電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴィヴァルディ「ソナタ イ短調 RV86,F.X No.1」を聴く

2010年02月05日 06時13分40秒 | -室内楽
激しくスリップする危険な雪道は、慎重な運転が求められますが、不必要に恐怖心にかられると、通行の流れを阻害し、かえって危険運転を誘発したりします。そんな季節の通勤には、不思議に屈託のない音楽がよく似合ったりします。神経はピンと研ぎ澄ましているのですが、雪国の自動車通勤族である当方は、「パリ・バロック・アンサンブルの精華」などというCDで平常心を保っているのかもしれません。中でも、ヴィヴァルディの「ソナタ イ短調 RV86, F.X No.1~フルート、バスーン、通奏低音(クラヴサン)のための」が、いたく気に入ってしまいました。フルートの軽やかさ、通奏低音の名人芸はもちろんですが、いや~、このバスーンの音色と動き!タイヤスリップも思わず片手でコントロールしてしまうほどの楽しさ!

第1楽章:ラルゴ。短調の曲の美しさはこう書くんだよ、と言わんばかりの、緩やかですが明暗のはっきりした音楽です。
第2楽章:アレグロ。澄んだ音色のフルートが駆けめぐると、リズム感抜群のお相撲さんが軽やかにステップを踏むような、ユーモラスなバスーンの動きが楽しい。
第3楽章:ラルゴ・カンタービレ。ゆったり、のびやかな旋律が広がります。フルートが、いいですねえ。
第4楽章:アレグロ・モルト。クラヴサンも積極的に出てきます。三者が緊密にアンサンブルを展開。これは楽しい。

これまで、ファゴットとバスーンは名前の呼び方が違うだけで、同じ楽器だと思っておりましたが、先ごろ映画「のだめカンタービレ最終楽章・前編」を観て、二つの楽器の違いを認識しました。ルー・マルレ・オーケストラのオーディションにやってきたバスーン奏者、ファゴットにしたら、という意見にも耳を貸しません。バスーンの音色に惚れ込んでいるようでした。このCDでバスーンを吹いているのは、往年の名手、ポール・オンニュ。見事なものです。もしかしたら、マルレ・オケのバスーン奏者の彼も、オンニュのファンだったのかな?
ちなみにフルートはマクサンス・ラリュー、通奏低音のクラヴサンはロベール・ヴェイロン=ラクロワ。3人ともパリ音楽院時代からの仲間だそうで、いずれも一世を風靡した名手たちの、50代前半の頃です。

1974年6月23~4日、武蔵野音楽大学ベートーヴェン・ホールでデジタル録音されたもの。DENON PCM 録音の最初期にあたります。クレスト1000シリーズ中の2枚組 COCO-70913~4 のうちの Disc-1 に収録されています。収録されているテレマン、クープラン、J.S.バッハなどの音楽も、たいへん魅力的なものばかりです。

■パリ・バロック・アンサンブル
I=3'30" II=2'43" III=2'25" IV=1'55 total=10'33"

しばらく県外出張です。今回はパソコンを持参できませんので、記事は日時予約投稿としますが、コメントの返事は少々遅れるかもしれません。
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