(「平成26年豪雪」=2014年2月の大雪では、東京・台東区の上野公園でもこれだけ大雪が積もった(Wikimedia Commons))
① ""今夜の東京23区「雪は積もるの?」南岸低気圧の予測が難しい理由""
2019年01月31日 10時23分
本州の太平洋岸を東に進む南岸低気圧の影響で、きょうは昼過ぎから夜にかけて雪が降り、山間部を中心に平地でも積雪になる見込みだ。
毎年大雪に悩まされる北国や日本海側の地方の住民から見れば、数センチの雪くらいで交通機関がマヒする首都圏が、いかに脆弱に見えるが、それには理由がある。というのも、本州の太平洋側に雪を降らせる南岸低気圧は気象予報官泣かせの予測が難しい雲だからだ。
② 低気圧はどこに?
(南岸低気圧の雲の位置を見定めるのが難しい(気象庁) )
日本海側では西高東低の冬型の気圧配置によって、日本海上空を渡る寒気が、暖かい海面からの熱や水蒸気をエネルギーにして雪雲を発達させることで雪を降らせる。
③ 南岸低気圧は気象予報官泣かせ
(気象庁の天気図。前線を伴う低気圧が近づき、あす朝にかけて東へ進む)
一方、南岸低気圧は、関東の南の海上にある低気圧や前線から、雨を降らせる雲が北寄りのコースをとるか、南寄りになるかで、陸上に雨や雪を降らせるかが変化する。仮に同じ位置を通っても、雲の広がりが予想より小さい場合は降らない場合もあるため、南岸低気圧に伴う予測は、低気圧のコースと雲の広がりの両方を正確に予測しなければならない。
さらに雲の中で作られる氷の粒が、そのまま地上に届けば雪になるし、解けてしまえば雨になる。これを左右するのは、地上から上空までの気温の分布予想がカギを握るため、気象予報官がギリギリまで頭を悩ませることになる。
④ 平成26年豪雪のときは…
(2014年2月15日の横浜市旭区のようす。60〜70cmの積雪となった(Wikimedia Commons))
関東甲信地方では、5年前の2014年2月8〜9日と、14〜15日に2度にわたる記録的な大雪が降ったことが記憶に新しい。この年は、1回目の大雪では千葉市で33センチと観測記録を更新したうえ、2回目は甲府市で114センチ、前橋市73センチ、熊谷市で62センチの積雪があった。
このとき、気象庁がある東京・大手町では1回目、2回目ともにまったく同じ27センチの積雪となった。しかし、詳しく分析した結果、1回目と2回目では、気温状況や降水量がはっきり異なり、2回目の雪のほうが水分を多く含んだ「湿った重い雪」だったと報告されている。このため、車庫やビニールハウスなどでは屋根に水が多くたまった状態になり、重さに耐えきれずに倒壊した被害も相次いだ。
⑤ 天気予報をこまめにチェックして!
(2度の大雪が降った平成26年豪雪。気象庁がある東京・大手町では2度とも積雪の深さが同じだったが、気象条件には違いがあった(気象庁))
けさの気象庁の予報では、今夜にも前線を伴った低気圧が伊豆諸島に進み、その後に冬型の気圧配置になる。あす朝までの24時間の降雪量は、いずれも多いところで▽甲信地方30センチ、▽関東北部山沿い20センチ、▽関東北部平野部3センチ、▽箱根から多摩地方、秩父地方にかけて5センチ、▽関東南部平野部で3センチ。東京23区でも雪が降るところはあるが、現時点では積雪となる可能性は低いと見られている。
今後も、新たな気象情報に注意して、今夜は早めに帰宅しよう。