「この人が、日本人で良かった」と、私が勝手に思っている人がいます。
正確に言うと、「同じ言語を使っている人で良かった」ということで、
なぜなら、この人が書いた本やら、書いた文書を読むことができ、
学ぶことができるからです。
それは、ずばり、福岡伸一先生。
生物学者です。画家のフェルメールについて書かれていたり、
最近は哲学に関する本もあります。
福岡先生が物事を解説する時に使う比喩、例え話は、状態とか情景が絵に浮かび、
感覚的に、私にはピタッときます。
あぁ、分かりやすい。
ここで、その例えを使うのか、
すごいなぁ、この先生。
こういう先生の授業だったら、眠くならないだろうな。
と思ったりします。
最近、手に取ったのは「センス・オブ・ワンダーを探して」という
阿川佐和子さんとの対談本。
福岡先生と阿川さんの
子ども時代のエピソードから始まり、
「生きているとはどういうことか」とか
「科学の進歩は、人を幸せにするか」とか
とても深いテーマに触れている章もあります。
私は、物事の見方について、改めて考えさせられた点が多くありました。
福岡先生は、
「本当は世界は繋がっているのに、私たちは常に部分を切り取ってその中だけでものを考えがちになっている」と指摘しています。
私は、この箇所を読みながら、
世の中で起こっていること、
例えば、環境問題について、
自分の暮らしや健康や生命に繋がっているという意識を持って、ものを考えることができているだろうか?と考えました。
「たしかに、問題だ」と思いつつ、
一方で、とりあえず、今、直接、自分の暮らしに困った現象が起きていないということで、安心してしまっていると思います。
つまり、判断基準は、自分の健康とか暮らしとか、自分だけの世界で捉えていて、
地域とか、自然とか、環境とか大きな世界とのつながりを、どこか薄いものの
ように感じているのです。
私の物事の見方って、大丈夫?
そういう見方では、見えないところがたくさんあるんじゃない?
と思わせてくれる一冊でした。