ブログ仙岩

各紙のコラムや報道番組、読書の感想、カメラ自然探索など。

仮設住民の本当の言葉が聞こえない

2015-05-29 08:39:25 | エッセイ
今朝の福島民報「あぶくま抄」で、長く俳句に親しむ仮設住宅に妻と二人で生活する人がいう。

震災を詠む句にはこれは違うと思うものがあるという。4年越しでの生活でこそ気づかされることがあるという。

普通にやり取りできたおばあさんが昨日の話を覚えていない。よく親を訪ねていた子供が殆んど姿を見せなくなった。不意に聞こえてくる木魚の音に「誰が?」と思う。

仮設の空気の底には、言葉にならない思いのかけらがおりのように積もっている。うんと困っている人は何も言わない。

「亀鳴くや 世間に届かぬ 独り言」(渡部健)と避難仮設生活者が詠んだ句を教えて頂いたと。

亀鳴くは本当かどうかわからないことを表す春の季語。