二泊三日で下北と津軽の旅をやってみました。
いや、二泊三日の縛りは高速道路の割引が二泊三日しか効かないと言うただそれだけの理由であります。
しかし、只今帰宅してパソコンに向かっていると体力と気力と資金力の三拍子もこれが丁度であったと想っている次第であります・・・そう、もう若くは無いのであります。
では、九月八日の初日から道順を追う形で記そうと思います。
いや、この旅は昭和58〜59年ごろ、バイクにテントと鍋釜を背負って走った記憶の後追いみたいなものであります。
なので思い出のスパイスが効いて自分の記憶違いが出るかも知れませんがそこは笑ってご容赦ください・・・と、言うよりもそんな昔の下北や津軽を知る人がブログを読んでる可能性は無いですよね。
九月八日、自宅を8時20分ごろ出発。
8時45分、泉パーキングのETCゲートから東北道下り線で八戸に向かう。
愛車のチビクロは軽ワゴン車であります。
車重が1トン弱あるのに馬力は63馬力と非力でして、それを補うためにターボが付いているんですがアクセルを踏んで元気に走ってしまうと燃費が恐ろしく悪くなるのであります。
車重が1トン弱あるのに馬力は63馬力と非力でして、それを補うためにターボが付いているんですがアクセルを踏んで元気に走ってしまうと燃費が恐ろしく悪くなるのであります。
一応今時の車なので高速道路をメーター読み110キロ(GPSでは105キロ)での巡行は楽にこなします。
しかし、東北自動車道を北へ向かうと上りと下りの塩梅が悪く燃費が悪いのであります。
九月八日は午前中で30度越えでしてエアコン無しではきつく、そして朝の高速の速い流れに乗って走ったために平均燃費がリッター8.5キロまで落ちたのであります。
35リットルタンクのチビクロで燃費8.5キロというと、航続距離は297Kmであります。
八戸迄の高速だけでも300キロを超えるので速度を抑えて燃費を稼ぐか、もしくは早めに給油をするかを考えなくてはならないのであります。
まっ、なんぼ節約してもガス欠の危険はついて回るのでたった220キロしか走っていない岩手山サービスエリアで27リットルを給油した次第であります。
単純計算で燃費は8.1キロであります。
11時過ぎ二戸PAに立ち寄り、高速に乗る前に買ったサンドイッチとコロッケパンの昼食を食べ出発。
さて、ここから先も上ったり下ったりと燃費の悪い八戸道なので速度を90キロに落として燃費稼ぎに出たわけであります。
もっともこの道の制限速度は80キロなので普通の速度で走っただけなのですが・・。
で、NEXCO東日本の管轄道路は八戸北迄ですが、その先には青森県の有料道路が繋がっていまして、なんだかんだと七戸までは自動車道路で行けたのであります。
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ナビの目的地は恐山 あと96キロ
で、七戸から少し一般道を走ると次は下北半島縦貫道路(結構長いが無料)で核燃料で有名な六ヶ所村の少し先の横浜まで行けたので結構な時短であります。
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むつ横浜 海の向こうの山は釜臥山
むつ横浜は自分には懐かしい場所であります。
若かりし頃、仕事で出張して来るついでにこの辺りで津軽半島方向に沈む夕日を写真に撮っていたのであります。
秋の早い日没も良かったですが真冬、雪景色の中の夕日も良かった・・・遠い記憶であります。
で、この場所に立つと目の前に山が見えるんでそっちが津軽半島かと勘違いしますが、あの山は釜臥山という、恐山の前にそびえる山であります・・・と、思いますが間違っていたらゴメンであります。
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恐山入り口 三途の河
二時ごろ、むつ市内を通過し恐山に着きましたが、自分の記憶にあった恐山とは掛け離れた風景に驚きました。
その昔は・・・そう、一番最初は48年前でありました。
いや、恐山は鉄道や道路以前の海上交通で栄えていた霊場なので50年前とて寂れているはずは無いのですが、自分が初めて訪れた時は地の果てに来ちまったと心底思った記憶があります。
自分の記憶では三途の川の太鼓橋を歩いて渡って恐山の境内に入ったし、当然参拝料などは無かったのであります。
と、言うよりも、恐山で人に会った記憶が無く、怨霊や魑魅魍魎に怯えつつ無料の宿坊に一人で泊まりまんじりともせぬ夜を過ごしたのであります。
私の記憶では、賽の河原と思しきところに積み上げられた石と、そこに祀られた水子の霊を慰める風車がからからと乾いた音を立てていたのでありました。
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入山料500で温泉も入れお得です
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こんな立派な建物は無かったと思うが
いや、風車はあったし、岩の隙間から吹き出す硫化水素臭もあったのだが、日本有数の霊場言われ異様な雰囲気に包まれていたあの恐山の恐ろしげな雰囲気はどこにも見当たらなかったのであります。
ただ、立派になったんだなぁ〜と、ため息をつきつつ、入山料で入れる恐山温泉に入ることだけが目的となってしまった次第であります。
皆様は恐山のイタコの口寄せはご存知でありましょうか?
自分は40数年前の恐山大祭の時に訪れ、数年前に逝った父を呼んでもらったことがありまして、そんな事からも恐山は特殊な場所と思っていたわけであります。
しかし、まぁ、時代の流れなのでありましょう・・・立派になって良かったね、であります。
さて、軽く1周してみましたが観光名所となった恐山への興味はすっかり無くなり、次なる目的の恐山温泉の制覇だけが残された課題となったわけであります。
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右の小屋が「薬師の湯」
薬師の湯は山道の脇にあったのですぐに見つけました。
誰も入っていなかったのでカメラも持ち込め気分良く入れました。
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源泉掛け流し 湯の華たっぷりの硫黄泉
熱い風呂でありました。
脱衣場が乾いていたのでしばらく誰も入っていないものと思われました。
火傷しない温度なら熱い風呂は熱いままに入るのが礼儀と思うので水は入れずに源泉を楽しませていただきました。
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四つあるはずの風呂の残り一つを探し歩き
いや、薬師の湯の前に二つの小屋があったんですがどちらも女湯の札があって入れなかったのであります。
と、言うことはあと一つはどこだ、と散々探し回ったのですが中々見つからず彷徨い、やっとの事で宿坊(近代的建物で一泊二食12000円)の裏手で見つけたのでありました。
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パンフレットに風呂場の位置は書いていない
本日は快晴でして本州最北の下北半島でも炎天下は暑かったのであります。
しかも、熱々の温泉に入ってますから「花染の湯」を見つけた時は汗だくでありました。
しかも、熱々の温泉に入ってますから「花染の湯」を見つけた時は汗だくでありました。
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どの風呂も形式は一緒 源泉垂れ流し
いや、手間取りました。
私は霊やら、その手のものへの興味は薄いので霊場巡りなんてしたく無かったんですが結果的に1周する羽目になって小一時間を無駄にした次第であります。
次に向かったのは本日の最大の目的地「薬研温泉」であります。
ここは35年前にバイクにテントと鍋釜を背負って訪れた思い出の地であります。
何故にこんな山奥を徘徊していたのかと申しますと、当時は岩魚釣りが趣味でして、大畑川はルアー釣師の間では密かに有名だったのであります。
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恐山を出たらすぐに左で薬研です
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北限の猿
恐山から薬研温泉は割と近くでして来るまで30分と掛からないのであります。
で、予定どおり下北名物北限の猿にも遭遇し、程なくして薬研温泉に到着でありました。
いや、恐山で魂消たよりももっと驚きました。
薬研温泉には営業していそうな宿が無いのであります。
一番立派だったホテルが耐震基準を満たせず廃業したのは知っていましたが、コロナの影響下の今日では他の旅館も危ういのでありましょうか。
寂れた感じの薬研温泉から向かったのが奥薬研温泉であります。
ここの無料の露天風呂に入るのを主たる目的として遥々仙台からやって来たのであります。
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男女を時間帯で分けています
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かっぱの湯という名は知りませんでした
また昔話で恐縮ですが、この温泉は秘湯中の秘湯として知られていたわけであります。
いや、下北半島自体が秘境だった時代ですから都会から遠くの山奥というだけで秘湯だったと思うのであります。
私が初めて訪れた時は混浴でありました。
そして、脱衣場にも風呂にも電灯は無く真っ暗でありました。
そんな有様が秘湯の雰囲気を醸し出していたと思うのでありますが、今は随分と立派になっていました。
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夫婦かっぱの湯 350円
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大畑川の川沿いの露天風呂
夫婦かっぱがいる大きな露天風呂でありました。
恐山で硫黄臭が染み込んだ身体に単純泉のさらっとしたお湯が心地良い、ぬるめの風呂でありました。
恐山で硫黄臭が染み込んだ身体に単純泉のさらっとしたお湯が心地良い、ぬるめの風呂でありました。
この前のかっぱの湯と夫婦かっぱの湯の両方を合わせての滞在時間がおよそ30分であります。
いや、日没も近いですが本日はもう一つ、どーしても入っておかなくてはならない風呂があったのであります。
いや、日没も近いですが本日はもう一つ、どーしても入っておかなくてはならない風呂があったのであります。
それは温泉通の間では夙に名高い下風呂温泉の公衆浴場であります。
県道4号で大畑の町に下り、本日二度目の給油をし、ここを過ぎたら大きな集落が無かったと踏んで夕食の仕入れを済ませた次第であります。
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二つある公衆浴場の「大湯」
これがナビの通りに進んでも中々難解な場所にあってたどり着くのに七転八倒でありました。
いや、斜面の狭い路地を無理やり入り込む感じで行くのですが、他所の家の敷地じゃないのか?と不安になる道なのであります。
で、最初にたどり着いたのが「新湯」でありましたが、本日は定休日なので大湯に行ってください、との張り紙。
たどり着いてみたら新湯から歩いてすぐなのに車で右往左往すること10分以上でやっと大湯に到着でありました。
公衆浴場なので町の皆さんが普通に入りに来て賑わっていました。
町民が150円で余所者は350円でしたが、この町に税金を払っていないので仕方がありません。
泉質は単純泉でお湯に特徴はなかったのですが極熱でありました。
我慢して入ったら地元の人が「これはなんぼなんでも熱いべ」と水をジャージャーと入れてくれました。
と、いうことで、これにて本日の予定は全て終了したのですが車中泊するのに適当な場所がないのであります。
で、記憶の隅にあった大間崎のキャンプ場に行ってみましたがコロナの勢いもなんのその、結構な賑わいでして気弱な自分は割って入れず他を当たることに。
そこで思い出したのが随分戻るけれども薬研から大畑に出た県道4号線にあった綺麗にパーキングでありました。
大間からだと約一時間も走ったんですが着いてみれば先客はキャンピングカーが一台だけでありました。
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スーパーで買ったレトルトハンバーグ
いや、運転疲れもありましょうし、恐山周遊も疲れましたし、温泉巡りも意外と体力を使うもののようであります。
なので少し遅い晩飯を食べたら眠くなり、車中に適当に寝袋を広げて寝ちまいました。
これにて9月8日は終わりであります。
長々と下らない顛末を読んでいただいた方には感謝申し上げます。
明日も続きますんで宜しくお願いします。