グループZAZA

「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

5.11集会ZAZAより(その2) いつからこんな時代になったんやろう?

2013-05-13 08:19:24 | 当該から

新たにZAZAに加わったお二人目、野村尚さん(元大阪府立香里丘高校教員)は昨年卒業式国歌斉唱時「不起立」であったというだけで、「戒告」処分を受けました。かつ、再任用選考に合格していたにもかかわらず、取り消しとなり、現在、人事委員会に不服申立を行っています。

 

いつからこんな時代になったんやろう?

元香里丘高等学校教諭 野村 尚

 私は、3月1日の卒業式で国歌斉唱時に不起立であったという理由で、3月12日に「戒告」処分、3月28日に「再任用合格取消し」を受けました。「戒告」処分そのものは、不当ではあってもある程度想定し、覚悟をしていたのですが、再任用の取消については、正直なところ予想外の出来事でした。

 しかしこの不起立、事情聴取、処分、意向確認、合格取消しの過程の中で、つくづくと考えたことがあります。「自分で自分の行為を後悔することだけはやめよう。」「あとで後悔するより、納得して生きるようにしたい」ということであったと思います。

①.その事実経過
3月1日卒業式で3年担任として出席、不起立。校長からこの日と4日に事実確認と顛末書の記入・提出の要求。
私の対応:聞きおくだけなら言うことはないし、こちらから相手の立証作業を手伝うつもりはないと拒否しました。
3月5日入試の採点最中の府教委の一方的呼び出しによる事情聴取とこの場での教職員室長による「ここはあなたが質問する場でない」という強圧的態度と一方的質問。
私の対応:相互に事実を明らかにしようとする府教委の姿勢がないなら、こちらも一切答えないし、協力しないという態度に出た。
さらに3月8日の内定保留と、3月12日「戒告」処分当日の滑稽な辞令交付とアリバイづくりの研修。そして「①この場で提出しても、持ち帰ってもよい。②提出・不提出は任意。③文言は書き換えてもよい。④再任用に影響する、その際総合的に判断する。⑤持ち帰りの場合は翌日(3月13日)正午までに校長に提出。」という表面上の対応で、罠に使われている「今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令には従います。」といういわゆる「意向確認書」の手交。
私の対応:「偏狭な国家主義と排外主義によって引き起こされた戦争の惨禍への反省から制定された日本国憲法の精神を遵守し、その支配下で制定された地方公務員法第32条、第29条第1項第1号及び第3号を含む地方公務員法の諸規程を守ります。」と全面的に書き改めて提出。
3月22日から26日までの校長を通じた全面屈服を要求する「今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱の職務命令に従う」か、どうかの執拗な意向確認の実施。
私の対応:まだ出てもいない架空の職務命令についての態度を聞くのはおかしい。それは思想調査に当たるし、公的な機関が例え職員に対してといえども、思想調査をすることは許されない。従う・従わないの問題以前に思想調査は、行ってはならないことだ、と言っていると府教委に伝えよと校長に反論。
そして3月28日の午後全く不当な「再任用合格決定取消し」の通知を渡されました。そこには理由として、「勤務実績が良好でないことから、・・・要綱・・・により、合格を取り消すこととした」とのみ記されていました。こうして何の覚悟もできないまま突然4月以降の職を失うに至りました。その後も、勤務実績が良好でないということの理由として、教職員人事課は、校長を通じて「卒業式での不起立だったことだ」と回答し、4月24日の本人に対する説明(私と永嶋弁護士2人で出席)でも、その説明を繰り返し、質問に真摯に答えるどころか、「『意向確認書』については、府教委が本人の意向を聞いただけ」と、さもそれが、全く問題のないまた取るに足らないこととし、昨年との扱い(昨年は、府教委の文言を消して、『上司の職務命令に従います』とのみ記して提出した人が保留解除となっている)の違いについても、「他のこと・第三者のことは答えられない」という見解を繰り返し、一方的に「終了予定時間がきたので」と打ち切るに至った。その後の情報開示で判明した事実によると、3月8日の「戒告」処分を決定した人事監察委員会分限懲戒部会議事録で「今後上司の職務命令に従う意向があるかを確認し、従う意向のないものについては、合格を取り消すことを検討する。(事務局答弁)」となっており、全面屈服をしない限り再任用の合格取消しを行うことを決定していたと思われる。

②.最後に
 でも、この間私のそばでアドバイスをしながら、職場や様々な場所で支え続けてくれた分会長のTHさんやその仲間、或いは組合や立場の違う中で校長に働きかけたり署名に協力してくれた職場の仲間の存在を身をもって知ったことは、例え一時的にせよ職を失ったことよりも多くのものを得たことを実感しています。闘いは始まったばかりで、人事委員会に提訴しただけで、これからの道のりも長いですが、自分ができることは一生懸命にやろうと今、考えています。頑張ります!

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5.11集会ZAZAより(その1) 「君が代」不起立は、大阪の教員の誇り

2013-05-13 08:19:24 | 当該から

増田俊道さん(大阪府立高校教員)は昨年卒業式国歌斉唱時「不起立」であったというだけで、「戒告」処分を受けました。現在、大阪府人事委員会に不服申立を行っています。ちなみにZAZA11名のなかでは最もお若いです。

2013年5月11日

大阪府立高校教員 増田俊道

「君が代」不起立は、大阪の教員の誇り

 

 今年3月の卒業式で「君が代」斉唱時に不起立だったとして初めて戒告処分を受けましたが、大阪で教員になって28年間、「君が代」斉唱時に起立したことは一度もありません。

 私は、大阪の教育が、少数者の人権を尊重し多文化共生を目指してきたことを高く評価しています。大阪府教育委員会がここ10年間(今年度も)、高校入学前の生徒と保護者向けに毎年配布している「互いに違いを認めあい、共に生きる社会を築いていくために」という文章を以下に紹介します。

 

 

 互いに違いを認めあい、共に生きる社会を築いていくために

 

                          生徒と保護者の皆さんへ

 

                                      大阪府教育委員会

 

  希望を胸に、新たなスタートをきられようとしている生徒と保護者の皆さん、合格おめでとう

 ございます。

 すべての人々の尊厳が守られ、基本的人権が尊重されることは、民主的な社会の基礎をなすも

 のであり、こうした21世紀の社会の実現のためには、豊かな国際感覚と人権感覚を身につけるこ

 とが求められています。このため、大阪府教育委員会では、国際理解教育や人権教育を推進して

 います。

  現在、大阪府内の学校には、日本と韓国・朝鮮との歴史的経緯によって日本で生まれ育った韓

 国・朝鮮人の生徒や、中国、ブラジル、ベトナム、フィリピンなど様々な国にルーツをもつ生徒

 がたくさん学んでいます。

  日本に固有の文化があるように、それぞれの国や民族には、それぞれの異なる文化や習慣、言

 葉、名前などがあります。そのような中で、これからの社会を担う皆さん一人ひとりが、互いの

 違いを認めあい、共に生きようとする態度を身につけていくことが大切です。それはまた、一人

 ひとりを大切にし、自分らしさを発揮することにもつながることです。     (以下略)

 

 その生徒と保護者の気持ちを裏切るような形で、同じ教育委員会から校長や教職員に対する職務命令が発せられているのです。校長は、卒業式前の職員会議において教育長からの通達「入学式及び卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年(2012年)1月17日付)を配布し、これに基づいて私たち教職員に職務命令を発しました。しかし、この通達は、冒頭で「国旗掲揚及び国歌斉唱は、児童・生徒に国際社会に生きる日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、国旗及び国歌を尊重する態度を育てる観点から学習指導要領に規定されているものである」と述べることによって、外国籍生徒にも日本人としての対応を迫る内容となっており、同化主義の危険性をはらんでいるといえます。校長や教育委員会は「儀式的な行事において国歌斉唱時に起立することは国際社会に生きる上でのマナー」という説明をしますが、他国民の存在を配慮しない行動は国際的なマナーとは正反対のものだと言えます。

  ここ数年の卒業式や入学式における国旗掲揚・国歌斉唱を強制する動きは教育に対する政治の介入によるものではないでしょうか。条例や職務命令によって民主的に議論する雰囲気を封じ込め、処分によって異論をもつ少数者を排除する方法は、江戸時代の絵踏み(踏み絵)や第二次世界大戦中のファシズムを見ているようです。このような状況の中で、形式的に上司の職務上の命令に忠実に従うことは危険な行為だと考えます。

  私は、互いに違いを認めあい共に生きる社会を築いていこうとする大阪の教員としての誇りをもって、「君が代」の強制に異議申し立てをしていきたいと思っています。

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