新たにZAZAに加わったお二人目、野村尚さん(元大阪府立香里丘高校教員)は昨年卒業式国歌斉唱時「不起立」であったというだけで、「戒告」処分を受けました。かつ、再任用選考に合格していたにもかかわらず、取り消しとなり、現在、人事委員会に不服申立を行っています。
いつからこんな時代になったんやろう?
元香里丘高等学校教諭 野村 尚
私は、3月1日の卒業式で国歌斉唱時に不起立であったという理由で、3月12日に「戒告」処分、3月28日に「再任用合格取消し」を受けました。「戒告」処分そのものは、不当ではあってもある程度想定し、覚悟をしていたのですが、再任用の取消については、正直なところ予想外の出来事でした。
しかしこの不起立、事情聴取、処分、意向確認、合格取消しの過程の中で、つくづくと考えたことがあります。「自分で自分の行為を後悔することだけはやめよう。」「あとで後悔するより、納得して生きるようにしたい」ということであったと思います。
①.その事実経過
3月1日卒業式で3年担任として出席、不起立。校長からこの日と4日に事実確認と顛末書の記入・提出の要求。
私の対応:聞きおくだけなら言うことはないし、こちらから相手の立証作業を手伝うつもりはないと拒否しました。
3月5日入試の採点最中の府教委の一方的呼び出しによる事情聴取とこの場での教職員室長による「ここはあなたが質問する場でない」という強圧的態度と一方的質問。
私の対応:相互に事実を明らかにしようとする府教委の姿勢がないなら、こちらも一切答えないし、協力しないという態度に出た。
さらに3月8日の内定保留と、3月12日「戒告」処分当日の滑稽な辞令交付とアリバイづくりの研修。そして「①この場で提出しても、持ち帰ってもよい。②提出・不提出は任意。③文言は書き換えてもよい。④再任用に影響する、その際総合的に判断する。⑤持ち帰りの場合は翌日(3月13日)正午までに校長に提出。」という表面上の対応で、罠に使われている「今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令には従います。」といういわゆる「意向確認書」の手交。
私の対応:「偏狭な国家主義と排外主義によって引き起こされた戦争の惨禍への反省から制定された日本国憲法の精神を遵守し、その支配下で制定された地方公務員法第32条、第29条第1項第1号及び第3号を含む地方公務員法の諸規程を守ります。」と全面的に書き改めて提出。
3月22日から26日までの校長を通じた全面屈服を要求する「今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱の職務命令に従う」か、どうかの執拗な意向確認の実施。
私の対応:まだ出てもいない架空の職務命令についての態度を聞くのはおかしい。それは思想調査に当たるし、公的な機関が例え職員に対してといえども、思想調査をすることは許されない。従う・従わないの問題以前に思想調査は、行ってはならないことだ、と言っていると府教委に伝えよと校長に反論。
そして3月28日の午後全く不当な「再任用合格決定取消し」の通知を渡されました。そこには理由として、「勤務実績が良好でないことから、・・・要綱・・・により、合格を取り消すこととした」とのみ記されていました。こうして何の覚悟もできないまま突然4月以降の職を失うに至りました。その後も、勤務実績が良好でないということの理由として、教職員人事課は、校長を通じて「卒業式での不起立だったことだ」と回答し、4月24日の本人に対する説明(私と永嶋弁護士2人で出席)でも、その説明を繰り返し、質問に真摯に答えるどころか、「『意向確認書』については、府教委が本人の意向を聞いただけ」と、さもそれが、全く問題のないまた取るに足らないこととし、昨年との扱い(昨年は、府教委の文言を消して、『上司の職務命令に従います』とのみ記して提出した人が保留解除となっている)の違いについても、「他のこと・第三者のことは答えられない」という見解を繰り返し、一方的に「終了予定時間がきたので」と打ち切るに至った。その後の情報開示で判明した事実によると、3月8日の「戒告」処分を決定した人事監察委員会分限懲戒部会議事録で「今後上司の職務命令に従う意向があるかを確認し、従う意向のないものについては、合格を取り消すことを検討する。(事務局答弁)」となっており、全面屈服をしない限り再任用の合格取消しを行うことを決定していたと思われる。
②.最後に
でも、この間私のそばでアドバイスをしながら、職場や様々な場所で支え続けてくれた分会長のTHさんやその仲間、或いは組合や立場の違う中で校長に働きかけたり署名に協力してくれた職場の仲間の存在を身をもって知ったことは、例え一時的にせよ職を失ったことよりも多くのものを得たことを実感しています。闘いは始まったばかりで、人事委員会に提訴しただけで、これからの道のりも長いですが、自分ができることは一生懸命にやろうと今、考えています。頑張ります!