北陸中日新聞(6月6日)
2月に実施された住民投票が不成立となり、産廃処分場設置が決まったものととして輪島市は手続きを進めているようだ。
本来、環境影響評価書が作成され、知事や関係市町(輪島市、志賀町)に送付され、公告、そして1カ月の縦覧期間を経たのちに議論すべき「生活環境の保全に関する協定(環境保全協定)」の締結に向けた作業を前倒しで進めている。
内々、事業者から評価書の内容も聞きながら協定案の内容を詰めているようである。
行政と事業者の関係というのはそんなもの、手際よくやってるなと思う方、いやいやなんか変だぞと思う方、いろいろだと思うが、私は環境影響評価の手続きを定めた「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」と「石川県廃棄物適正処理指導要綱」の趣旨を全く理解していない規定違反の動きではないかと思う。
環境影響評価は大きく3段階の手続きを経ることになっている。
1つ目が環境影響評価の方法書の提出。こんなふうに調査・予測・評価をやっていきますよという計画書の作って公告・縦覧に供し、住民や関係市町の意見を聴き、環境審議会で審議し、知事の意見を事業者に提出する。
2つ目が環境影響評価の準備書の提出。方法書に基づき調査・予測・評価を実施し、これに対して同じく公告・縦覧に供し、住民らの意見を聴き、関係市町や知事の意見をまとめ事業者に提出する。
3つ目がこれらに手続きを経ての環境影響評価書の作成、そして公告・縦覧に供する。
この手続きを経て事業者は石川県廃棄物適正処理指導要綱に基づき事業計画書を知事に提出し、事前審査(廃棄物処理法に基づく手続きに入る前の県独自の審査)を受けることになる。
さらに事業者と関係市町との間で環境保全協定を交わし、事前審査は終了となる。
環境影響評価の3つ目の手続きが、方法書、準備書の提出後の手続きと異なることに注目していただきたい。
公告、そして公告の日から起算して1カ月間公衆の縦覧に供しなければならない(条例第219条)とあるだけで住民や関係市町の意見を聴く手続きがないのである。
輪島市は、単に事業者が公告し、1カ月縦覧すればお仕舞い!住民の意見を聴く手続きはなし!と形式的、お飾り的な規定と受け止めているのかもしれない。
とんでもない間違いである。
「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」は公告・縦覧までしか規定していないが、次に石県廃棄物適正処理指導要綱に定められた環境保全協定の手続きに入っていく。
輪島市はここで1カ月の縦覧を経た評価書に対する公衆(議会だけではない、輪島市民だけでもない、産廃処分場の専門家も含め関心を持つ幅広い人々)の意見を集約し、環境保全協定の締結(その内容や是非も含め)を検討しなければならないのである。
これが石川県の定める事前審査の手続きである。
市長がその意見集約の手続きに責任を持つのは当然だが、議会も市民の意見集約という意味でははたすべき役割は大きいはずだ。
公告・縦覧の規定をなんと心得る!
住民投票期間中も多くの市民が指摘した市民不在の手続き、そして専門家不在の非科学的な手続きがまたもや繰り返され、環境保全協定の締結=地元同意という手続きが進められようとしている。
当然ながら輪島市議会は規定違反の市民不在の手続きに対しては待ったをかけるべきだ。
忘れてならないのが志賀町だ。
志賀町も関係市町として手続き上輪島市と同等の権限を持っている。
記事によると志賀町長は輪島市と情報交換しているようだが、こちらも志賀町民不在、志賀町議会も不在ではないか。
特に予定地内の市道深谷滝町線の廃止は志賀町議会の同意が必要だ。
志賀町議会抜きで話が進めらていることに志賀町議会はもっと怒ってもいいのではないか。
もう一つ付け加えるなら、県条例・要綱を無視して手続きを進めようとしている輪島市の動きを県は傍観、放任していくのか。
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