本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

「フェイスブック 若き天才の野望」デビット・カークパトリック著

2011-03-24 00:53:02 | 本・雑誌、読書
映画「ソーシャル・ネットワーク」原作と思って読んでみました(原作ではないようですが・・)。

今最も注目を集めているSNSのフェイスブックの成長が丁寧に書かれていました。

この本は、フェイスブックのマーク・ザッカ―バーグについて書かれた本ですが、この本を読みながら、過去同様な軌跡を描いて成長した企業、マイクロソフト、グーグル、アップルについても考えました。

いまや公共インフラと言えるIT、ウェブがごく少数の企業の卓越した技術、それもカリスマというべき存在の創業者が信念を持って推進した技術に支えられていることを再認識しました。
この人たちがいなかったらいまのIT・ウェブ環境はなかったのだろう(代わる人が出てさらにすばらしいサービスを提供していたかもしれませんが)と思うと天才たちの功績に敬意を払わざるを得ませんが、ほとんど独占と言える状態が、近未来のSF映画を連想させて、経営陣が暴走してしまうと世界全体がおかしくなってしまう状況もあり得るのではと恐ろしくなります(想像力あり過ぎ?)。
また、この本の中で描かれている投資家たち、鋭い嗅覚でお金になりそうなビジネスを見つけ、大きく投資するその姿は、自分にとってはまったく別世界でこの本から受ける印象に過ぎませんが、やはり資本主義の一つの姿を表しているようで、気味悪く感じます。

フェイスブックを使っている人の滞在時間は他のSNSなどに比べ、格段に長いそうです。古くはテレビと番組、そしてゲーム、携帯電話、SNS、自分たちを夢中にさせ時間を奪うモノ・サービスがどんどん生み出され、ますますゆっくりと考える時間が奪われていきます。

しかし、SNSは単なる娯楽ではないようです。

本の中でゲーリー・ハメル氏の言葉が引用されていました。
「現在ウェブで起きているソーシャル化という変容は、われわれの大小さまざまな組織に対する考え方を根底から変えるだろう」あるいは「人間の能力を集約し増強する」方法は基本的に2通りしかない。官僚制と市場として、「そしてこの10年の間にネットワークという三番目の存在が現れた。それはわれわれが複雑な仕事を一緒に行う手助けをする。と同時に誰の声を聞かせるかを決めるエリートの権力を破壊する」

ネットワークの核心をつく言葉であり、この本の中で最も印象に残ったところです。

オバマ大統領の選挙戦(よく引用されますが)や最近のアフリカや中東の民主化の戦いなど、現実にネットワークが大きな役割を果たす事例があって、この言葉を証明しています。

ただただあこがれを持って眺めるしかない天才たちの姿を面白く追うとともに、描かれたウェブの世界を通じて、今後のわれわれの生活、考え方、あり方などを考えさせてくれた本でした。

読む人によりさまざまに楽しめる本だと思います。


コメント
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