評判に違わずの”ええっ?”本でした。
ロバート・B・ラッシュ氏の「暴走する資本主義」を始め、資本主義の矛盾について書いたものは山のようにあるので、タイトルを見ただけでは読まないはずでしたが、構造改革の必要を訴えてきた著者の「転向」の書ということで話題になっていると聞いて手にとりました。
中谷氏は「入門マクロ経済学」以来のファンで、いま本棚を見回しただけでも「ITパワー」、「次世代リーダー学」、「にっぽんリセット」、「コーポレート・ガバナンス改革」等、買ってきました。日本の将来を憂えておられ、人材教育に力を入れるという主張は共感が持てていました。
しかし、今回の本は、経済学の素人から見ても、底が浅いように感じました。
前半部分はどこかで読んだようなことがあまりデータもなく述べられていました。
後半部分の日本についての分析は確かに一面言えることだけれど、それがすべてかなあって思いましたし、提言についてはじゃあどうすればいいかについて、具体的な方法は示されていませんでした。
・・・全体的に遣っ付け仕事のようで失望しました。
ところで改革はストップしてしまうのでしょうか。
雇用情勢が悪化しているいまは、セイフティネットとしての政府が行動すべきと思いますが、それが即、大きな政府の議論と結びついているような。。。
政府は国民を守るために必要な時にお金を使わないといけないですが、集めた以上のことはできない。高福祉であれば高負担になることは国民もしっかり理解をしておかないといけないんじゃないでしょうか。
債券を発行して今を支えることが将来の利益になるから、将来の負担になるけど国債を発行しましょうとか、福祉を充実するために払える方の負担は増えますよなどということを政府がわかりやすく説明すべきと思います。
単純に現在の状況は行き過ぎた規制緩和のせいだ=改革は失敗だった、だから元に戻しましょうは、本質を隠したあまりにも不誠実な対応だし、それを助長する評論、意見は無責任すぎるように思えますが。。。