ZAZAの一員である梅原聡さんは、今春の入学式において「式場内に入ってはならない」という不当な職務命令を受けました。梅原さんは「年休を取り」、入学式当日、学校で何が起こっているのか、そして、ご自分の思いを、入学生や保護者にメッセージとして配布されました。その後、校長はPTA総会でこの件を報告するとのことでしたので、梅原さんも、ことの次第と自分の思いを伝えるメッセージをPTA総会で配布されました。以下は、そのメッセージです。どうかお読みください。
PTA総会で
PTA会員の皆さまへ
本日の総会で、今春の卒業式・入学式で私が行ったビラの配布に関して、校長より説明がなされるということで、若干の補足と当事者としての見解を記させていただきます。
私は昨年3月の卒業式で、国歌斉唱時に起立せず、いわゆる「君が代条例」に基づく職務命令に違反したということで、戒告処分を受けました。条例には「伝統と文化を尊重し国と郷土を愛する意識を高揚させるとともに、他国を尊重し国際的社会の平和と発展に寄与する態度を養う…」と記されています。しかし、ご存じのように「日の丸」「君が代」に対しては、歴史的な背景からいろいろな考え方があります。A高校でも朝鮮半島にルーツを持つ方をはじめ、いろいろな気持ちで国旗・国歌に向き合う人たちがおられます。国旗・国歌に対して起立斉唱するというのは絶対にせねばならないことでしょうか。また、国家的な行事でもない式に、国旗・国歌が必要なのでしょうか。「日の丸」「君が代」で国や郷土を愛する心や他国を尊重する心が育つとはとても思えないのです。率直に言うと、私自身は「日の丸」「君が代」に強いこだわりはありません。ただ、日本は「日の丸」「君が代」を拒む人たちの考え方も許す国だと思っています。憲法に保障された思想や良心の自由は、少数の声でもそれを尊重するということです。今こそ、憲法の意味を、手許に引き寄せて考えてみるべきときではないかと思っています。
そして、今年の卒業式・入学式では、私は卒業生を送り出し・新入生を迎える立場であったにもかかわらず、式場へ入ることを認められませんでした。私が、このようなビラをまいたのは、君が代に対する起立斉唱の命令に反対するためではなく、そのような意見があることを覆い隠そうとする命令が出されたことに納得できないからです。ビラをまく行為に対する校長の指導も、私のような存在を見せないための工作と感じています。不起立で処分されることはある意味しかたがないとも思っています。(処分については人事委員会に不服申し立てをしていますが、その件を学校で追求するつもりはありません)しかし、教育とは、卒業式とは何かということを考えたときに、私を式場から排除せずに卒業生を送り出させてほしいと考えています。昨年の卒業式で私の行動を見た府会議員が式中に祝辞に代えてお詫び発言をし、不愉快なブログを書きました。それに対して多くの卒業生・保護者は私の行動も批判しながら、卒業式の意義を考えない府議の行動を強く非難しています。(「西田薫」「残念な卒業式」で検索するとはじめの部分に卒業生のコメントがみられます) こういうことこそ、教育の現場に求められているのではないかと考えます。学校に様々な考え方が存在し、交流することが、精神的な豊かさを生み出します。「日の丸」「君が代」に賛成できない者を排除してしまうような不寛容さは、その他のことにも波及し学校を息苦しいものにしてしまいます。A高校で一人一人を大切にする教育をぜひ実践していきたいと考えています。どうかご協力をよろしくお願いします。
私の行為に対してはご批判の意見があることも十分承知しております。けっして、学校を混乱させるつもりはありません。生徒や保護者の皆さんの声に耳をすませて、日々の教育に生かしていきたいと思います。よろしければ、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。 梅原 聡