東京23区内に在住・在勤していても、盲導犬と歩いている人に出会うことはほとんどない。
だから、盲導犬ユーザーが日ごろ生活の中で、どのようなことを愚痴りたくなるのか想像がつかず、タイトルから興味を持った。
脚本家・宮藤官九郎さんのポッドキャスト「愚痴をコントにさせていただきました」(Amazon Audible)の作品「盲導犬ユーザーの愚痴」を聞いてみた。
このポッドキャストは、ラジオ番組「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」で、宮藤さんがゲストから聞いた愚痴を題材に新たに書き下ろした10本のコントが収められている。
「盲導犬ユーザーの愚痴」はその1つだ。
前半にコント、その後に、ネタ元になったラジオ番組の内容が収録されている。
「盲導犬ユーザーの愚痴」のコントは、盲導犬とユーザーのやりとりに笑って、最後は少しほっこりする。
後半、ネタ元となった宮藤さんと盲導犬ユーザーとのやりとりからは、盲導犬との生活や、盲導犬ユーザーに対する一般の人の言動を知り、学ぶことが多かった。
犬好きの人なら、盲導犬を見て触りたくなるかもしれない。
犬の名前を尋ねるかもしれない。
でも、盲導犬は、ペットで飼われている犬とは異なる。
盲導犬がどのようにユーザーさんと一緒に歩いているかを詳しく知ると、
盲導犬を触ること、名前を尋ねることがいかに迷惑なことなのかが分かる。
私自身、この話を聞いて「知らないことって、怖いな」と改めて、思った。
愚痴は、たいてい「言っても仕方がないこと」だ。
ただ、愚痴をコントにしてもらえると、ネタとして価値があるものになる。
さらに、コントを見聞きした人が、ネタに含まれている社会的な問題や課題に気が付いたとしたら、どうだろう。
「言っても仕方がないこと」では無くなってくるのではないか。
「盲導犬ユーザーの愚痴」は、多くの人にぜひ、聞いてもらいたい。