千葉県香取郡にある老舗の造り酒屋「寺田本家」、先代(23代目)当主
寺田啓佐(てらだけいすけ)さんの著書「発酵道 酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方」。
2007年に出版された本なのだが、今、読んでも、古くない。
コロナ禍の影響を受けて「新しい生活様式」で生きていかなくてはならなくなった
今だからこそ、この本で書かれていることが響く。
造り酒屋の経営がうまくいかず、病気にもなってしまったことを機に、
著者は、自分自身を見つめなおす。
「何が、いけないのか?」
「どうすれば、いいのか?」
「何を大切にして生きていけばいいのか」という問いに向き合う。
「発酵すれば、腐らない」という事実を見つめなおし、
酒造りについて、
微生物の働きについて
素材について
生き方について
考え直す。
様々な人に会い、学んでいく。
本書の中で、勧められている生き方のポイントに「真面目(しんめんもく)に生きる」がある。
これは、自分の面目に正直に生きるということ。
他と比較することなく、
本当の自分、ありのままの自分らしく、
酒蔵の微生物たちのように生きることだ。
一般的に「真面目」は「まじめ」と読み、これは真剣であることを意味する。
真剣であることは悪いことではないが、何を目的に、何を手に入れるために、真剣であるかが重要だと思う。
「真面目(しんめんもく)」が基盤になければ、真剣に取り組んでいても、それは楽しくないだろう。
本書には、
「頑張る」という言葉は、「我を張る」ということでもあるという指摘もある。
何を大切にして、頑張るのかも、改めて、問い直したい。
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発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方