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久しぶりに自転車で梅田に出ました。
あちらこちらに駐輪場ができているのを発見したのもありますが、
帰りに自転車でないと寄りにくい市場で買い物をしようと思ったことと、
目的の場所が中心地から少し離れていたことがその理由です。
この映画はいわゆる「単館系」と呼ばれるものに属するのでしょう。
ドキュメンタリーですから。
いわさきちひろ本人の動く映像はもちろんなく、
よくある再現Vという演出もされていませんでした。
ちひろの作品、日記、
家族知人の思い出話、
そういったもので彼女の55年の生涯を映し出していました。
リアルに感じました。
人生の真夏と言ってよい時期に戦争を迎えた不運はあります。
しかし、その時代にあって、
あれほどまで強く夢に向かって突き進もうとしなけば、
それなりの幸せな女性で終われたことでしょう。
2年間という空白の結婚生活、
極貧の下積み時代、
猛反対を押し切っての再婚は今の時代でも同じ扱いだったでしょう。
しかし、
そのすべてが、
夢を叶えるため。
新しい扉を開けるときには必ず退路を断つのでした。
女性のズルさはありません。
「鉄の棒を真綿でくるんだ人」という表現をされます。
よく見る写真の輝く笑顔と柔らかな作品からは想像のできない、
壮絶な経験で鍛えられた鋼が中心に通っている人です。
画家という仕事を確立してからもまた、新たな戦いに挑みます。
彼女の作品の多くは挿絵というカテゴリーでぞんざいに扱われました。
著作権を勝ち取るための戦いです。
そういった努力があったからこそ、
私も何度も作品展を見に行くことができるのです。
何冊か絵本を持っていますが、
私にとってそれは、
画集です。