8月30日大阪府教育委員会会議を傍聴した人の話では、実教出版「日本史」を巡って、中原教育長と他の教育委員は激しく対立したそうです。
資料を見ると、中原教育長(事務局)が出した対応案は、実教を採択しないか、もしくは条件付きで採択するかの2つです。8月27日大阪維新の会府議団は陰山教育委員長らに実教「日本史」不採択を迫っています。これで不採択になると、教育委員会が維新(政治)の圧力に屈したことになるのは、誰が考えても明らかです。中原教育長以外の教育委員は当然そのことが頭にあったでしょう。何とか踏ん張ってくれました。
それでは、なぜ、中原教育長だけが維新の意向に沿い、教育委員会が採択権限を持つことを主張し続けたのでしょうか。そもそも、5月17日教委委員会会議において中原教育長は次のように発言しています。
大阪府教育委員会会議録:中原教育長の発言より
http://www.pref.osaka.jp/kyoikusomu/meeting/kaigiroku2505.html
…教育委員会が行う採択とは、教科書の中身の話ではなく、ルールが守られているかをチェックする最小限の仕事とした。
…学校長が責任を持って各学校の教科の先生と連携してカリキュラムや教科書を作ればよいのであり、具体的な手続きを事務局が決めてしまうと、現場の校長や先生の思考を阻害してしまうのではないかということで、そこは裁量や権限で任せるとした。
…採択は確認作業に近く、学校で責任を持ってやっていただくこととなる
5月17日には、教科書を決定するにあたって、各学校の選定を重視し、採択は、教科書の中身ではなく、確認作業に近く、と言っていたにもかかわらず、8月30日は、採択の権限は教育委員会にあると強硬に主張するように変わった、その背景に8月8日の維新の会府議団との意見交換会、27日日の維新の会の申し入れがあったと考えるのが自然の流れではないでしょうか。
そもそも中原教育長は、昨年、あの口元チェックで全国から、いくらなんでもと非難を浴びた人物です。しかも、あの折、和泉高校校長として、教育委員会に相談するより先に橋下大阪市長に相談していたのですから、それだけでも重大な過失です。公務員の守秘義務に抵触する可能性さえあります。府立高校校長が、いかに友人とは言え、公務に関することを、大阪市長に漏えいしているのですから。
当時の問題性をZAZA2012年3月17日ツイッターで発信しましたので、それをご覧ください。
【君が代口元チェック①】
中原校長ブログ「読売新聞の記事について」を読むと(上司と言う言葉は引っかかるが)口元チェックについては府教委に逐一指示を仰ぎその助言に従ったまでとある。松井知事橋下市長の名は一切出てこない。これだけ読むと校長は府教委の指示に従っただけということになるが。
【君が代口元チェック②】
ところが、翌日の「国歌斉唱について」では、「報道されているメールは、実は松井知事とその顧問宛てのメールで、そこに橋下市長も追加されていました。」と。校長が教委に指示を仰ぐことはあるが、首長に直接報告等聞いたことがない。政治介入をやすやすと許すことになる。
【君が代口元チェック③】
しかも、一番の問題はいかに松井知事から促されようが、あれだけ不起立教員への処罰を繰り返し発言して来た橋下市長に報告することに法的なもしくは倫理上の問題はないか。これを許せば、私的関係や政治的立場により教員への弾圧を難なく可能にすることになりはしないか。
【君が代口元チェック④】
さらに驚くべきことに、橋下市長自らが、Twitterで「まずこの事案を公にしたのは、僕と中原校長の合意に基づくもの」と暴露している点だ。橋下市長は一連のツィートで教育委員会の責任を問うているが、それ以前にいくら友人であろうと、これは公私混同甚だしい。
【君が代口元チェック⑤】
中原校長は言うまでもなく府立高校校長である。その職務上の問題を橋下大阪市長に報告し、その指示で動くことの違法性は問題ではないのか。これではルールも何もあったものではない。
【君が代口元チェック補】
3月13日読売新聞では、「橋下市長は、中原校長のメールで経緯を知り」とある。しかも、「橋下市長からのメール転送で事実を知った生野照子・教育委員長は…」とある。橋下市長に報告する中原校長も問題だが、教育委員会制度を形骸化する橋下市長も問題だ。