電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モンゴメリ『アンの愛情』を読む(1)

2009年11月23日 06時28分35秒 | -外国文学
モンゴメリ『赤毛のアン』シリーズ第3巻、『アンの愛情』を読みました。原題"Anne of the Island"、実は松本侑子訳の集英社文庫と、村岡花子訳の新潮文庫と、両方を読んでみたという、なんとも物好きな読者です(^o^)/

第1章「変化のきざし」、第2章「秋の花飾り」。レドモンド大学に入学することになったアンとギルバートは、仲間たちの祝福を受けますが、この二人はまだ互いの愛情の育て方を知らないようです。特に、アン。でも、二人ともリンゴを食べましたからね。エデンの園では、禁断の果実を食べた者は恋をするのですよ。

第3章「出発」、第4章「四月の淑女」。アヴォンリーを離れたアンは、汽船連絡列車に乗り、シャーロットタウン港から島を出て、ギルバートとチャーリーとともにキングスポートに到着します。プリシラ・グラントと再会し、大学にほど近い住宅街で下宿生活を始めます。大学での登録を済ませ、古い街のオールド・セント・ジョン墓地を探訪し、フィリッパ・ゴードンと仲良しになります。たしかに、大学では色々と変わった友人ができるものですが、フィルもまた、大した個性です(^o^)/

第5章「故郷からの便り」、第6章「公園で」。最初にフィルが注目しただけではなくて、ギルバートは一躍注目の的になります。アンとプリシラも、名士の娘フィルを通して、レドモンドの社交生活に入っていきます。でも、故郷からの手紙は健全で温かな素朴さを心に届けてくれるものでした。とりわけ双子の一人、いたずらっ子のデイヴィーの手紙には、笑ってしまいます。プリシラとフィルがチャーリーをからかっている間に、アンとギルバートは公園の散歩を楽しみますが、帰りに立派な住宅街であるスポフォード街で「パティの家」を見つけます。

第7章「帰省」、第8章「初めての結婚申込み」。初秋に始まるカナダの学期は、クリスマスでいったん終わります。一年生の首席は、例によってアンとギルバート、そしてフィルの間を逡巡します。フィルは頭がいいのですね。クリスマス休暇でアヴォンリーに帰ったアンは、家族とダイアナに歓迎され、故郷を満喫します。ただし、ジェーンの兄ビリーからの、人づての結婚申込みを除いては。

第9章「不愉快な求婚者とうれしい友人」、第10章「パティの家」。不愉快な求婚第2弾は、チャーリー・スローンでした。それは身近なところに同郷の女性がいれば、そんな気になるのかもしれませんが、ギルバートをさておいて、というところがいかにも鈍感です。かわりに届いたのが、クイーン学院時代の友人ステラ・メイナードからの手紙です。ステラがレドモンド大学に来る。そしてアンとプリシラと一緒に、一軒家を借りて住もう、という提案です。家事の世話をしてくれる伯母さんも一緒に、偶然にもパティの家を借りることができました。すると、フィルも一緒に住みたいと懇願します。うーん、社交界の取り巻きに囲まれた生活にも飽きて、ほどよい制約のある生活の幸福に憧れるようになったのでしょうか。

全部で41章からなる物語の、最初の10章を駆け足で振り返りました。『アンの愛情』、面白いです。

【追記】
『アンの愛情』の記事の自己リンクです。

(*1):モンゴメリ『アンの愛情』を読む(2)~「電網郊外散歩道」より
(*2):モンゴメリ『アンの愛情』を読む(3)~「電網郊外散歩道」より
(*3):モンゴメリ『アンの愛情』を読む(4)~「電網郊外散歩道」より
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