△▼△▼ 環境ワードコラム △▼△▼
今、世界では、サステイナブル・ツーリズムという概念が広がりつつあります。
それは、観光におけるSDGsにつながる考え方です。(SDGsについてのコラムはこちら)
サステイナブル(持続可能な)・ツーリズム(観光)。観光が持続可能である、とはいったいどういうことでしょうか。
例えば、観光資源である「自然」や「地域のおいしい食べ物」「おもてなしをする人々」「地域独自の伝統」「お土産になる民芸品・工芸品など」があります。
ツーリズムが活発になっても、訪れる人が捨てたごみなどで「自然」が壊されたり、「地域のおいしい食べ物」の材料が実は海外からの輸入品にならざるを得なかったり、「おもてなしをする人々」の収入が低くなって生活が苦しくなったり、「地域独自の伝統」を継承する人がいなくなってしまったり、「民芸品や工芸品」の材料が減少したり高齢化によって作る人がいなくなってしまったり、そうなったら観光は長続きしなくなります。
訪れる人も、迎える地域の人たちも、ツーリズムを支える資源を大切にし、一部の人が利益を独占するのではなく多くの人たちがツーリズムの恩恵を受けられるようにすること、あるいは地域の外の人が豊かになることよりも、地域の中の人たちが豊かになることに重点を置くようにすること。
そんなツーリズムのあり方、ということができます。
さて、ゆいツールは、ロンボク島で「村ツーリズム」を開発してきました。ゆいツールが開発した「村ツーリズム」は、村でのエコツーリズムを指しています。
(2017年12月に実施した学生向けエコツアーの一場面。ツアーの様子はこちらに)
私は、すべてのツーリズムは「エコツーリズム」であるべきだ、と考えてきましたが、結局それは「サステイナブル・ツーリズム」と置き換えることが可能です。
エコツーリズム(エコツアー)は、自然の中で遊ぶことだけを指しているのではありません。
逆に、自然の中で遊んでも、そこに自然への配慮や学びが欠如していたら、単なるアドベンチャーでしかありません。
例えば、(多くの)インドネシア人は、滝や海辺へピクニックに行くのが大好き。お弁当やお菓子や飲み物を持参して出かけて、自然を満喫しながら食事も満喫して、ごみは適当にその辺に捨てて帰ります。ピクニックに行くときだけでなく、日常的に、ごみを川に捨てたり、車やバイクからポイ捨てしたり、イベントなどやろうものならゴミ箱を探す前にぽい、です。彼らは、「誰かが片付けるだろう」「どこに捨てたらいいのかわからない」「汚いものを持ち歩きたくない」と思っています。
今、インドネシアは(少なくともロンボク島がある西ヌサ・トゥンガラ州の政府は)「村ツーリズム」を地域振興のひとつの柱にしようと考えているようです。
本来、村ツーリズムは「サステイナブル・ツーリズム」の考え方をベースにすべきものだと私は考えますが、多くの村の人が捉えている村ツーリズムは、単なる村でのツーリズム(観光)でしかありません。
それもある意味仕方がないことだと言えます。なぜなら、インドネシアは最近こそ発展してきて、中流家庭(普通街に住んでいる)が増えて旅行にでかける機会も増えましたが、環境教育の場はほとんどないし、村の人が観光に行く機会もめったにありません。村ツーリズムというのは、政府が予算をつけて観光地を整備してくれて、外から訪問者が来て、食堂やお店を開いたら儲かるんじゃないか、という程度の認識です。
だから、村長などが地方政府に期待するのは、やれ駐車場を作ってほしい、とか、道路を整備してほしい、とか、そういうハード面のことになります。
でも、ゆいツールが行っている「村ツーリズム」は、村に今ある資源を生かして活用する方法です。
もちろん、駐車場や道路が整備されたらそれに超したことはありませんが、たくさんの人がどやどやと訪れるツーリズムを目指していないので、なくてもなんとかなります。重要なのは、ソフト。人や自然環境や文化や伝統的な暮らしそのものです。
今までの活動の成果としてあげられるものは、以下のとおりです。
●ゆいツールが一番最初に村ツーリズムを試した中部ロンボクのタナ・ベア村のトニーさんの活動。
(2016年12月のツアーの様子はこちら⇒タナ・ベア村「村の生活満喫編」、「村の若者とワークショップ編」)
トニーさんは、ゆいツールと一緒に活動する中で、村ツーリズムが何であるか理解した後は、自分で実践しています。
トニーさんは、村で英語教室「Bright Course」を運営していますが、欧米のお客さんが来ることが度々あります。トニーさんは、彼らを村に案内して、村の暮らしを体験してもらったり、時にはパイズルさんのごみ銀行に連れて行ったり、村にあるドラゴンフルーツの観光農園をもり立てようとがんばったりしています。
●ゆいツールが今も協働している、中部ロンボクのランタン村のBale Lantan(若者グループ)
(ランタン村を訪れた日本人の学生さん)
トニーさんと一年目に村ツーリズムを試した後、ゆいツールはとなりのランタンむらに場所を移しました。
こちらには、やる気のある若者たちがたくさんいて、ゆいツールは彼らとタッグを組むことにしました。
今では、ランタン村にいくつかの村ツーリズム実施グループがあるようですが、ゆいツールは最初から一緒にやっているBale Lantan(バレ・ランタン)のメンバーとエコツアーを実施しています。
●西ロンボクのブウン・スジャティ村のマデくん
ブウン・スジャティ村のマデくんは、以前このブログでも紹介しました。
ロンボクの村ツーリズムが、サステイナブルなものになるように、ゆいツールは今後も若者たちと一緒に活動していきます。
(山)
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