ダニエル書2章では、政治家であるネブカデネザル王に政治的な面においての世界史が預言されましたが、7章では預言者であるダニエルに、政治的な面(1~7節)と宗教的な面(8節以降)が共に預言されています。ダニエルは十の角の間から出る一つの小さい角に注意を集中していますが、その理由は小さい角は政治的だけでなく、宗教的な特性を表わしているからです。「わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった」(ダニエル7:8)。
ダニエルが見たこの啓示の場面は、何を意味するのでしょうか?十の角に対して「十の角はこの国から起る十の王である」と説明したみ使いが、再びその意味を説明してくれます。「十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王(注:小さい角)が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す。彼は、いと高き者に敵して言葉を出し、かつ、いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と、ふた時と、半時の間、彼の手にわたされる」(ダニエル7:24,25)。
ここまでの学びで、私たちは四つの獣の正体と、それが出現する歴史的な順番が、全く聖書の預言通りであることを確認しました。人類の歴史を導いておられる神様のみ手の力強さを確認出来たわけです。世界帝国が神様のタイムスケジュールに合わせて歴史の舞台中に登場し、そして消え去る姿を見ながら、もう一度歴史を導いておられる神様の偉大さと、その預言の正確さに対して驚嘆することになります。これから続く第二部では、第四の獣の最後に現れる一つの宗教的な勢力について注意して研究していきましょう。なぜなら、その勢力(小さい角)が、神様の教会とそのお方の真理に与えた傷は、今日のキリスト教会に依然として傷跡を残しているからです。