(67)於岩稲荷(新宿区左門町)★
この地にあった於岩稲荷が、明治になって田宮稲荷と改称して移転した後、その跡地に建ったのが、現在の於岩稲荷である。この稲荷、余程儲かるとみえて、向かいには寺が運営する同名の稲荷も建っている。芝居の話と実際の人物像とはかなり違うようだが、そんな事は稲荷にとってはどうでも良い事らしい。要は、参詣客が心安らかになり、稲荷が繁盛すれば、それで良いのである。この種の稲荷には願を掛ける人の思いが渦巻いているかも知れず、そんなものに取りつかれても困るので、横目で拝んで、さらりと通り過ぎる。
(68)甲賀稲荷(渋谷区千駄ヶ谷1)
鳩森神社に上まで登れる富士塚があるということなので行ってみた。すると富士塚の脇に稲荷があることに気がついた。甲賀稲荷といい、この近辺にあった甲賀鉄砲組の社であったという。ひょっとすると、鉄砲組と稲荷とは何かの縁があるのかも知れない。とりあえず、稲荷の鳥居の前で一礼して立ち去る。
(69)榎稲荷(渋谷区千駄ヶ谷2)
鳩森神社の近く、寺の裏参道と思しき場所に稲荷の鳥居があった。石段を上ると、途中の洞に稲荷の小さな祠が祭られていた。この稲荷、テレビで取り上げられた事があったような気もする。稲荷の名の起こりとなった榎は既に無くなっているらしく、今ある稲荷の祠もメモリアルに近いものかも知れない。立ち去る前に洞の中を覗いてみると、猫が一匹、こちらを睨んでいた。