原告団など6団体は9月3日、石川県に対して下記要請書を提出した。
県側からの回答(下記赤字箇所)を受け、1時間近く質疑応答を行った。
この中で、訓練については今年度も志賀原発の再稼働を前提としたものとすること、内容については検討中ではあるが、能登半島地震を受け「現実に即したもの」「今回の地震で起こったことを訓練想定に盛り込む」といった発言が繰り返された。
参加者からは、廃炉は想定せず、再稼働を想定する県の姿勢に対して、「県は北陸電力の代弁者か!」といった厳しい言葉がぶつけられた。
原子力災害対策指針については見直しを求めており、県の原子力防災計画・避難計画については国の動きを踏まえて対応していくとの姿勢に終始した。ここでも県の主体性が感じられず、参加者はそれぞれの経験を踏まえ、国に対して被災地から物申す姿勢を求めたが、県の慎重姿勢は変わらず。
能登半島地震の現実に即した訓練などできるはずがない。
従来から、道路の寸断(1か所だけ)や孤立集落の住民救助(ヘリ、船舶を使用するが今回の地震で破綻した)を盛り込んでだ訓練を行ってきたが、今回、原子力災害が重なったわけではないが、全く役に立たないことが明らかになった。
地震被害を過小評価した訓練が繰り返されることは間違いない。
当日の行動やその前後の対応含め、こちらも対応を検討しなければならない。
石川県知事
馳 浩 様
元日に発生した能登半島地震は奥能登を中心に甚大な被害をもたらし、300人を超える尊い命が奪われました。多数の家屋の倒壊、がけ崩れや崩落などによる多くの道路の寸断、津波被害、火災発生、液状化など、ここ数十年、国内で経験した様々な地震による被害が重複して能登を襲ったのです。もしこのような地震災害に志賀原発の重大事故が重なる原発震災が発生していたならばどうなっていたでしょうか。避難できず、支援の手も届かず、多くの住民が能登に閉じ込められ、被ばくを強いられることになりました。甚大な被害と数多くの悲劇によって、この間私たちが主張してきた原子力防災計画・避難計画の破綻が実証されることとなったのです。
県は「原子力災害の対応体制を検証する」として2012年以降、広域避難訓練を取り入れた原子力防災訓練を実施してきました。しかしその実態は、志賀原発の再稼働を前提とし、複合災害被害をあらゆる面で過少評価し、重大事故が起こっても周辺住民が安全に避難できる、つまり原発の新たな安全神話をアピールする場だったと言わざるをえません。県民を騙し、北陸電力の志賀原発再稼働路線を後押しする「志賀原発安全キャンペーン」を展開してきたのです。
去る7月1日、私たちは「さよなら!志賀原発 全国集会in金沢」実行委員会の構成メンバーとして県に対して志賀原発の廃炉と原子力政策の転換を求める要請書を提出しました。原子力防災計画の実効性やこの間の訓練についての認識を問いましたが、「避難計画がこのままでいいとは思わない」としつつも、計画の破綻を認めることはなく、訓練への反省の弁も全く聞かれませんでした。それどころか、今年度の防災訓練実施に向けて検討しているとの発言があったのです。
志賀原発の2026年1月再稼働は事実上不可能となりましたが、北陸電力は志賀原発の必要性を強調し、再稼働を目指す方針は撤回していません。しかし、今回の地震による施設や敷地の多大な損傷に対して「安全上問題はなかった」と開き直り、活断層の評価能力の欠如に対する自覚も反省もありません。多くの県民、特に被災した周辺住民は、大自然の驚異に対する謙虚さのかけらもない北陸電力の姿勢に、不安を通り越し、怒りすら感じています。「再稼働なんてとんでもない!」という県民の声が県には聞こえないのでしょうか。能登半島地震前と同様、再稼働路線のお先棒を担ぐ原子力防災訓練を引き続き実施しようとしていることは驚くほかありません。
日本の原子力行政における被災地石川県の役割は、地震直後からのすべての防災関係機関の対応を検証し、もし原発震災が起こっていたら石川県の原子力防災計画・避難計画は機能しなかったこと、そして計画の根拠となっている原子力災害対策指針は破綻していることを原子力規制委員会に対して直言することだと私たちは考えます。
加えて、停止中ではあっても使用済み核燃料が保管されていることも忘れてはなりません。県民の安全・安心を守る県の責務として、停止中の原発の放射能災害のリスクを想定した原子力防災計画を策定しておく必要があるということも指摘します。
以上の認識を踏まえ、以下5点を申し入れます。
石川県平和運動センター廣田共同代表から山本課長に要請書を提出
北野原告団長が要請の趣旨を説明後、県側から回答を受け、参加者から質疑
記
1.この間の原子力防災訓練の反省が何ら表明されない中で、今年度も再稼働を想定した原子力防災訓練をなし崩し的に実施することは許されない。今年度の訓練は中止すること。
(原子力防災担当課長)
地域防災計画に基づき、国や関係市町と連携して防災体制の確立、防災技術の向上、住民の皆さんの防災意識の高揚を図ることを目的に行っている。発電所が停止中かどうかにかかわらず、実践的訓練を実施することは県民の安全・安全につながるものと考えている。これまでも県は原子力防災訓練において地震による道路の寸断を想定して、ヘリコプターとか船舶による避難訓練、そして道路の応急復旧の訓練なども実施してきた。
今年度の訓練については、具体の内容は検討中だが、今年の訓練の想定の中で今回の能登半島地震を受けて、国とも協議を行いながら、より現実に即したものにしたいと考えている。
2.今まで実施してきた原子力防災訓練について、能登半島地震を踏まえた課題や反省点を明らかにせよ。
(原子力防災担当課長)
能登半島地震を踏まえ、今回の訓練の中でなるべく反映していく方向で検討している。
3.県は7月1日の「さよなら志賀原発!全国集会in金沢」実行委員会の要請行動に対して、原子力防災計画・避難計画の見直しの必要性に言及している。そもそも震度7の地震に原子力災害が重なった原発震災が発生したとき、原発の避難計画は成り立つのか。成り立つとすればそのために必要な条件を明らかにせよ。
(原子力防災担当課長)
国は原子力発電所の所在地ごとに地域原子力防災協議会を設置しており、原子力災害時における避難先、移動手段の確保、避難ルートや通信確保などの具体策を緊急時対応として取りまとめている。
志賀原発については内閣府が事務局となり志賀地域原子力防災協議会が設置されている。関係省庁と石川県、富山県が参加し、緊急時対応の取りまとめ作業が行われている。国の原子力防災担当大臣も能登半島地震の被害調査結果を踏まえて、今後、志賀地域の作業部会で必要な検討を進めていくと述べている。
県としても、避難計画の具体的な対応見直しについては国の対応を十分見極めたうえで対応していきたいと考えている。
4.原子力規制委員会は、多くの原発周辺自治体が避難計画の実効性に疑問を示す中にあっても、原子力災害対策指針の基本的考え方は見直さないとしている。被災地の実情を把握している石川県こそが、規制委に対して指針の破綻を直言すべきではないか。
(原子力防災担当課長)
原子力災害対策指針については、原子力発電所立地道県でつくる原子力発電関係団体協議会と全国知事会を通じて、これまでの自然災害の経験、最新の知見や国内外の状況を踏まえて、今後も継続的に改定していくこと、それから自然災害によって建物や道路が損壊した状況下での避難や屋内退避にかかる考え方にについてあらためて検討し、速やかに示すことなど、指針の見直しも求めている。
5.志賀原発は停止中とはいえ、使用済み核燃料が保管されている。止まっているから大丈夫という誤解は禁物である。停止中の志賀原発のリスク、さらに廃炉作業を終えるまでのリスクを想定した原子力防災計画、そして防災訓練を検討すべきではないか。
(原子力防災担当課長)
現状として、我々の訓練はこれまでと同様にやっていかなければいけないと考えている。(志賀原発は)いましばらく停止中だが、毎年訓練を行ってきているので、引き続きやっていく必要があると考えている。
Q 再稼働を想定した訓練をやっていくということか。
(原子力防災担当課長)
はい。
県側からの回答(下記赤字箇所)を受け、1時間近く質疑応答を行った。
この中で、訓練については今年度も志賀原発の再稼働を前提としたものとすること、内容については検討中ではあるが、能登半島地震を受け「現実に即したもの」「今回の地震で起こったことを訓練想定に盛り込む」といった発言が繰り返された。
参加者からは、廃炉は想定せず、再稼働を想定する県の姿勢に対して、「県は北陸電力の代弁者か!」といった厳しい言葉がぶつけられた。
原子力災害対策指針については見直しを求めており、県の原子力防災計画・避難計画については国の動きを踏まえて対応していくとの姿勢に終始した。ここでも県の主体性が感じられず、参加者はそれぞれの経験を踏まえ、国に対して被災地から物申す姿勢を求めたが、県の慎重姿勢は変わらず。
能登半島地震の現実に即した訓練などできるはずがない。
従来から、道路の寸断(1か所だけ)や孤立集落の住民救助(ヘリ、船舶を使用するが今回の地震で破綻した)を盛り込んでだ訓練を行ってきたが、今回、原子力災害が重なったわけではないが、全く役に立たないことが明らかになった。
地震被害を過小評価した訓練が繰り返されることは間違いない。
当日の行動やその前後の対応含め、こちらも対応を検討しなければならない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2024年9月3日
石川県知事
馳 浩 様
さよなら!志賀原発ネットワーク
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
石川県平和運動センター
原水爆禁止石川県民会議
社民党石川県連合
石川県勤労者協議会連合会
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
石川県平和運動センター
原水爆禁止石川県民会議
社民党石川県連合
石川県勤労者協議会連合会
原子力防災計画及び訓練に関する要請書
元日に発生した能登半島地震は奥能登を中心に甚大な被害をもたらし、300人を超える尊い命が奪われました。多数の家屋の倒壊、がけ崩れや崩落などによる多くの道路の寸断、津波被害、火災発生、液状化など、ここ数十年、国内で経験した様々な地震による被害が重複して能登を襲ったのです。もしこのような地震災害に志賀原発の重大事故が重なる原発震災が発生していたならばどうなっていたでしょうか。避難できず、支援の手も届かず、多くの住民が能登に閉じ込められ、被ばくを強いられることになりました。甚大な被害と数多くの悲劇によって、この間私たちが主張してきた原子力防災計画・避難計画の破綻が実証されることとなったのです。
県は「原子力災害の対応体制を検証する」として2012年以降、広域避難訓練を取り入れた原子力防災訓練を実施してきました。しかしその実態は、志賀原発の再稼働を前提とし、複合災害被害をあらゆる面で過少評価し、重大事故が起こっても周辺住民が安全に避難できる、つまり原発の新たな安全神話をアピールする場だったと言わざるをえません。県民を騙し、北陸電力の志賀原発再稼働路線を後押しする「志賀原発安全キャンペーン」を展開してきたのです。
去る7月1日、私たちは「さよなら!志賀原発 全国集会in金沢」実行委員会の構成メンバーとして県に対して志賀原発の廃炉と原子力政策の転換を求める要請書を提出しました。原子力防災計画の実効性やこの間の訓練についての認識を問いましたが、「避難計画がこのままでいいとは思わない」としつつも、計画の破綻を認めることはなく、訓練への反省の弁も全く聞かれませんでした。それどころか、今年度の防災訓練実施に向けて検討しているとの発言があったのです。
志賀原発の2026年1月再稼働は事実上不可能となりましたが、北陸電力は志賀原発の必要性を強調し、再稼働を目指す方針は撤回していません。しかし、今回の地震による施設や敷地の多大な損傷に対して「安全上問題はなかった」と開き直り、活断層の評価能力の欠如に対する自覚も反省もありません。多くの県民、特に被災した周辺住民は、大自然の驚異に対する謙虚さのかけらもない北陸電力の姿勢に、不安を通り越し、怒りすら感じています。「再稼働なんてとんでもない!」という県民の声が県には聞こえないのでしょうか。能登半島地震前と同様、再稼働路線のお先棒を担ぐ原子力防災訓練を引き続き実施しようとしていることは驚くほかありません。
日本の原子力行政における被災地石川県の役割は、地震直後からのすべての防災関係機関の対応を検証し、もし原発震災が起こっていたら石川県の原子力防災計画・避難計画は機能しなかったこと、そして計画の根拠となっている原子力災害対策指針は破綻していることを原子力規制委員会に対して直言することだと私たちは考えます。
加えて、停止中ではあっても使用済み核燃料が保管されていることも忘れてはなりません。県民の安全・安心を守る県の責務として、停止中の原発の放射能災害のリスクを想定した原子力防災計画を策定しておく必要があるということも指摘します。
以上の認識を踏まえ、以下5点を申し入れます。
石川県平和運動センター廣田共同代表から山本課長に要請書を提出
北野原告団長が要請の趣旨を説明後、県側から回答を受け、参加者から質疑
記
1.この間の原子力防災訓練の反省が何ら表明されない中で、今年度も再稼働を想定した原子力防災訓練をなし崩し的に実施することは許されない。今年度の訓練は中止すること。
(原子力防災担当課長)
地域防災計画に基づき、国や関係市町と連携して防災体制の確立、防災技術の向上、住民の皆さんの防災意識の高揚を図ることを目的に行っている。発電所が停止中かどうかにかかわらず、実践的訓練を実施することは県民の安全・安全につながるものと考えている。これまでも県は原子力防災訓練において地震による道路の寸断を想定して、ヘリコプターとか船舶による避難訓練、そして道路の応急復旧の訓練なども実施してきた。
今年度の訓練については、具体の内容は検討中だが、今年の訓練の想定の中で今回の能登半島地震を受けて、国とも協議を行いながら、より現実に即したものにしたいと考えている。
2.今まで実施してきた原子力防災訓練について、能登半島地震を踏まえた課題や反省点を明らかにせよ。
(原子力防災担当課長)
能登半島地震を踏まえ、今回の訓練の中でなるべく反映していく方向で検討している。
3.県は7月1日の「さよなら志賀原発!全国集会in金沢」実行委員会の要請行動に対して、原子力防災計画・避難計画の見直しの必要性に言及している。そもそも震度7の地震に原子力災害が重なった原発震災が発生したとき、原発の避難計画は成り立つのか。成り立つとすればそのために必要な条件を明らかにせよ。
(原子力防災担当課長)
国は原子力発電所の所在地ごとに地域原子力防災協議会を設置しており、原子力災害時における避難先、移動手段の確保、避難ルートや通信確保などの具体策を緊急時対応として取りまとめている。
志賀原発については内閣府が事務局となり志賀地域原子力防災協議会が設置されている。関係省庁と石川県、富山県が参加し、緊急時対応の取りまとめ作業が行われている。国の原子力防災担当大臣も能登半島地震の被害調査結果を踏まえて、今後、志賀地域の作業部会で必要な検討を進めていくと述べている。
県としても、避難計画の具体的な対応見直しについては国の対応を十分見極めたうえで対応していきたいと考えている。
4.原子力規制委員会は、多くの原発周辺自治体が避難計画の実効性に疑問を示す中にあっても、原子力災害対策指針の基本的考え方は見直さないとしている。被災地の実情を把握している石川県こそが、規制委に対して指針の破綻を直言すべきではないか。
(原子力防災担当課長)
原子力災害対策指針については、原子力発電所立地道県でつくる原子力発電関係団体協議会と全国知事会を通じて、これまでの自然災害の経験、最新の知見や国内外の状況を踏まえて、今後も継続的に改定していくこと、それから自然災害によって建物や道路が損壊した状況下での避難や屋内退避にかかる考え方にについてあらためて検討し、速やかに示すことなど、指針の見直しも求めている。
5.志賀原発は停止中とはいえ、使用済み核燃料が保管されている。止まっているから大丈夫という誤解は禁物である。停止中の志賀原発のリスク、さらに廃炉作業を終えるまでのリスクを想定した原子力防災計画、そして防災訓練を検討すべきではないか。
(原子力防災担当課長)
現状として、我々の訓練はこれまでと同様にやっていかなければいけないと考えている。(志賀原発は)いましばらく停止中だが、毎年訓練を行ってきているので、引き続きやっていく必要があると考えている。
Q 再稼働を想定した訓練をやっていくということか。
(原子力防災担当課長)
はい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます