(緑色に光る螢光サンゴ(基礎生物学研究所=NIBB))
① ""サンゴ礁回復へ…緑に光る「蛍光サンゴ」栄養源をおびき寄せていた!""
2019年01月27日 06時15分
温暖化による海水温の上昇などの影響で、サンゴ礁の白化や死滅が問題となるなか、基礎生物学研究所などの共同チームは、緑色に光る蛍光サンゴが、サンゴの生育に不可欠な藻類をおびき寄せている事実を突き止めた。白化したサンゴの回復に役立つ可能性がある研究成果だとして、注目を集めている。
サンゴ礁の多くは、紫外線や青い色の光を浴びると、体内の特定のタンパク質に吸収されて緑色に蛍光するが、これまでその理由はわからなかった。
② 緑色に集まる植物プランクトン
(この光の秘密は?(NIBB))
基礎生物学研究所の皆川純教授や東北大学大学院、豪ジェームズ・クック大学などの共同チームは、サンゴ礁に生息する「褐虫藻」という植物プランクトンに着目。
青い光を照射したサンゴが、緑色に発光すると、周辺でバラバラになって遊泳していた褐虫藻がサンゴに集まってくる行動を確認。次に、市販されている緑色の蛍光塗料を塗ったプラスチック片で実験したところ、サンゴと同じように褐虫藻が集まってきた。
③ 塗料を塗ったプラスチックでも…
(上:生きたサンゴ(右)と死んだサンゴでの比較実験、下:緑色の蛍光塗料を塗ったプラスチック片(右)と塗っていないものでも同様の結果となった(NIBB))
褐虫藻が光に対してどうふるまうか(走光性)を詳しく調べた結果、弱く光る緑色の光に向かって泳ぐ反面、太陽光のように青い光をあてると逃げる性質があることがわかった。
これまでの研究で、サンゴは体の中に褐虫藻を共生させて、成長に必要な栄養の一部を褐虫藻から貰い受けていることは知られていたが、どのようにしてサンゴと褐虫藻が出会うかは謎だった。
海水温が高くなると、サンゴは共生する褐虫藻を失うことで白化し、その状態が長く続くと餓死してしまう。したがって、白化からいかに早く回復させるかがサンゴの生死を握るカギとなるわけだが、緑色蛍光を利用することで、サンゴ礁の回復につながる可能性があるとして、研究の行方に期待が寄せられている。