![]() | 精神病者自らの手で―今までの保健・医療・福祉に代わる試みジュディ チェンバレン解放出版社このアイテムの詳細を見る |
【精神病者自らの手で】精神病者とは?
最近、「OnOurOwn」(翻訳書タイトル:精神病者自らの手で)の著者ジュディ・チェンバレンさんが亡くなったと知った。数カ月前にこの本の存在を知り、「読もう」と取り寄せて
いたのだが、なんとなく手をとるのを先延ばしにしてしまっていた。彼女の訃報が背中を押すかたちになり、ページをめくった。
ジュディは、結婚後、妊娠したが流産。それをきっかけに精神的に不安定になる。
「精神病院」への入退院を繰り返す。その過程の記述は、とても重々しい。しかし、自分自身の「病」に必要なのは、精神病院という施設や、患者を薬漬けにする医療ではないと気がつく。
精神病院は、そこに入れられた人々に「患者」という役割を与え、その役割をこなすように仕向ける構造を持っている。患者の役割を上手にこなして上手くやれば、施設内で過ごしやすくなる。患者は「施設病」となり、外に出ることが恐くなる・・・・。
こうした構造に彼女は気がついた。
日本では、精神病院の数が多いと聞いたことがある。
この背景には、「臭いものには蓋」というような文化的・社会的傾向があるのかもしれない。
「On Our Own」が執筆されたのが1977年。
日本で翻訳が出版されたのが1996年。
「浦河べてるの家」の取り組みなどが紹介されたのはここ最近だったと思うし、患者のセルフヘルプグループの取り組みは、日本では、まだこれからという印象だ。
本書の中で、ジュディはこんなふうに言っている。
「自分が劣っていると確信すると、人は行動を起こすことができません。
劣っていないことの発見によって解放されるのです。」
患者が自分自身を取り戻せる場。
その必要性を強く感じさせる言葉だった。