ゆるい感じで。

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観測者(光の剣の勇者)

2020-09-12 02:06:38 | スレイヤーズ二次創作
どもです。本日の800字でございます。
ちょっと妄想度高めなんですが、ガウリイのご先祖様の伝説の剣の勇者が女性で、その傍らに寄り添ったのが竜族の青年、と神坂先生が語っていたのを目にして。妄想。
"その後"の彼らです。
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「最近はあんまり食べられなくなっちゃってね」
 そう言いながらぺろりと揚げた鶏を三本平らげた彼女は、その年齢の人間としてならば驚くべき若さと言えるだろう。だが、確かに彼女は年を取った。
 太陽の光を溶かし込んだようだった明るい金髪は、今ではすっかり色が抜け落ちて銀色に輝き。顔には笑みの形に皺が深く刻まれている。それに、食欲は以前の方がもっと旺盛だった。
「そういえば、もうすぐ知り合った頃の貴方と同じくらいの年齢になりそうなんだけどさ」
 そう、食後の紅茶を啜りながら。会うのは数年ぶりだと言うのに、彼女はいつ会ってもまるで昨日まで会っていたかのように話す。
「……」
「今でもこんなに身体が重いのに、それより年上だった貴方が魔獣退治に付き合ってくれてたのよね。――大変だったでしょ。ありがとね」
 にこりとそう笑って。思ってもいなかった台詞に、竜族の男は目を丸くして、それから苦笑して額に手を当てた。
「……竜族と人間とじゃ年齢の感覚が違い過ぎるだろう。竜族の百歳なんて、子供に毛が生えたようなものだよ」
「ふうん? まあ、でも、改めてありがとうって事で」
 屈託なくそう感謝の言葉を述べる彼女は、まるであの頃のまま。きらきらと輝く碧の瞳は、きっとこれから先永遠の眠りに着くまで変わらないのだろう。
 ――君は本当に変わらないな。
 そう、言われるのはいつだって自分の方なのに。あの頃とほとんど変わらぬ姿のままの自分は、大切な友が短かすぎる時を駆けていく様をただ、見つめる。
「光の剣、この前久しぶりに握ってみたら重たくって」
 ちゃんと鍛えてなきゃダメねえ、なんて。幾度もその手に救われた男は、彼女と共に駆け抜けた日々を昨日の事のように思い出していた。



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