どもです!またまた800文字チャレンジです~。
対峙するガウゼロ。殺し愛、みたいな。
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「ガウリイさんて、マゾなんですか?」
煽るような台詞だが、その台詞を吐いたゼロスはやけに不機嫌そうな顔をしている。珍しく苛立ちを隠しもしないで錫杖を地面に突き立てるのが、ガウリイには新鮮に映った。
「……はは、そんなつもりは無いんだけどな」
言いながら、血の味のする唾を吐き出した。
――こめかみから流れる血が鬱陶しいが、頭ははっきりしている。息も切れてはいないし、動く事は出来る。
努めて冷静に己の状態を確認しながら、ガウリイ=ガブリエフは剣の柄に手を掛け立ち上がる。まだ、ここで立ち止まるわけにはいかない。
「残念ながら、此処を通すわけには行かないんですよ」
上位魔族。ゼロス=メタリオムはそこらの下等魔族とは一線を画す存在であり、また人間など虫けらの如く握り潰す事も出来る、そういう存在である。忘れていたわけでは無いが、その単純な事実をはっきりと思い出す。
ゆらりと伸ばされる手。その手が軽く振れるだけでこちらの命が露と消えるかもしれない。普通に考えれば、こちらに勝ち目はない。――普通に考えれば。
「そう言われてもな。そっちにはリナがいるんだろ?」
それならば、彼女の元に行かねばならない。『自称保護者』の名に懸けて。
「……魔族と人間の力の差、知らないわけではないでしょう?」
「そっちこそ、それであいつが一体何匹魔族を倒してきたと思ってる?」
「今は貴方の話をしてるんですけどねえ」
「おっと、確かにそうだったな」
思わず笑ってしまって。そんなガウリイに対して、圧倒的優位なはずの魔族は小さく舌打をした。
「ああ、惜しい。惜しいんですよ、ガウリイさん。僕は貴方をもっと、もっと極上の状態で殺したかったのに」
魔族らしい台詞。それがまた面白く。
「少しずつ余裕を奪って。身体を刻んで、恐怖を植え付けて。怒りを、絶望を引き出して。貴方の負の感情を余すことなく食べ尽くして差し上げたかったのに」
「熱烈だなあ」
時間が無い。互いにそうだった。だから、この話は終りだ。
「じゃ、行くか」
振り抜いた斬妖剣は、いつもよりぬらりと怪しく刀身を光らせた。
煽るような台詞だが、その台詞を吐いたゼロスはやけに不機嫌そうな顔をしている。珍しく苛立ちを隠しもしないで錫杖を地面に突き立てるのが、ガウリイには新鮮に映った。
「……はは、そんなつもりは無いんだけどな」
言いながら、血の味のする唾を吐き出した。
――こめかみから流れる血が鬱陶しいが、頭ははっきりしている。息も切れてはいないし、動く事は出来る。
努めて冷静に己の状態を確認しながら、ガウリイ=ガブリエフは剣の柄に手を掛け立ち上がる。まだ、ここで立ち止まるわけにはいかない。
「残念ながら、此処を通すわけには行かないんですよ」
上位魔族。ゼロス=メタリオムはそこらの下等魔族とは一線を画す存在であり、また人間など虫けらの如く握り潰す事も出来る、そういう存在である。忘れていたわけでは無いが、その単純な事実をはっきりと思い出す。
ゆらりと伸ばされる手。その手が軽く振れるだけでこちらの命が露と消えるかもしれない。普通に考えれば、こちらに勝ち目はない。――普通に考えれば。
「そう言われてもな。そっちにはリナがいるんだろ?」
それならば、彼女の元に行かねばならない。『自称保護者』の名に懸けて。
「……魔族と人間の力の差、知らないわけではないでしょう?」
「そっちこそ、それであいつが一体何匹魔族を倒してきたと思ってる?」
「今は貴方の話をしてるんですけどねえ」
「おっと、確かにそうだったな」
思わず笑ってしまって。そんなガウリイに対して、圧倒的優位なはずの魔族は小さく舌打をした。
「ああ、惜しい。惜しいんですよ、ガウリイさん。僕は貴方をもっと、もっと極上の状態で殺したかったのに」
魔族らしい台詞。それがまた面白く。
「少しずつ余裕を奪って。身体を刻んで、恐怖を植え付けて。怒りを、絶望を引き出して。貴方の負の感情を余すことなく食べ尽くして差し上げたかったのに」
「熱烈だなあ」
時間が無い。互いにそうだった。だから、この話は終りだ。
「じゃ、行くか」
振り抜いた斬妖剣は、いつもよりぬらりと怪しく刀身を光らせた。
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