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演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
引きこもりや不登校の子供たち。
背景にはさまざまな理由があるけれど、
いわゆる「良い子」が多く、
子供たちは「自分を演じるのに疲れた」「本当の自分じゃない」と言うそうです。
そのような子供たちに関して、
劇作家の平田オリザ氏は、次のように、話しています。
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大人はですよ、さまざま役割を演じながら生きていますよね。
例えば、教師とか、父親とか、夫とか、親と暮らしていれば子どもとか、マンションの管理組合の役員とか、いろんな役割を演じながら、人生の時間をかろうじて前に進めていると思うんですよね。
ところが子供に対しては「本当の自分を見つけなさい」とか「本当の自分の意見を言いなさい」とかいうわけですね。
でも、本当の意見なんか言ったら、困るじゃないですか。私たちは。
普段の私たちは、社会的な生活や他人との関係の中で表現ってのは生まれてくるわけで。
これを私たちは、タマネギの皮に喩えるんです。
タマネギっていうのは、どこからがタマネギでどこからが皮ってことはないです。
こういうのを演劇の世界では「ペルソナ」といいます。
ペルソナというのは、「仮面」という意味と、パーソンの語源となった「人格」という意味の両方を兼ね備えているんです。
要するに、仮面の総体が人格なんです。
だから、私たちは演じる生き物なんですね。
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なるほど、と思います。
平田オリザさんの言葉には、力があります。
相田和弘監督が、平田オリザさんや劇団「青年団」を撮影した観察映画
「演劇1」
「演劇2」
を観ました。
本書は、この映画をつくる過程についてまとめたもの。
まず、映画を観てから読むことをお勧めします。
私は、中学・高校時代に演劇部に所属していましたが
この映画を観て、平田さんの言葉から、
「私は、どうして演劇が好きなのか?」
その理由がよく分かった気がします。