自分が手掛けた仕事、
自分がつくったもの、
自分が取り組んだこと
それらについて、満足する。
他人の評価など気にせず、
自分で自分を誉めあげる。
自己満足は、とても大切だと思います。
でも、
「ずっとそれでいいのか?」というと、
そうでもない気がしてきます。
自己満足とは、
自分が持っている評価のものさしで測って「満たされた」という状態なので、
どんなものさしを持っているかによって、満足度は異なります。
世間しらずだったりしたら、
ささやかな仕事を「大きな仕事ができた!」と勘違い
してしまうかもしれません。
「良くできた!」「成し遂げた!」と思っていたことを、
冷静になって振り返ると、
「あれは、独りよがりの満足だった」
と思うものもあるかもしれないです。
自分一人で完結するものなら、自己満足だけでよいですが、
仕事とか、コミュニケーションとか、他人と関わりを持つものは、
それだけではダメですね。
自分以外の他人の満足も見据えた形で取り組まないと
うまくはいかないと思います。
木村俊介さんが、寄藤文平さんに聞き書きしてまとめた著書「デザインの仕事」は、デザインに関わる仕事だけではなく、「仕事とは何か?」とか「物にはどんな見方があるのか?」「人に伝わる・伝えるためには、どうしたらいいのか?」とか、さまざまなテーマを考えさせられる本です。
寄藤さんは父親の影響を強く受けており、
本書では、「絵(デッサン)」に関して、
父親と口論になった経験から気が付いたことを紹介しています。
美術大学や芸術大の学生は特に、若いこともあり、
自分の作品は思い入れがあるため、
作品に感情移入してしまいがち。
「この作品こそ、俺だ」とでも言ってしまいそうなくらい
感情を入れてしまうことがある。
しかし、
寄藤さんは、父との口論の経験から、「・・・いや、待てよ」と考える癖が
身に着けていた。作品と自分との間の距離感をとることができていた。
社会にでてから振り返ると、もし、作品と自分の間の距離をとれていなかったら、
「それは危険なことだった」と寄藤さんは言います。
つまり、自分の仕事(作品、活動など)について、感情移入しすぎない。
そして、少し冷静な視点で客観的に眺める視点を持つことが大切。
自分の仕事を、主観と客観を行ったり来たりしながら眺めてみようと思いました。
デザインの仕事