう一度構想を話し合いました。

そして、2月のある日、メンバー全員が集まって作業をしました。

Pada bulan Februari 2020, Tim Dulkadi semua kempul dan kerjakan mambuat eco garden di rumah pak Opan.

1日かけて、大枠ができたようです。

その後、オパンくんが手をかけて、だいぶできあがりました。

ガーデンからは、田園風景が見渡せます。

そして、東向き。と言うことは、そう。朝日が昇ってくるのが見られるのです。

オパンくんも、庭を整備するまで自分の家の裏から朝日が眺められるなんて、知らなかったそうです。

今まで、うっそうと木や草が茂っていたためです。

庭は広いので、ここでキャンプもできそうです。

エコガーデンの名前をどうしようかと、オパンくんと考え中です。

ブリンジョー(belinjo: Melinjo)の木がたくさん生えているから、「Sunrise Ecogarden Belinjo(サンシャイン・エコガーデン・ブリンジョー」はどうかなぁとか。

何もなかったところに、素敵なガーデンができてとてもうれしいです。まだまだこれから少しづつ手を入れて、もっと素敵な場所にしていって欲しいです。

そして、村の子供たちが遊びに来たり、村ツーリズムのお客さんがくつろいだり、この場所を気に入って村全体をきれいにするきっかけになれば。

(山)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)
Eメール:yuitool☆gmail.com

(☆→@に変えてメールをお送りください)

ホームページはこちら

https://yui-tool.jimdofree.com/

Facebookはこちら
★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロンボク島を訪れ感じたこと(学生さんの感想)in Lombok

2020年03月01日 | 6. エコツアー参加者の声

1月初めに、ロンボク島でのゆいツールの活動に同行した学生Yさんの感想です。

Pada bulan januari 2020, Mahasiswi dari Jepang jalan2 ke Lombok. Dia belajar tentang kehidupan orang Indoensia, budaya, dan masalah sampah di Lombok.

+++

私は立命館大学の学生で、2019年9月から半年間インドネシアのバリ島の大学でインドネシア語を学んでいました。2020年の1月にゆいツールの活動に1週間参加させてもらいました。

(東ロンボクのスンバルン地区の幼稚園にて。後方左から四番目が筆者)

留学前からバリ島で人々の環境に対する意識調査を行いたいと思っていました。というのも、一年前にバリ島でダイビングをした際、海に浮かぶ大量のプラスチックやペットボトルを見て衝撃を受けたからです。メディアなどで環境問題についての情報は目にすることが多くなりましたが、実際に自分の目で見て他人ごとだと感じなくなりました。そして途上国(インドネシア)のゴミ問題、環境問題に関心を持つようになりました。留学先をバリ島にしたのも、2019年1月にビニール袋、ストローの使用が禁止された事を知り、ゴミ問題に対してアクションを起こしている多くの団体や、人が多いことを知ったからです。

バリ島留学中に、ゆいツールの行う環境教育や活動に興味を持ち、ロンボク島でごみ銀行やクリーンアップなど様々な取り組みがなされていることに関心を持ちました。また村での滞在で人々と関わり、ローカルな生活を体験し人々の環境問題に対する考えについて知りたいと思い、活動に参加しました。

私は1週間のロンボクでの活動を通して、様々なことを感じ、考え、学びました。

1つ目は、「人と人、そして自然と人のつながりの密接さ」です。

(滞在したランタン村で。泊めてもらった家の姉妹らと)

私は、ロンボク滞在中に3つの村を訪れました。どこの村も大勢の人が私を笑顔で迎えてくれました。異国にいるのにとてもほっとして、温かい気持ちになりました。村での生活を身近で体験し、現地の人の生き生きした姿を見ることができました。休む暇もなく、1日中色々な体験をさせてもらいました。滝に飛び込んだり、伝統菓子作りを体験したり、イスラムの文化に触れたりすることができました。すべての体験が新鮮で、バリでの生活とまた異なっていてとても刺激的でした。今でも写真を見返すと、村の自然の豊かさや人々の暖かさを思い出します。

数年前にロンボク島で地震があり、多大な被害を受けて訪れる人が減り、村ツーリズムの参加者も減っているということを聞きました。村ツーリズムは、村の自然を生かした観光ということで、村の人々によって発展させてきたものです。人を呼び込むためにパンフレットを作ったり、橋を作ったり、ツアーを考えたりして開発してきたものです。またそれは環境教育にもつながっていました。環境教育をすることで、村の景観維持につなげツーリズムを促進し、村をより魅力的な場所にする1つの方法でもありました。

2つ目は「自分の生活を見直すきっかけになったということ」です。

西ヌサトゥンガラ州の環境局へ行くことができ、政府側の意見や今後の目指すべき方針について聞くことができました。ゴミ銀行についても積極的に広げていこうと考えているそうです。

日本に長く住む私は、プラスチックを人の手でそのまま物に作り変えるなんて考えたこともありませんでした。そしてそれが暮らしを支える一つの収入源になるなんて面白い発想だと感じました。買って帰ったプラスチックでできた筆箱(写真上)は、日本で様々な人に興味を持ってもらえます。そしてロンボク島でのゴミ銀行について説明します。

村の人々の暮らしはエコで溢れているように感じました。

カバンや服はボロボロになるまで使い、野菜や肉も食べることのできる部分は全て食べます。

ただ問題なのは、(自分たちが捨てているごみが環境にどのような影響を与えているか)知らないという事です。これらを解決するためゆいツールが大きな役割を担っていると感じました。ゴミの分別や、ゴミ銀行、ポイ捨てをなくすなどまず環境教育が大事です。

(現地の人が作ったエコブリック。プラスチックの包装紙などを詰めて、ブロックの代わりにします)

途上国の人々は日本のような先進国が開発した大量のプラスチックを利用しています。例えば、シャンプーなどは本当はボトルで買った方がごみは少なくてすむのに、小分け包装のものの方が安いから、日々使えるお金が少ない人たちはそちらを買わざるをえない。地球環境<安さなのです。生活のために便利で安いものを使わざるを得ないのです。先進国が途上国に与える影響は非常に大きいと感じました。インドネシアが直面するごみ問題の責任の一端は私達日本人にもあることを忘れてはならないと思いました。先進国に住む私たちだからできること、変えるべきことを見直すきっかけになりました。

日本に帰国してから、キャッシュレス化など日本がより便利になっていることを実感しました。そして家でゴミを分別をする時、プラスチックの量に改めて驚くこともあります。消費者の私達にもできること、私が伝えることができることをは沢山あります。大量生産、大量消費国に住む私は、自分ゴトとして捉えて生活を見直していきたいと思いました。

そして活動を通して感じたことは、ごみ処理のシステムがまだ不十分なインドネシアでは、一人一人、1つ1つの村、1つ1つの島の意識を変えるということであると思います。州レベル、国レベルの対策に加えて環境について考える人、アクションを起こす人が増えれば、より多くの人が問題意識を持つようになることは可能であると思います。そのためにどれだけ時間がかかるかわかりませんが、そして何がゴールかは難しいですが、未来にインドネシアの豊かな自然を残すために今、すべての人の自分ゴト化が必要です。

滞在中、ごみを見つけるとドゥルカディチーム(ゆいツールが育てている若者たち)のみんなが、「あれはゴミではない、お金だ」と言っていたのがとても印象的でした。そのような意識の人が少しでも増えてごみ問題を他人ゴトに捉えないことが大事だと思いました。

(東ロンボクのマングローブ林にて)

(思い出に。マデくんが書いてくれたイラスト)

+++

Yさんが参加したゆいツールの活動(ブログ記事)はこちら。

日本の学生さんを連れて、スンギギエリアのごみ拾いに参加 in Lombok

日本の学生さんと一緒に、州の環境森林局でヒヤリング! in Lombok

若者たちがコンポストづくりを指導!? in Lombok

ロンボクの幼稚園と小学校で、「ごみについて考えるプログラム」を実施しました! in Lombok

ロンボクの高地スンバルンへじゃらんじゃらん(おでかけ)♪ in Lombok

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)
Eメール:yuitool☆gmail.com

(☆→@に変えてメールをお送りください)

ホームページはこちら

https://yui-tool.jimdofree.com/

Facebookはこちら
★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする