ブログ仙岩

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大中恩氏の素直な言葉が人をひきつける

2017-03-23 08:52:53 | エッセイ
大中 恩(おおなか めぐみ)1924年東京都生まれの作曲家で、女のような名であるが男である。土田藍は筆名で、自身の歌の作詞も手がけている。1989年紫綬褒章受章。93才の歌曲、楽譜、童謡、合唱曲、校歌など2500 曲も手掛けた方。

父は『椰子の実』の作曲者である大中寅二で教会のオルガニスト兼合唱指揮者であったことから、音楽には手近い環境で育ち、東京音楽学校時代に海軍に入り、戦後NHKの劇中音楽などを担当した。

好きだ、嫌いだ、苦しい、うれしいといった人間の一番そばにある言葉にひかれて歌を作ってきたと語る彼は、「サっちゃん」「犬のおまわりさん」などで知られる。

宮下俊也のピアノに合わせ、ソプラノの妻北原聖子、バリトンの原田博之が歌い、大中は演奏の合間に、音楽の命は「ことば」、作曲より詩を探すことの方が好きと語る。

聖歌隊の女の子に惹かれたからだとも語っているが、夏の思い出の中田喜直ら4人と子どもの歌を作る作曲家「ろばの会」を結成。合唱団の指揮では、「きれいに歌うことも大切だけれど、詩の言葉や旋律を聴き手に伝えること忘れたらステージにならない」という。また、合唱の楽しい雰囲気にしがみついて、彼らに支えられ、もうやめられないともいう元気な老人である。