![]() | 調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)野村 進講談社このアイテムの詳細を見る |
「調べる技術・書く技術」
野村進・著(講談社現代新書)
人に話を聞いたり、それをもとに文章を書く仕事をしている。
「調べる」「書く」作業に臨む際の注意事項は、頭の片隅に置いているが、その1つひとつを深く考えたり、問い直す機会は多くない。
自分の仕事を少し客観的な視点で考えてみようと、野村進氏の「調べる技術・書く技術」を手に取った。
本書は、テーマを決める、資料収集、人物への会い方、話の聞き方、原稿の書き方などなど、取材・執筆に携わる人にとっては基本の中の基本といえる事柄をまとめている。
一般の人が、ブログなどで情報を発信する時代。
誰もがインターネットで情報を収集し、パソコンで文章にまとめて、気軽に公表できる。
しかし、多くの読者を惹きつける原稿は、取材・執筆する者が基本的な事柄を徹底した結果、生まれるものだろう。
本書の中で、特に面白いのは、野村氏が実際に取材・執筆した原稿を題材にした部分だ。
「AERA」の「現代の肖像」で取り上げた歌舞伎俳優・市川笑也さんの人物ノンフィクションと、月刊「現代」の「ニッポンの現場」で掲載された「五人の少女はなぜ飛び降りたか」という事件ノンフィクションを引用しながら、これらをまとめるにあたり、着眼した点や構想の変更、取材の進め方などを、やや大雑把ではあるが紹介している。
手の内をすべて明かしているわけではないが、野村氏の取材の雰囲気はつかめて興味深い。
私にとっては、自分の仕事と照らし合わせる素材となり、「プロの仕事とは、どういうものなのか」を考えさせられた。