クーたんとココ君のお家

燕尾服を着た女の子クーたんと神戸から来たやんちゃ坊主ココ君の小さなドラマ。

燕尾服の女の子

2008-05-30 09:55:43 | Weblog
03年9月23日午前6時、僕は仔猫を抱いて、仕事先に向かう息子を家の前で見送った。この仔猫は、僕のもっていた、薄茶色で虎模様、ずんぐりとした身体と言う、猫のイメージと全く違っていた。少し高く持ち上げると、お腹は白いフアフアの毛、女の子であった。顔を良く見て「ワォー」と声を上げそうになった。何と言う神様の悪戯なんだろう。鼻と顎の下には黒い毛が、まるで口髭のように生えており、首の下にも、蝶ネクタイのように、黒い毛がある。手と足は、白い長靴下を履いているようであった。4~5分も抱いていただろうか。ちっとも嫌がらない。可愛らしさが、恐ろしい位のスピードで、僕の心に湧き上がった。何とも不可解な気持ちだ。少し冷静になり、この子を家に入れる事を、家内と話をする為「チビちゃん、少し待っててね」と言って車庫に下ろす。何しろ、仔猫の日常の面倒を見るのは、家内になるのだ。その本人の了解を取らねばならぬ。「車庫に居る、オチビを家に入れようよ」これが家に入っての第一声だった。返事は「ウゥーン」と歯切れは良くない。
会社に行く為玄関を出ると、車の下から仔猫が出て来て、家内に抱かれた。仔猫の頭を撫ぜながら「チビちゃん、行って来ます。良い子しているんだよ」と言って、車を発車させた。その日は、行き帰りの運転中だけでなく、会社でも仔猫の事で頭は一杯で仕事にならなかったのを、昨日の事のように思い出す。そして、帰宅し、玄関を入ると、「只今」を言うより前に、家内に「チビちゃんいる?」と聞いた。「居るわよ。クーと名前を付けたの。クーちゃんよ」。これを聞いて、全身の力が抜けた。僕が猫に魅せられた最初の日である。