電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ第4番」を聴く

2009年11月07日 06時16分36秒 | -独奏曲
先に NHK-FM で放送された、ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ」全曲演奏会の録音(*)をMDで少しずつ聴いています。全部で4時間の放送を1回で聴き通すのは容易ではありませんで、三曲くらいずつまとめて聴いているところです。

全9曲のうち、第5番と第9番の2曲は、ある程度聴いたことがあり、旋律も耳馴染がありました。しかし、他の曲については聴いたことがありませんで、まことに新鮮な体験です。

第6番の、フルートとファゴットのための作品もたいへん印象深く、ぜひ生で聴いてみたい曲目の一つです。第9番のオリジナルは、弦楽合奏のためのものではなくて、実は無伴奏合唱のためのものであることを、初めて知りました。そんな意味でも、エアチェック(^o^)してよかった演奏会です。

さて、前半の小規模な編成の作品の中で、たいへん印象的だったのが、白石光隆さんのピアノ独奏による第4番~ピアノのための。

1. 前奏曲(助奏)
2. コラール(薮の歌)
3. アリア(賛歌)
4. 踊り(ミゥディーニョ)

前奏曲のもの悲しい始まり。ラフマニノフばりの深い響きがありますが、リズムはちょいと違う。活力があるというのか、イキがいいというのか、思い切りロマンティックな旋律であっても、しっかりと現代的な響きとリズムがある。16分07秒のあいだ、聴きほれてしまいました。

Wikipedia によれば、全9曲は1930年~41年にかけて構想されたのだそうで、プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」(*2)やヒルトン「心の旅路」(*3)などに描かれた大戦間期の雰囲気は、こんな感じなのでしょうか。

できれば一人で聴きたい、悲しみの涙が心をうるおすような、そんな音楽です。
今日は、ここまで。ちなみに、写真は「第9番」を弦楽合奏で演奏したMGMのLPレコード(モノラル盤)と、今回の全曲演奏を録音した MD です。

(*):NHK-FMで「ブラジル風バッハ」全曲演奏会の予定~「電網郊外散歩道」より
(*2):プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」を聴く~「電網郊外散歩道」より
(*3):ヒルトン『心の旅路』を読む~「電網郊外散歩道」より
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